アルバリーニョとは?
スペイン北部のガリシア地方では、海産物とよく合うことから『海のワイン』と呼ばれる白ワインが造られており、その主力となっている白ブドウ品種がこのアルバリーニョです。隣のポルトガルや、新興のワイン産地ウルグアイ、そして新潟県をはじめとする日本ワインでも使われるようになってきており、注目を浴びる品種のひとつです。
現代スペインの白ワインで、代表的な存在
世界的な主力産地は、北スペインの海岸にある州『ガリシア』で、最高品種と言われています。ガリシアにある白ワインの高名な原産地呼称『DOリアス・バイシャス』の白ワインのうち約96%がアルバリーニョで造られます。翡翠色とも表現される黄緑色をしたこのブドウから造ったワインは緑がかった黄色、桃の花のような香りが高く酸味が豊か。ボディがあり味わいの複雑さはスペインの他のブドウでは及びません。
アルバリーニョの特徴
畑のアルバリーニョの樹は樹勢が中程度。頑強で高い結実力があります。比較的厚い果皮をもつ中サイズの果粒で、房は小さめです。水はけのよい乾燥しやすい土壌を好み、耐病性があるため湿度のあるガリシアをはじめ日本でも注目されています。
リアス・バイシャスでは湿った地面から離すためペルゴラという棚仕立てで栽培されますが、近年は世界的な標準スタイルとなっている垣根仕立ても増えています。
アルバリーニョの味は?
ワインの味わいはボディと酸味が骨格となり、バランスに優れています。多くはその新鮮な味わいを生かしたスッキリとしたミネラル感に溢れたスタイルですが、樽熟成によって芳醇な味わいの銘柄も見られるようになってきました。シナノキ、オレンジ、アカシアの花、レモングラス、スイカズラ、オレンジ、乾燥したオレンジピール、グレープフルーツ、ベルガモット、桃、青リンゴといった複雑さがあるのが特徴で、フルーティさとフローラルな味と香りが混在します。
『海のワイン』と表現される
アルバリーニョは海沿いの産地で栽培されることが多く、海を思わせる風味が感じられます。そのためシーフードとの相性が抜群です。ガリシアに限っていえば1890年代に共同組合を中心に最新の醸造機器や技術が導入されて刷新が図られ、高級ワインとして販売するために地域ぐるみのマーケティングなどが進められました。これをきっかけにスペインで最も上質な白ワインの産地として名声が確立し『海のワイン』の異名がつきました。
アルバリーニョに合う料理
ガリシア州では、ホタテ貝やマテ貝、ムール貝、牡蠣、エビやタコ、様々な海藻類と楽しまれます。魚介類の料理なら全般的に合わせやすいため、日本の食卓でも生の魚、焼き魚、揚げ物、オイル煮など様々な調理法でお試しください。『プルポ・ア・フェイラ』(Pulpo a feira)は、茹タコをジャガイモとともに赤トウガラシとオリーブオイルをかけて食べるガリシアの郷土料理。いわゆる「屋台の味」で、是非合わせてみたいもの。
アルバリーニョの発祥
ポルトガル北東部か、スペイン北西部のガリシア州が起源とされています。その中心となったポルトガルとスペインとの国境に位置するモンサンから広まっていったと言われています。研究によりとても古くらからの歴史があることが示唆されており、スペイン北西部においては最も古い品種の一つです。200~300年の古い樹が40本ほど発見されています。
伝統的な産地ポルトガルの『ミーニョ地方』
発祥エリアのポルトガル北西部の『ヴィーニョ・ヴェルデ』では特筆すべき品質の白ワインが造られています。ヴィーニョ・ヴェルデは「緑のワイン」という意味の産地の名前です。ミーニョ地方がポルトガル随一の涼しい地域で「緑」が豊かなことからついたと言われています。赤・白・ロゼの3種類があり、ワインには産地と同じヴィーニョ・ヴェルデという名がつけられます。
白の場合はアルバリーニョと近縁である白ブドウの『ロウレイロ』や『トレイシャドゥーラ』といった地品種にブレンドされるか、単一品種で造られる場合もあります。
注目の新興産地『ウルグアイ』
新興のワイン生産国ウルグアイでも栽培されています。マルドナド県では主要品種となっており、大西洋の湿潤な影響を受けた気候がガリシアと共通していて、丘陵地で水はけのよいことがアルバリーニョの栽培に適しています。2001年に栽培がスタートしてまだ栽培面積は84haですが、ここ数年で急拡大しています。第一人者のひとつが「ボウサ」です。
日本でも栽培されている
ウルグアイと同様に、温暖で湿度のある日本でもアルバリーニョは栽培されています。新潟県の『カーヴ・ドッチ』が栽培を始めてワイナリーのある『ワインコースト』から富山県や大分県などで増加しています。
関連コラム
参考
ジャンシス・ロビンソン、ジュリア・ハーディング、ホセ・ヴィアモーズ/『ワイン用葡萄品種大辞典』/共立出版株式会社/2019年
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第8版』/ガイアブックス/2021年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2023』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2024年
大滝恭子、長峰好美、山本博/『スペイン・ワイン』/早川書房/2015年
スペイン大使館経済商務部 発行冊子/『スペインのワイン』/2006年
カーヴ・ドッチ/ワイン造り/2024.7.24閲覧
https://www.docci.com/story/