私はエビが大好きで、ときどき無性に食べたくなります。プリっとした食感、甘くて濃厚な旨味。エビほど旨い海の幸は他にないのでは…。殻も美味しくいただけるので、頭から尻尾までみんな味わい尽くそう。そんなエビへの愛から私は『ムーラン』を買いました。
ムーラン・ア・レギューム(moulin a legumes)とは
『ムーラン』というのはフランスの調理器具で、いわゆる「濾し器」です。主に野菜を裏ごしするのに使われます。茹でたジャガイモをなめらかなマッシュポテトにするとか、皮と種のないトロトロのトマトジュースとか。フランスやイタリアでは地域によって一家に一台の定番品で、日本でもインターネットで様々な製品が販売されているので、簡単に手に入れることができます。ムーランを使えば、エビの殻と頭からいい出汁がとれるはず。濾したトマトとあわせたソースでパスタを作ることにしました。レストランで出てくるような、トロトロなエビトマトソースを目指します。
ムーランのサイズ選び。ご家庭では20cmがおすすめです
購入に際して迷うのは、まずそのサイズ選び。ネットショップには20cm、24cm前後、30cm以上のものまで様々なサイズが揃っています。どのくらいのサイズを買ったらいいのか、参考になる情報がありませんでした。私のような一般家庭には収納事情という問題が常について回ります。「うちは一番小さなサイズで良いはず」と、最もお手軽だった20cmを購入しました(これまで5,6回使ってみましたが、大量の仕込みでもしない限りこのサイズで大丈夫そうです)。使用感を交えつつパスタを作っていきたいと思います。
『ムーラン』の別記事
エビに合わせてワインを準備
ムーランを購入するきっかけになったのことが、もうひとつ。このワインの存在です。イタリアはサルデーニャ島の『ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ』。このワインを飲んだ時に「エビ食べたぁぃ!」と思ったわけです。
島のブドウ産地、ガッルーラ地区で収穫されたヴェルメンティーノ種で造られる白ワイン。有力ワイナリーのひとつ、ピエロ・マンチーニ社が造りました。ワイナリーのシンボルマークになっているククロ(カッコウ)が集まる場所を意味する『クカイオーネ』と名付けられています。
サルデーニャ名産のエビ(スカンピ、アラゴスタ)の甘い旨味に合わせるのが鉄板で、エビ好きなら絶対に飲んでおきたい一本です!
準備と下ごしらえ
準備した材料は写真の通りです(ソース2皿分)
- エビ4尾(食べたいだけ増減OK)
- 別途冷凍庫に残しておいたエビの頭と殻
- トマト缶400g
- 好みのハーブ(なくてもOK)
- ニンニク
- 玉ねぎ
- セロリ
- 人参
- 塩
- オリーブオイル
- 白ワイン
- 好みのショートパスタ
エビを剥くと私の手はかゆくなります。だから手早く!エビはネット通販で見かけたニューカレドニア産のもの。冷凍で届いて、解凍すれば刺身でも食べられる便利なやつです。身側にミソが残るように、頭・殻を剥きます。身に塩をして魚焼きグリルで火を入れます。
いってらっしゃい。
おかえり!
ムーランでトマトを裏ごし
トマト缶はワインと同じ、サルデーニャ島産を選びました。甘味が強くてコクがあります。裏漉しに使うのはムーランに付属していた中目の網。ムーランに投入してハンドルを回します。皮と種が取り除かれて、トマトがどんどん滑らかなジュースになっていきます。この作業は楽しくて楽しくて、どんどん回したくなりました。回しただけ効果が出るものは仕事でいえばPDCAですが、料理で言えばムーランのハンドルなのかもしれません。そんなことを考えていると、ふとハンドルが無重力になった気がしました(そもそも力はいりませんけど)。
400gのトマト缶は一回で裏ごしできました。所要時間は約2分。
エビとトマトのソース作り方
濾したトマトを鍋で半量になるまで煮つつ、フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れてエビの頭と殻を焼きます。
エビの頭と殻がピンク色になったら少量の白ワインを入れてアルコールをとばし、水、塩とみじん切りした香味野菜を加えて30分ほど煮だします。このとき殻を長く焼くと香ばしい風味になる一方、仕上がりのソースは茶色くなります。加減はお好みで調整してください。
粗熱がとれたらミキサーへ。ムーランで濾す作業がスムーズになります。ハンドブレンダーがあればより楽かもしれません。
そしてムーランで濾します。ここでも中目の網が出番。エビの殻が通過せず、口当たりのよいソースになってくれました。3種類付属していた網のうち一番使うのは中目だと思いました。
濾したガラはこのようなかんじです。今回の分量では、ムーラン3回で全量が濾せました。
濾した出汁をトロみがつくまで煮詰めて、濃厚なエビソースの出来上がりです。
赤色は煮詰めたトマト、黄色のがエビソース。茶色いのは殻を焼く時間を長くしたソースです(別に作りました)。好みだと思いますが、私は焦げた風味のない黄色い方がお気に入り。
ソースパンに、オリーブオイル、トマトソース、エビソースを混ぜて火にかけます。混ぜる比率はお好みで大丈夫です。ここまでくれば、もうどのように混ぜてもおいしくなるはず。同時にパスタを茹ではじめましょう。
今回はワインのアテにしたいので、ソースが絡みやすくて一口サイズのショートパスタ「カザレッチャ」を選びました。ハーブを加える場合は仕上げに少々。
エビのトマトソースパスタ、実食とペアリング
お皿に焼いたエビとパスタを盛りつけて完成。ワインは冷やしておいたので、いい温度になりました。トロトロのエビトマトソースがパスタに絡まって、ものすごい旨味!ムーランで裏ごししたソースの食感は素晴らしいです。ワイン「ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ」は、熟したパインに、レモンのような爽やかなフルーツ感。そこに海の潮風を思わせるようなミネラル風味を感じます。エビの旨味と相乗効果があって、美味しいパスタが激美味に。
とくにワインと焼いたエビとの相性は特筆もので、それこそ焼きエビに塩をかけてレモンを絞ったような変化が、口の中で起こって絶品!しばらく立ち上がることができなくなるくらいの感動です。
今回の料理で思ったことまとめ
- ムーランを買うなら、ご家庭では20cmでOK。お仕事で使うなら収納の許す限り大きなサイズが良さそう。
- ムーランで濾したソースの食感は、トロトロとドロドロの中間。ムーランでしか出せない。
- エビの殻は冷凍保存。捨てるのはもったいない!ぜひとも出汁をとりましょう。
- エビ料理にワインを合わせるのなら、サルデーニャ島の白ワイン。
ムーランは今後もうちのキッチンで料理の幅を広げてくれそうです。買ってよかった!ソースはもう1皿分あるので、残しておいて妻にも食べさせてあげようと思います。ソースは冷凍保存がききます。是非お試しを!
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