ペアリングとは
ワインと料理を組み合わせることです。
自分で考えると、「何が正解なんだろう?」と悩んでしまうこともあるはず。しかし実は、いくつかのコツを覚えるだけで簡単にチャレンジできるものです。
モトックスのソムリエスタッフが実践している「ペアリングのきほん」は全部で4つだけ。
同調・中和・補填・食感です。
今回は最終回の第四弾。「食感」のペアリングについてご紹介します。
食感のペアリングとは?
「ワインと料理のテクスチャーを合わす」ことです。
説明のために「肉」を例に、肉のテクスチャーと合うワインのテクスチャーを考えます。肉質が柔らかい部位には柔らかいテクスチャーのワイン。硬い部位であればワインにも力強さが必要になります。肉の切り方や調理法も重要で、厚切りで噛み応えがある場合のワインは力強く、薄いお肉の場合は軽めに、といった具合でテクスチャーを合わせていきます。
合う可能性が高い組み合わせは?
「テクスチャーを合わせる」例には、次のようなものが挙げられます。
- 厚みのある牛肉×タンニンの強めでジューシーなワイン
- 柔らかい豚肉×タンニンは優しめでふくよかかな果実味のワイン
- 引き締まったささみ×スタイリッシュで心地よい酸味のあるワイン
- サクサクした料理(揚げ物や天ぷらなど)×タンニン感・収斂性のあるワイン
これまでにみてきた同調・中和・補填に、一口のポーション・硬さ、料理法などを調整する「食感」を加えることでペアリングがさらに向上します。
「食感のペアリング」具体例
Tボーンステーキ × アルゼンチンマルベック
厚切り牛肉の料理 × タンニンが強めでジューシーな赤ワイン のペアリング。
脂質が高く、味わいも強く、厚切りで食べ応えのあるステーキには、タンニンが強めでアルコールや果実感にボリューム感のあるワインを合わせます。しっとりした肉質にソフトなタンニンがマッチして「ワインが肉のソース」になる補填のペアリングに食感のペアリングが加わります。
豚の角煮 × ニューワールドの酸味が少なく果実味のあるピノ・ノワール
柔らかい豚肉 × タンニンは優しめでふくよかかな果実味のワイン のペアリング。
トロトロに煮込まれたバラ肉の食感には、ワインの柔らかい果実味を合わせたいもの。そこで酸味がおだやかなピノ・ノワールがもつソフトなテクスチャーを選びます。これなら柔らかいものどうしが出会い、どちらの食感も損なわれることがありません。
焼き鳥(ささみ)× 自然派のエレガントな赤ワイン
引き締まったささみ × スタイリッシュで心地よい酸味のあるワイン のペアリング。
鶏のささみはさっぱりとした弾力のある部位。焼き鳥に調理する場合、小さなポーションで火入れによって肉は締まります。このテクスチャーに自然派ワインの優しい飲み心地と酸味を合わせることで、ささみの食感をぼやけさせないようにします。
難しいと思われるペアリングに挑戦する
4つのペアリングを駆使すると、難しいと思われるペアリングでも合いやすくすることができます。
例えば、淡泊な魚 × 樽熟成赤ワイン のような場合、強めの火入れで「メイラード反応」を使います。樽の香ばしさと焦げの旨味で双方の方向性が近づきます。バターソテーや、チーズを加える調理法を使ってみるのも有効です。
ボリュームのある肉 × フレッシュフルーティー白ワイン のような場合には、ワサビやハーブを加える、柑橘果汁をしぼりかけることで食材とワインのギャップを埋めることができるかもしれません。
サラダ × 濃厚な赤ワイン のような場合でも、ワインの酸味を強調させるためワインを意図的に冷やしたり、フルーツのドレッシングを使ったりすれば同調が狙えます。
ペアリングに100%の正解はありません! 好みに合わせて、自由に楽しんで
4つある「ペアリングのコツきほん」のうち、「食感のペアリング」についてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
人それぞれに味覚や好みは違うもの。実際に、合わせてみると「意外に美味しい!」と驚くような組み合わせもあります。ペアリングに100 %の正解はなく、それゆえに自由に楽しめるのも、ペアリングの魅力です。
全4回の「ペアリングのきほん」は、これで終了です。あなたのキッチンでオリジナルのペアリングを、ぜひ見つけてみてくださいね!