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普段に取り入れて欲しいスペインのカバ、「ダミア」

普段に取り入れて欲しいスペインのカバ、「ダミア」

ワインのバイヤーとして17年間ヨーロッパ各国で活躍してきた目利きのプロが教えるスペインのカバ事情。おすすめのワイナリー「ダミア」の情報も。

ワインをもっと身近に!ワインライフをもっと豊かに。
はじめまして、コウノカヨです。美味しいワインをお届けしたくてフランスから始めたワイン買い付けの旅も気がつけば17年、ヨーロッパ9か国となりました。考えてみれば当然ですが・・・日々楽しむワインの先には造り手がいて、それぞれの土地に愛すべきキャラがいます。ワインを飲む度に思い出すのはそんな彼らのトリビア満点なストーリー。

このコラムではおすすめワインとともに、ちょっと角度を変えて海の向こうのワインピープルの横顔や、ワインが少し美味しくなるエピソードをご紹介していきます。

スペインを代表する瓶内二次発酵のスパークリングワイン、カバ。
数あるスパークリングワインのなかでも最も手間とコストのかかるトラディショナル方式(シャンパーニュと同じ方式)で造られ、長期熟成など厳密な規則により統制されています。

スペイン旅行の一日目、マドリッド到着のお祝いはカバだ!と思ったら・・・・、なかなかカバに出会えないってご存知ですか?(カバは原産地呼称制度のなかで例外的に発祥の地カタルーニャ州以外の州でも生産が認められていますが、実際は生産の95%以上がカタルーニャ地方です)

そんなときはバルセロナへ飛びましょう。
内陸の首都マドリッドから飛行機で1時間半、地中海沿岸の街、バルセロナは海と山がとても近く、キラキラと開放的な空気に満ちています。

バルセロナに入ればもうこっちのもの!
街角のバルで、レストランで、テラスで、どこでもカバが楽しめる。果実味が豊かでカジュアルに飲めるカバはスペインの鮮やかな日差しにとてもよく似合います。金曜日ともなればもう週末モード。お昼から大勢の人々がカバのグラスを片手にタパスを囲んでおしゃべりに夢中です。いい国だ。

「ダミア」がおすすめ。1000円台でも手仕事にこだわるハイクオリティ

日本でも夏を感じ始めるこの季節におすすめしたいのが「ダミア」。
ブドウ畑から出荷までの複雑な工程を、一貫して手仕事で丁寧に行っているのに、辛口のブルットで千円ちょっとと、破格のお値段。お手頃価格なことを得意とするタンク方式のスパークリングワインより安いくらいです。

1637年設立のカタルーニャ様式の瀟洒な建物が訪問者を迎えるワイナリーは、アルト・ペネデスの丘、85ヘクタールの自社畑の中心に佇みます。畑では有機栽培を実践。手摘みで丁寧に収穫したブドウは圧搾前にもう一度選別され、わずか25%の最良のブドウから第一搾汁を絞ります。
ちなみにこの第一搾汁はスペイン語でモスト・フロールといい、その意味は「モストの花」。フェミニンな美味しさを予感させる美しい表現ですね。

長期熟成をさせるカバ ワイナリーを訪問する醍醐味の一つはなんといっても地下セラーでしょう。
細い螺旋階段を下っていくときの高揚感は洞窟探検さながらですが、一転、静謐なセラーに到着すると眼前には隙間なく積み上げられた無数のボトルが眠る圧巻の光景が広がります。このお姿、なんとも神々しくて一瞬身動きがとれなくなるほど。ちょっと湿っぽい独特のにおいもぐっときます。
一体、どうやってこんなに積み上げたんだろう。それにどうやってここから運び出すんだろう。大変だろうな・・・。。

ダミアのこだわりはまだまだ続きます。
なんとこの後のルミュアージュ(澱を瓶口に集める工程)も手仕事。トラディショナル方式の中でも最も手間とコストがかかる仕事ゆえに近年機械化が進められている工程ですが、ここでは今でも4人の専門の職人が行っています。
一本で2キロはあろうかという重たいカバのボトル。微妙な角度調整や振動の制御も必要で、それは大変な仕事です。

こうして一人一人の職人さんたちの顔を思い浮かべながらこの記事を書いていると、改めてダミアのコストパフォーマンスの凄さに私のテンションも相当上がってきましたが・・・、さらに驚きの、いえ、納得のお話しをひとつご紹介しましょう。
このワイン、実はスペインではバルセロナのアバックやバスクのマルティン・ベラサテギなど、名だたる超一流レストランがこぞって愛用しています。お値段だけ見るとつい見過ごされてしまいそうな手ごろなワインなのに、プロ中のプロたちはクオリティを見抜いている。これは本当に凄いことです。

世界の美食大国、スペイン。
バスク地方のサン・セバスチャンなどは人口当たりの三つ星レストランの数が世界一という美食の都で、ベラサテギのクラスになると予約もなかなか取れない上に、もし取れたらお支払いも相当なもの。「そのために旅行するに値する卓越した料理」に与えられるミシュランの三つ星。そんなレストランでわたしたちのお財布にもとっても優しいワインが愛されている。こんなワインが食卓にあったら一流レストランさながら、気分が上がらないはずがありません。

繊細できめ細かな泡と明るい果実味。繊細な酸がすっとしたダミアに重たさは一切なく、カタルーニャ流のパエリアやピカピカ(タパスのこと)、日本ならこれからの季節、焼き鳥や野菜のおひたし、冷ややっこといったお料理とも合いますよ。おうちご飯に、どうぞ気軽にお楽しみください。

ダミアがみなさんの食卓にカタルーニャの爽やかな風を運んでくれますように。

ご紹介したワイン「ダミア カバ ブルット」はこちら

「アルティーガ・フステル」のワイナリー情報はこちらから

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