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ソムリエの選んだ、『おうち中華』に合うワイン

ソムリエの選んだ、『おうち中華』に合うワイン

中華料理にワインを合わせて楽しむペアリング方法をご紹介。登場するのは餃子や麻婆豆腐、エビチリといった王道の中華メニューたち。気軽に食卓で試してみませんか?

私の中華×ワイン

「中華のときは、ロゼワインがええんよ。なんにでも合う」
ワインを学び始めた頃、私は先輩社員にそう教えてもらいました。それ以来、私は先輩の言う通りロゼワインを合わせるようになりました。
「おうち時間」で家庭の食事が見直され、それ以来自宅で料理を作る楽しさに注目が集まっているそうです。中華の素を使って調理したり、出前アプリでオーダーしたりで気軽に楽しめる中華料理。ソムリエが実食してペアリング検証をしました。

私のおすすめは、『ロゼ』

先輩から教えてもらったロゼワインは、中華にはもってこいの存在です。
赤ワインのコクと白ワインの爽やかさのいいトコ取りをするロゼワインは、どんなジャンルの料理ともケンカしません。
油を多用するのは中華料理の特徴ですから、ロゼ・スパークリングをチョイスしたなら、それこそ最強。心地よい泡が、オイリーさをするっと流してくれ、口の中を何度でもリセットしてくれます。

エビチリ(海老のチリソース) × 完熟フレーバーの赤

エビのぷりぷり感がたまらない、チリソースとエビが絶妙に絡み合う極上のハーモニー。そんなエビチリによく合ったのは、南イタリアの果実味あふれる赤ワイン。渋みであるタンニンがほどよくワインに溶け込み、スムースな口当たりでほんのり甘みも感じられる1本です。

エビのプリッとした食感と甘みに、プリミティーヴォ種らしい完熟フルーツのフレーバーがよく合います。濃い味わいのチリソースと、ワインのボリューム感とのバランスが抜群の組み合わせ。ワインに酸味も甘味も適度に感じられるので、辛味の他に甘酸っぱさが加わったソースとうまく調和しました。心地よいタンニンがソースの辛みをいい塩梅に包み込むので、ほどよい辛みの刺激とワインの果実味が余韻にやわらかく広がります。香味野菜の旨みもワインのローズマリーのようなハーブ感と綺麗にマッチします。

春巻き × オレンジワインの、ほんのり渋さ

外側サックリ、中身ジュワ~、タケノコのコリコリ食感。揚げたてなら何本でもいけそうな春巻きと好相性だったのは、今注目されているオレンジワイン。オレンジワインとは、白ワイン用のブドウを赤ワインと同じ手法でつくったもの。白ながら果皮由来のタンニン分が感じられ、独特の風味が楽しめる。このワインはオレンジワインの入門にふさわしい、軽快で飲みやすいスタイルです。

エビや豚肉がたっぷりで、いい出汁をふくむ春巻きの餡と、オレンジワインの旨みがよく合っていて美味しい。具材が詰まった春巻きは、小ぶりながらも食べ応えがあります。オレンジワインのボリューム感はそれよく合います。アプリコットや熟したニュアンスのワインに、アツアツの餡の甘みがとてもいいバランスオレンジワイン特有のちょっとした渋味は、歯触りのよい皮の香ばしさやタケノコのほのかな苦味とマッチして、丁度よいアクセントです。春巻きの美味しさをワインが見事に引き出した、無限ループできる組み合わせになります。

回鍋肉(ホイコーロー) × 樽熟成の赤

「回鍋肉」はその字面から、鍋をガンガン振り回して作る料理なのかと思いきや、どうも違うようです。「ひとつの鍋でかたまり肉を茹でるか蒸し、取り出したら薄くスライスして再び鍋に戻して焼き目をつける。また取り出して今度は醤(ジャン)と合わせて炒める」。このように何度も肉が鍋へ出入りすることから「回る鍋の肉」。

日本の家庭で食されるのは、甜麺醤(テンメンジャン)を多めに使った甘辛い味が主流です。豚肉の旨みとシャキシャキしたキャベツの甘みが、香ばしく炒めた豆板醤と甜麺醤、豆豉(トウチ)のコクで一層引きたてられる、これぞ旨みの極み。そんな回鍋肉とマリアージュするのは、樽熟成された赤ワインです。力強さと、フルーティさを両立して、樽熟成の複雑味が備わっているのがベストです。

ワインの果実味とやわらかさが、回鍋肉の甘辛な味付けにマッチするのは格別です。甜麺醤の甘みと果実の甘みがピタッと合っている。濃い味付けとワインの果実味もよい。豚バラ肉の脂分をワインがまろやかにし、全体の味わいがグッと格上げされる組み合わせ。中華スパイスの風味にワインの樽感がうまく絡まり、肉・野菜の旨みがしっかりと感じられます。

餃子(ギョーザ) × スパークリングワイン

皮はしっとり、焼き面はサクッと、一口かめばモッチリ感。皮に包まれた肉がもちもちとジューシーで、肉の旨みと野菜の甘みの調和が絶妙。そこにニンニクとニラの食欲そそる匂いがふんわりとまとう。ビールだけじゃない、ワインでも楽しめる方法は…。

ここでは " 餃子×スパークリング " の最強コンビを紹介します。ワインならではのきめの細かいキレイな泡立ちと、柑橘の香りを楽しめる非常に爽やさ。

シンプルな美味しさが持ち味なスパークリングワインは、ほどよい爽やかな酸味で、ひき肉の旨みを格段にアップさせてくれます。これは病みつきになる組み合わせ。餃子に入っている香味野菜のアクセントを、ワインの果実味が完璧に引き立ててくれるのも見逃せません。心地よい泡が油分を洗い流して、口の中はスッキリ、後味が一気に爽快に。いったん口にしたら止め処なく手が出てしまう、反則級の美味しさです。

あわせて読みたい:アテになる『餃子』のアレンジとおすすめのワイン

麻婆豆腐(マーボー豆腐) × 少し甘い白

豆板醤のピリリとした辛さの奥に、旨みをしっかりと感じる鉄板グルメな逸品。唐辛子の効いた香りが食欲をそそり、肉も豆腐もたっぷりで花椒のしびれる感覚も楽しめる。そんな旨辛な味わいがクセになる麻婆豆腐には、爽やかなドイツの白ワインがおすすめ。透き通った酸味にほどよい苦味が心地よく、フレッシュな果実感の奥に白桃やハチミツ、花梨を想わせるボリューム感があります。

とろりとした食感の麻婆豆腐に、少しの甘味をまとった白ワインが好相性。ひき肉から出る濃い旨みに、少しボリュームのあるワインがオススメです。酸味のきいた白ワインは、濃い味付けでも口の中をすっきりさせてくれます。果実の甘みが、麻婆豆腐の辛みや花椒の刺激をやさしく包み込んで、辛さの中にある旨みをグッと高めてくれます。

青椒肉絲(チンジャオロース) × ロゼワイン

いよいよとっておきのロゼをご紹介。

ピーマンやパプリカ、タケノコといった野菜のシャキシャキした食感と、オイスターソースを使った濃厚な味わいが人気の青椒肉絲。野菜の甘みと肉の旨み、ダブルで美味しいこの料理には、主役に豚肉を使う家庭もあれば、牛肉が使われることも。豚肉を使った青椒肉絲には、豚肉の甘みとピーマンの風味が前に出てくるので骨格のしっかりしたロゼワインが活躍します。牛肉の場合は肉の主張が強くなるため、コクのある赤ワインが合わせやすいです。濃いピンク色をしたボルドー産ロゼワイン、「ボルドー・クレーレ」なら万能で、そのどちらにも合います。

ボルドー・クレーレは、ロゼワインの中でも特別なスタイル。強めの酒質をもちながら、フレッシュさに溢れます。口当たりはなめらかで柔らかく、肉厚。青椒肉絲の野菜の風味と肉のコク・うまみに、やさしくて程よい濃さのあるこうしたワインがピッタリです。特にオイスターソースの味が前面にでた料理は、熟成した調味料特有の土っぽい風味が感じられるので、若いうちから土の香りが感じられやすいメルロー種が絶妙。食べ進めて油っぽさを感じてくる頃、ちょうどいい具合にワインの酸味がリセットしてくれ、不思議といくらでも入ってしまう感覚になれると思います。

中華料理とワインのペアリングに迷ったら『ロゼワイン』を

日々のおうちごはんにワインがあれば、おいしさも楽しさも倍増します。ワイン選びに迷ったら、まずは私のようにロゼワインを試してみてもよいと思います。ワイン×おうちごはん、気軽な中華マリアージュにあなたも酔いしれてはいかがでしょうか。この実食を通して別に試していた『ロゼのスパークリング』は、どの料理とも相性が良かったということをつけ加えさせていただきます。

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