2023年の解禁日は11月16日(第3木曜日)
フランスの新酒の解禁日は、毎年「11月の第三木曜日」と定められています。ボージョレの新酒は、秋の収穫をお祝いするために、近くの大都市であるリヨンのビストロなどで飲まるようになった歴史があります。それがパリでも評判となり、やがて一般に流通するようになっていきました。
1951年に粗悪品や醸造の氾濫を防ぐために11月15日を解禁日に定めましたが、幾度か改訂されて現在に至っています。一説によると11月15日が週末にあたると酒屋さんが休日営業しなければならず、木曜になったとされています。
ボージョレ・ヌーヴォ(Beaujolais Nouveau)とは
ボージョレは、フランス、ブルゴーニュ地方の南部に位置する地区の名前です。
ここで収穫したブドウで醸造されるワインに『ボージョレ』の名前がつきます。
ボージョレで収穫されるブドウ品種はほとんどが「ガメイ種」で、軽やかでフルーティーな味わいの赤ワインになります。
解禁直後速報!(2023/11/14) シャトー・デ・マラドレ 金賞受賞!
獲得したのは2023年ヴィンテージです
現地のボージョレ・ヌーヴォ コンクールで金賞常連の銘柄。
2023ヴィンテージも見事「トロフェ・デ・ボージョレ・ヌーヴォ 2023」で金賞を獲得しました!!!
しかも、金賞のなかでも最高位である『金賞グランプリ』(金賞グランプリ→金賞→銀賞)でした。
【受賞コメント】
強い輝きと透明感のあるルビー色。赤果実のジャムを想わせる凝縮した香り。シルキーなタンニンと余韻が口中で心地よく長く続きます。
『ボージョレ・ヌーヴォ』『ボージョレ・ヴィラージュ ヌーヴォ』の違い
ボージョレ地区の北部にあるいくつかのコミューン(地方行政上の最小単位)では優秀なブドウを生産できるため『ヴィラージュ』を付けてワインを販売することが許されています。つまり、通常のボージョレより高い品質とみなされているのです。全部で38のコミューンがヴィラージュを名乗ることができます。
『ヴィエイユ・ヴィーニュ』とは
いくつかのヌーヴォには『ヴィエイユ・ヴィーニュ』と書かれたものがあります。
これは樹齢の高いブドウの樹(古木)を使っているという意味です。一般的にブドウの樹は樹齢が高いほうが根が深く、ブドウの品質が上がります。また、樹齢が高くなるにつれ収穫される実が少なくなるため希少性も高くなります。樹齢何年目からヴィエイユ・ヴィーニュを名乗れるかは決まっておらず、生産者の判断にゆだねられます。
フランスではボージョレ地区以外でも11月第3木曜日に新酒が解禁されます。ボージョレの隣の地区『マコン(マコネー)』ではシャルドネを使った白ワインが『マコン・ヴィラージュ ヌーヴォ』として販売されます。ワインファンの方から「白いヌーヴォ」として注目されるようになりました。
ワインが早く出来上がる、『マセラシオン・カルボニック』とは
ボージョレ・ヌーヴォとなるガメイ種の収穫は主に8月下旬です。通常、赤ワインを醸造する際はブドウを果梗を取り除き、破砕してからタンクに入れてゆっくりと醗酵させます。※ボージョレの赤ワインの中には知る人ぞ知る長命で偉大なワインがあります。
しかし、ヌーヴォの場合は解禁に間に合わせるために、ブドウの房まるごとをタンクに投入してそのまま発酵させます。
醗酵の初期段階で発生する炭酸ガスによってブドウから様々な成分が生成され、通常より早く2,3か月でワインが出来上がります。
ボージョレ・ヌーヴォは早めに飲むワイン
マセラシオン・カルボニックで造られたワインはタンニンが少なくさらりとして、新鮮なうちに飲むのに適しています。ライト~ミディアムボディの軽やかな味わいが特色です。
誤解してはならないのが、「ボージョレのワイン全部が早飲みに適している」わけではないということ。通常の醸造方法で造られるボジョレーワインは、先ほど書いた通り風味豊か。中には熟成させると驚くほど姿を変える素晴らしいワインがあります。
2022年にボージョレ・ヌーヴォの値段が高くなった
生産や流通コストが世界的に高騰していくなかで輸入ワインもほかの品目と同じように価格が上昇していました。しかし2022年のボジョレー・ヌーヴォの値上がりがとくに大きなものになりました。背景にどういうことが起こっていたのかを解説いたします。
航空便を使って運ぶこと
私たちワイン輸入業者は、ボージョレ・ヌーヴォを航空機で日本に運んできます。通常の輸入ワインはコスト面で有利な船便で、温度管理のためにリーファーコンテナを使います(地域事情などによっては使えない場合も)。ヨーロッパからの船便輸送にはだいたい2~3か月を要しますが、新酒のように解禁日が大切な場合は数日で輸入できる航空便を使う必要があるからです。
ワインの出荷価格
世界的なインフレ傾向はワインの商品代金にも直結しています。
とくに瓶、ラベル、段ボールなどの資材の値上がりは重要な要素です。
そいういった背景により生産者によりますが、中にはワインの買付け価格が20%上がったところもあります。
為替レート
円安の影響もまた、輸入ワインの商品価格に直結する要因です。2022年は円安が進行していたタイミングでしたので、それまでに比べて10%程度の価格押上げ要因になりました。2023年も同じくらいのレートになりそうですね…。
2023年ボージョレ・ヌーヴォの出来は?
では、現地の生産者オジュー社から届いているボージョレ地区のヴィンテージレポートをお届けいたします。新着情報は、随時更新しています。
オジュー社の生産している銘柄はこちら
収穫(9/8時点)
9月の初旬より12あるボージョレのAOCの中で早期に熟成しやすい地区から順に収穫が始まり、徐々に広がっていきました。午後には30度を超える気温の中で収穫は行われています。
今年のボージョレ地区の夏は暑い日と涼しい日が交互に訪れ、樹々の状態に注意を払う必要があるヴィンテージです。7月は比較的暑く晴れの日が多かったですが、7月9日と11日にはヒョウを伴った暴風となり、一部エリアが影響を受けました。
8月の初旬は雨があまり降らず、また直近30年間の平均を下回る低めの気温でしたが、例年通り8月7日頃にヴェレゾン(果実の色づき)の中間段階に進むことができました。
8月中旬にかけて一部エリアでは雨が降り、7月と同様にヒョウを伴った暴風にさらされる地域もありましたが、後半は晴れの日が続き、果実が次第に熟していきました。
夏の気候は変則的でしたが、今のところ2023年ヴィンテージは良い年となる期待が出来そうです。ブドウは健全な状態であり、病疫も確認されていません。畑には素晴らしい2023年ヴィンテージを産み出す要素が揃っています。ここ数週間の果汁の印象では、素晴らしいヴィンテージになりそうだと感じています。
7/19時点のレポート
ブドウが赤く色づく成熟期は6月の好天のおかげで非常に順調でした。成熟期は通常、収穫の35日から45日前に起こるので、収穫開始の目安となります。2023年の成熟は先週始まったので、最初の収穫は8月25日ごろになると予想しています。7月に入ってからも好天が続き、嵐はありましたが幸いにも大事には至らず、また雹も降りませんでした。今年は嵐で大雨が降ったとしても、嵐の後の暑い日差しと風がすべてを乾燥させてしまうので腐敗や病気の問題は発生しないでしょう。天候にとても恵まれた年なので、ブドウの木にはたくさんの房をつけましたがいくつかのブドウの房を取り除くことにしました。これにより収穫量は多少少なくなりますが、隙間が出来る事で風通しも良くなり、残されたブドウの房が8月に湿度が高くなったとしても腐敗などが発生しにくくなります。
また収穫時にはより果実味豊かで凝縮感のあるブドウとなります。これまでのところ、私たちはぶどうの生育状態に非常に満足しており、今年のヴィンテージは非常に高い品質となることでしょう。
6/12時点のレポート
今年の冬は気温が低く(0度近く)、少し長めでした。この長い冬により、植生サイクルは遅めに始まりました。
今年は霜が降りず、畑に被害はなかったのは、よいニュースといえるでしょう。
現在直面している問題は、水不足です。とはいえ、今のところブドウの木はその影響は受けていません。
地下水の水位が非常に低いので、警戒を怠らないようにしなければなりません。
また、ボージョレ地区の中でも、北部のフルーリーでは3ミリ、ボージョレの南部では20ミリだったように、ほんの数キロ離れた村ごとに降雨量に大きな差があるため、今後数カ月の降雨量は、2023年のヴィンテージの収量と品質を見極める重要なデータとなるでしょう。
現時点では6月初旬に素晴らしい条件で開花が確認され、今年は果実が多く実りそうです。ブドウ畑は一面緑で生き生きとしています。
現状況
- ブドウの樹は美しく生き生きとしています
- 衛生状態はパーフェクト
- 収穫は9月初めの見込み
ご存じの通り、ヌーヴォの品質はこの数カ月にかかっています。収穫までの3カ月、忍耐強く見守る必要があります。降雨量が重要な要素となるでしょう。「母なる自然」は私たちの味方になると信じています。
最終更新日:2023/9/22