昨今よく耳にするようになった「ワインペアリング」という言葉。
ワインと料理を組み合わせることを指し、ペアリングの目線でワインや料理を提案するワインショップやレストランも見るようになりました。
これとこれが合う、とすでに誰かが発見してくれた組み合わせなら安心ですが、自分で一から考えるとなると、「何が正解なんだろう?」と悩んでしまうこともきっとあるはず。
ペアリングは、少しのコツさえ覚えてしまえば、実は思っていた以上に簡単なものです。
モトックスのソムリエスタッフが実践している「ペアリングのきほん」は全部で4つ。
考えのポイントは、としては、「同調」・「中和」・「補填」・「食感」がポイントです。
今回は、第一弾として「同調」のペアリングについてご紹介します。
同調のペアリングとは?
一言でいうなら、「料理とワインの味わい・香りの似た要素やスタイルを合わせる」こと。
ペアリングを考える上で一番シンプルな考え方になりますが、合う可能性が高い組み合わせです。
ワイン選びに迷ったときは、料理の味わい・香り、濃さ・軽さなどを考えて、ワインもそれに近いスタイルを選べば、2つが上手く重なりハーモニーを生みます。
同調のペアリングでは、口の中で似た味わい・香りが合わさり、味の一体感が生まれ、二段階、三段階も双方の余韻を楽しむことができます。
合う可能性が高い組み合わせは?
味わい・香りが似ているものをペアリングするのが「同調のペアリング」でした。
イメージとしては、次のようなものが挙げられます。
スタイルや味覚との同調
・濃い料理 × 濃いワイン
・軽い料理 × 軽いワイン
・酸味のある料理 × 酸の高いワイン
・甘味のある料理 × 酸の少ないワイン
材料やアクセントとの同調
・柑橘を使った料理 × 柑橘を感じるワイン
・土っぽい食材 × 土っぽさを感じるワイン
・バターを使った料理 × コクのあるワイン(樽熟成したもの)
・瑞々しい料理 × ミネラル感のあるワイン
実践手順
① 料理の中で、一番特徴的な味わいを探す
② その要素が当てはまるワインを探す
この順番で考えてみると、失敗が少なくておすすめ。
例えば、お料理が次のようなものだったら……
・味が濃く、甘みもある料理 → 暑い産地の果実味豊かなワイン
・軽めで、酸味のあるお料理 → 寒い産地の酸味のあるワイン
・柑橘をつかったお料理 → 柑橘を感じさせるような、香りの豊かなワイン
・バターを使ったお料理 → 樽熟成したコクのあるワイン
このようにワインを選んであげると、同じような要素を持つもの同士、それぞれの味わいが寄り添うように同調してくれます。
「同調のペアリング」の具体例
① すき焼き × 南イタリアのプリミティーヴォ
濃厚な料理 × 果実味豊かなワイン のペアリング
ワインのカシスやブラックベリーのような果実味が、すき焼きの濃厚な味わいとお肉の旨味にマッチします。
ガッツリ満足感のあるペアリングをお楽しみいただけます。
② 洋ナシとトマトのサラダ × 冷涼産地の辛口リースリング
軽い・瑞々しい料理 × スッキリ・ミネラル感のあるワイン
こちらは、さっぱりとした後味がなんとも爽やかなペアリング。
ワインの繊細な酸味と透き通るようなミネラル感が、洋ナシの瑞々しさとトマトの酸味と心地よく同調します。
③ ポテトサラダ × チリ産のシャルドネ(樽熟成)
甘みのある料理 × コクのあるワイン
ワインの樽熟成由来の芳醇なバニラのような味わいが、ポテトの甘みと同調し、リッチで濃厚な余韻が長く続きます。
ほっこりとした味わいのもの同士、お互いの魅力を引き立てる組み合わせです。
ペアリングに100%の正解はない! 好みに合わせて、自由に楽しんで
4つある「ペアリングのコツきほん」のうち、今回は「同調のペアリング」についてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
ぜひ、ご自身でもいろいろな組み合わせを試してみてくださいね。
人それぞれに味覚や好みは違うもの。実際に、合わせてみると「意外に美味しい!」と驚くような組み合わせもあります。ペアリングに100 %の正解はなく、それゆえに自由に楽しめるのも、ペアリングの魅力です。
次回は「ペアリングのコツきほん」第二弾として、「中和」のペアリングについてご紹介します。どうぞお楽しみに!