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日本ワイン好きが解説 『北海道ワイン』の特徴

日本ワイン好きが解説 『北海道ワイン』の特徴

北海道は近年ワイン造りが非常に活発でホットな生産地になっています。モトックスの日本ワイン好きのスタッフが北海道の特徴をご紹介します。

北海道のワイン概要

2000年以降に設立されたワイナリーの数が30軒を超え、現在では50ほどのワイナリーが軒を連ねています。本州に比べると、まとまった土地を安く購入できるというのがワイナリー増加の要因の一つです。
これまで空知(そらち)地方と後志(しりべし)地方にワイナリーが集中していましたが、この2地方以外にもワイナリー設立の動きが広がってきました。

「北海道」は2018年に国税庁の地理的表示に指定されました。北海道のワインの特徴は欧・中東系品種(ヴィティス・ヴィニフェラ種)のワインが多いこと、様々な形態のワイナリーがあることです。大手企業の資本による巨大なブドウ畑をもつワイナリー、家族的なドメーヌ型のワイナリー、そして主に委託醸造を行う小規模な生産者まで、日本ワインの生産地で最もバラエティに富んだワインシーンが見られます

北海道の気候・風土

北海道の面積は約83,457㎢で東京都の39.7倍、オーストリア一国に匹敵する大きさになります。

北端のブドウ栽培地である名寄(なよろ)市から南端の栽培地である北斗市の距離は296kmあります。おなじワイン生産県の山梨は西端と東端の距離が27km。比較すると非常に広大であることが分かります。

4月~10月の平均気温は12.8~14.6℃と日本のワイン用ブドウ栽培地のなかでは最も低く、フランスのランスやドイツのラインガウと同じです。

北海道のワイン生産量

山梨県、長野県に次いで第3位となっていて、日本全体の18.5%を占めています。ワイナリー設立の動きが活発なため生産量は伸びていくことでしょう。

主要ブドウ品種

ほかの日本ワイン産地と同じく、ワイン用ブドウ品種だけではなくヤマブドウ系や生食用品種のワインも生産されています。冷涼な気候であるため、本州に比べてドイツ系の白用品種の栽培が多めです。ブドウ生産量4,339tのうち白品種は46.2%、赤品種が30.9%で白の割合が高いことがわかります。

白品種の1位はナイアガラで全体の26.4%。赤はキャンベル・アーリーで14.1%です。栽培面積はまだ小さいですがピノ・ノワールが急増しています。冷涼な気候を活かした「日本のピノ・ノワール」として北海道に期待がかかっています。

北海道の地品種『山幸』と『清舞』

北海道には特有品種の『山幸』『清舞』(ともに赤)があります。『山幸』は2020年に甲州、マスカットベーリーAに次いで日本で3番目のOIV(国際ブドウ・ワイン機構)登録品種になりました。

『清舞』は寒冷地で栽培可能な品種を目指して、池田町ブドウ・ブドウ酒研究所が1978年にヤマブドウと清見(セイベル13053のクローン選抜)を交配して開発されました。深い色合いにヤマブドウ由来のスパイシーな風味、しっかりとした酸味を感じることのできる味わいが特徴です。

北海道を代表するジビエ『エゾシカ』にピッタリな味わいの品種です。

主なワイン産地

北海道庁の「ぶどう用途別仕向実績調査」によると、2018年のワイン用ブドウ栽培面積は355ha。食用を含めたブドウ全体の約44%を占めていて、他の都道府県よりも高い比率です。北は名寄市から南は函館市まで全域でワインが栽培されていますが、二大産地は『空知地方』『後志地方』です。

空知(そらち)地方

一般的に空知地方では丘陵地帯でブドウが栽培されています。浦臼町には100haを超える日本最大のブドウ園があります。隣接する岩見沢市三笠市では近年ワイナリー設立の動きが活発で、主にワイン用ブドウを育てています。

醸造に必要な設備を既存のワイナリーから貸してもらい、自ら持ち込んだブドウでワインを製造する『カスタムクラッシュ』が活発です。これは10Rワイナリーがはじめたシステムで北海道中のワイン生産者に大きな影響を与えています。小規模な生産者が多くいるのはこういった背景が一つに考えられます。ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランが増加傾向であるのと、ツヴァイゲルトに挑戦するワイナリーも見られます。一方でケルナーが減少傾向にあります。

後志(しりべし)地方

2013年に栽培面積、収穫量ともに空知地方を上回り道内1位の産地となりました。ヴィティス・ヴィニフェラ(ヨーロッパ系ブドウ品種)が多いことは空知地方と共通しています。後志地方のワイン用ブドウの栽培面積のほとんどを占めるのは余市町です。同町のワイン用ブドウの栽培面積は近年急激な増加傾向にあり、約151ha(2019年データ)に及びます。

世界で高く評価をされている『ドメーヌ・タカヒコ』などを中心にワイナリー設立の動きが活発化していて、隣接する仁木(にき)町を含めるとワイナリーの数は20を超えます。異業種のワイナリー参入もトレンドになっています。




参考
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2018』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2018年

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