イタリアのトスカーナと言えば、言わずも知れたワインの銘醸地である。
観光地としてはフィレンツェが有名だ。
建築史上、最高峰の美しさとして知られる丸屋根の大聖堂、ドゥオモには多くの観光客が訪れる。
そんなトスカーナで生まれた物理学者がいる。
『ガリレオ・ガリレイ』だ。
彼は天文学にも精通していて、私自身少なからず影響を受けた人物である。
私は地方の生まれで、自然とともに育ったと言っても過言ではない。夜になると街の灯りは少なくなるので、星空はキレイに見ることが出来た。
私が天体に興味を持ったのは小学生の時に、はじめて仕事というものを体験した時のことだ。
その仕事とは、天文台の職員のお手伝いである。
担任の先生がこの天文台の職員で、その助手として仕事を体験させてくれたのだ。
地元とはいえ、山の上にある天文台に行くことなどなく、この時に生まれてはじめて満天の星空を見た。
空にはこれほど多くの星があるのかと圧倒されたものだ。街にいるとこうは見えない。
天の川も街で見るのと、天文台がある山頂で見るのとは訳が違い神々しいほど明るく本当に流れる川のようだった。
その時の衝撃は今でも覚えている。
私はこの体験を通じて、天体観測に興味を抱き、それに関連する書籍などもちょこちょこと読むようになった。
1610年、ガリレオ・ガリレイは一冊の論文を発表する。タイトルは『Sidereus Nuncius(シデレウス:星空のメッセンジャー)』である。
この論文は、望遠鏡を使った木星衛星(ガリレオ衛星)の観測記録である。
天動説が有力だった当時としては、この論文は異端として扱われはしたが世界にガリレオ・ガリレイの名を博すこととなった偉大なる論文である。
そんな偉大な書籍の名を冠する『シデレウス』というワインがある。
このワインは、ガリレオ・ガリレイの生地と同じトスカーナ州のブドウで造られている。
ワイナリーは、『プロヴィンコ イタリア』
トレンティーノ州に本拠地を構え、1970年代に醸造家の協同組合としてスタートしたワイナリーだ。
現在は、ワインや醸造の専門家やマーケティングや販売の専門家からなるプロ集団によって運営されており、わずか半世紀で進歩的な変化を遂げている。イタリアのワイン専門誌「ルカ・マローニ」でも高い評価と注目を浴びるなど、クオリティにも寸分の隙もない。彼らを一言で表現するならば『品質第一主義でありながら革新的』である。
ガリレオ・ガリレイは、物理学の分野では自然現象に対して数学的手法や思考実験を取り入れ、天文学の分野では、望遠鏡をいち早く取り入れ研究を重ね、自身の見解は科学を交えて論じていた、言わば革新的な人であった。
どこか、『プロヴィンコ イタリア』と『ガリレオ・ガリレイ』に思考の共通点がある気がしてならない。
シデレウスとは、ラテン語で『満天の星』。このワインは美しく輝く明るい星のように、そして、ガリレオ・ガリレイのように威厳があり偉大なワインという想いで名付けられたそうだ。
天体をモチーフにしたラベルもそれを物語っている。
このラベルがすごく素敵で、当時の星空を思い浮かべてしまう。
大人になるにつれ、星をみる機会も時間もずいぶん減ってしまったなと思う。
それでも、最近はキャンプに出掛けるようになり、星を見る機会が少し増えた。
最高の時間は、昔から変わらず静寂の中ぼーっと星空を見上げることだ。
その傍らにはやはり『シデレウス』を置いておきたい。
シデレウスという言葉の意味やガリレオ・ガリレイという人物やその当時の歴史、自分の思い出や最近思うことなど、ぼんやりと考えながらゆっくり流れる星と時間を楽しんでいる。
キャンプと言えば、最近焚き火がブームであるが、それとの相性はすごく良い。
キンと冷えた空気に焚き火の遠赤外線で顔や肌は温められ、少しアルコール度数の高いワインなので身体はすごく温まる。
そして、燃えている薪の香りと、このワインがまとう少しスパイシーな香り、熟した赤果実の風味が、個人的にはとても相性が良いと感じている。
焚き火の時間は、なるべく手軽なつまみにして焚き火の時間を楽しむようにしている。なので、チーズやサラミなどをチョイスすることが多く、こだわりと言えば、イタリア産にすることくらいか。これらとはよく合い、あまり外さない。
醍醐味は焚き火が消えたあとに訪れる。
静寂と満点の星、そしてぼーっと傍らにあるものを飲むこの時間である。
ご紹介したワイン「シデレウス」はこちら
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- イタリア
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赤
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2017
Provinco Italia
プロヴィンコ イタリア
Toscana IGT Rosso Sidereus
シデレウス
750ml, 2,250 yen
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