食べた物が身体を作る
私たちの身体は、日々口にする食べ物や飲み物から作られています。私はワインと料理のマリアージュを探求する中で、これを常に意識してきましたが「エイジングケアワイン」を知ることで、その重要性を再び強く感じました。特に「抗酸化」という言葉は広く知られていますが、「抗糖化」という概念はまだ多くの人に馴染みが薄いかもしれません。しかし、ワインがもつ糖化ケア作用には、健康と美容の両面で大きな可能性があります。
エイジングケアをワインで身近に
ワインの糖化ケア作用に注目した「エイジングケアワイン」は、ただの飲み物としての楽しみを超えて、日常の食事と美味しく調和しながら、健康維持にも貢献すると考えられます。例えば、糖化ケア作用のある食材を用いたおつまみと「エイジングケアワイン」を組み合わせることで、健康的でありながらも満足感のあるお食事が楽しめるでしょう。これは、日々のライフスタイルにさりげなく取り入れられる糖化ケアの実践的なアプローチではないでしょうか。
もちろん、お酒の飲みすぎは健康に良くありませんが、適度に楽しむ「エイジングケアワイン」は、単なる飲み物としてではなく、食事や生活の一部として、私たちの健康と美しさをサポートしてくれる存在になるでしょう。日々の生活習慣の見直しとともに、糖化ケアを意識したお食事と「エイジングケアワイン」で、ぜひ糖化ケア習慣を始めてみてください。
エイジングケアワインに合うレシピ3選
マグロとルッコラのカルパッチョ 長芋ソース
【材料 2人分】
マグロ 130g
長芋 100g
ルッコラ 2〜3本(約10g)
紫玉ねぎ 1/8個
[a]
醤油 小さじ1
オリーブオイル 小さじ1
[b]
粒マスタード 小さじ2
オリーブオイル 小さじ2
塩 ひとつまみ
粗挽き黒胡椒 適量
【作り方】
- マグロは薄くそぎ切りにして[a]をまぶして冷蔵庫に5分おく。
- ルッコラは1cmの長さに切る。紫玉ねぎはみじん切りにして2〜3分水にさらし、水気をきる。
- 長芋は皮をむいてすりおろし、ボウルに入れて[b]を混ぜる。
- ①のマグロをお皿に盛り、③のソースをかける。②の紫玉ねぎとルッコラを散らす。
POINT
・マグロはあらかじめ調味料をまぶしておくことで、味がぼやけることなく味が決まります。
・ルッコラの代わりに春菊を使っても。
マグロ:抗酸化作用があり、体内でのAGEs生成抑制作用が期待できる、イミダゾールペプチドのカルノシンが豊富です。また、糖化ケア作用の高いビタミンであるビタミンB6も含まれています。さらにDHA・EPAなどの不飽和脂肪酸による、抗炎症作用やインスリン感受性向上が期待できます。
長芋:糖質の代謝に必要不可欠なビタミンB1を多く含みます。また、食物繊維と似た働きをするレジスタントスターチが豊富で、血糖値の急上昇を抑えてくれます。生食した方が、ビタミンB1やレジスタントスターチを多く摂取することができます。
ルッコラ:AGEs生成抑制作用があり、カルシウムや鉄分などの主要なミネラルが豊富です。
玉ねぎ:ポリフェノールの一種であるケルセチンが含まれ、強力な抗酸化作用やAGEs生成抑制作用が期待できます。
マグロの旨味や醤油のコクが、赤ワインの果実のボリューム感とマッチ。マグロならではの酸味、マスタードの酸味はピノ・ノワールの繊細な酸味に心地よく寄り添います。
レンコンと鶏肉のバルサミコマリネ
【材料 3〜4人分】
鶏もも肉 1枚(約350g)
れんこん 300g
きのこ 250g
(お好みのもので。写真はエリンギと舞茸)
ニンニク 1片
パセリ 適量
オリーブオイル 適量
塩 適量
[a]
バルサミコ酢 大さじ1
粒マスタード 大さじ1/2
醤油 小さじ1
粗挽き黒胡椒 適量
【作り方】
- れんこんは皮をむき、7〜8mmの厚さの輪切り、もしくは半月切りにする。酢水にさらして水気を切る。
- 鶏肉は少し大きめの一口大に切り、塩小さじ1/4をまぶす。
- きのこは食べ易い大きさに切る(もしくは裂く)。ニンニクとパセリはみじん切りにする。
- フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、①のれんこんを焼く。しっかり火が通ったら塩ひとつまみをふり、バットなどに取り出す。
- フライパンにオリーブオイル大さじ1/2を熱し、②の鶏肉を焼いて、取り出す。
- フライパンに残った鶏肉の脂はそのままに、オリーブオイル大さじ1を足して、ニンニクを入れ弱火で炒める。香りが出てきたら③のきのこを加え、火を中火に強める。あまり触らず焼くように炒め、塩小さじ1/4も加え、取り出す。
- ボウルに[a]を入れて混ぜ、④〜⑥も加えて和える。器に盛り、パセリを散らす。
POINT
・それぞれの食材を炒める時にオイルを使うので、和える時にはオイルは入れなくてOK。和えてみてから足りなければ、適量足してください。
・きのこを炒める時は触りすぎると水分が出てしんなりしてしまうので、あまり触らず焼き色をつけるように。
きのこ:食物繊維が豊富で、特に多糖類であるβ-グルカンによる免疫賦活作用や腸内フローラへの好影響が期待できます。
れんこん:食物繊維や水溶性のビタミンが大量に含まれているのに加えて、アルカロイドの一種であるヌシフェリンによるインスリン促進効果や抗炎症作用があります。
赤ワインだからこその果実味のボリューム感が醤油のコクとマッチ。ワインのフレッシュな酸味はマスタードやバルサミコ酢の酸味に寄り添います。バルサミコ酢とランブルスコは産地のマリアージュでもあります。れんこんのサクサクと泡のシュワシュワ、食感のマリアージュも楽しめます。
ごぼうとトマトと梅のすき焼き
【材料 2人分】
牛肉すき焼き用 250g(こま切れでも)
牛脂 適量
ごぼう 150g
ミディトマト 3〜4個(約100g)
玉ねぎ 1/2個
舞茸 100g
梅干し 1〜2個
バジル 適量
[a]
水 300cc
醤油 75cc
みりん 45cc
酒 30cc
砂糖 大さじ1と1/2
昆布 5cm角1枚
【作り方】
- [a]を混ぜて15分以上おく(一晩おいても)。
- ごぼうは皮を包丁の背でこそげてささがきにし、水にさらして水気を切る。
- トマトはヘタを取り除き、くし形に切る。
- 玉ねぎは繊維を断ち切る方向に1.5cmくらいの幅に切る。
- 舞茸は食べやすい大きさにほぐす。
- 鍋かフライパンに牛脂を入れて、玉ねぎを焼くように炒める。少しこんがりとしてきたら、肉を1枚加えて焼く。
- ごぼう、舞茸を加え、浸るくらいの割り下を注いで5分煮る。
- 残りの牛肉とトマト、梅干しも加え、煮えたらバジルをちぎってのせる(バジルは取り分けてから散らしても)。梅干しを適当にほぐしながら取り分ける。
POINT
・梅干しを一粒加えることが味がぐっと引き締まり、また、酸味の効果でワインとの相性も良くなります。塩だけでつけているものでも、甘すぎないはちみつ漬けでも。
・トマトは煮すぎてしまうと溶けてしまうので、最後に加えるのがおすすめ。大玉でもミニトマトでも出来ますが、皮が厚くて甘味が強いミディトマトを使うのが特にオススメ。煮ても崩れにくく、また風味が強いためにすき焼きのタレの味わいとも相性抜群です。
・舞茸の代わりにしいたけなど他のキノコでも。
・割り下は市販のものでも。手作りの方が甘味を控えられるため、ワインとの相性は良くなります。
ごぼう:ポリフェノールの一種であるアルクチゲニンが含まれ、AGEs生成抑制作用が期待できます。さらにイヌリンやリグリンなどの食物繊維が豊富です。
トマト:ポリフェノールの一種であるルチンによるAGEs生成抑制作用が期待できます。またビタミンAやリコピンといった抗酸化物質も含まれています。トマトの甘みを利用して、割り下の糖分を控えめにできます。
南イタリアならではのジューシーで甘やかな果実味が、割り下の甘味とマッチ。程よい酸味はトマトの甘酸っぱさにも心地よく寄り添います。全体的に柔らかい口当たりで、いくつもの食材の旨味が溶け出すすき焼きにピッタリです。