「皮は黒」でも「果肉は白」だから
ピノ・ノワールに代表される黒ブドウは、果皮こそ黒っぽい色をしていますが果肉と果汁は基本的に「白」です。果皮の色が出ないように「優しく」果汁を搾ることで、わずかにピンクをした搾汁となります。色素は自然に沈殿し、きれいな白い搾汁が得られます。この搾汁を醗酵させると白ワインができます。
国や地域によっては黒ブドウから白ワインを造った場合は原産地呼称認定に認められないことがあるのですが、チャレンジ精神旺盛な生産者はそのようなワインを造ることがあります。
ピノ・ノワールから造られる白ワインの代表は『シャンパン』
黒ブドウから白ワイン(発泡性)が生産することが認められている代表格のシャンパン(シャンパーニュ)では、使われる主要なブドウ品種として
- シャルドネ(白)
- ピノ・ノワール(黒)
- ムニエ(黒)
が知られています。
シャルドネ以外は黒ブドウですが、黒ブドウからでも白いシャンパーニュが造られているのは先の「優しく搾る」手法によるものです。
ピノ・ノワールは黒ブドウのなかでも色素やタンニンが少ない品種なので、比較的白い果汁を得やすいという特徴があります。とはいえ圧搾は数回に分けて徐々に圧力をかけることが必要で、繊細な仕事のできる高価な圧搾機が必要になります。
黒ブドウ100%の白ワインは『ブラン・ド・ノワール』と呼ばれる
黒ブドウ100%で造られるシャンパンは「黒の白」という意味の、『ブラン・ド・ノワール』と呼ばれます。この呼び方はシャンパン以外のスパークリングワインや、発泡性ではないスティル・ワインでも使われるようになっています。
ちなみに白ブドウ100%で造られたシャンパンの呼び名は『ブラン・ド・ブラン』で、シャンパン以外のスパークリングワインの銘柄名に付けられることがあります。
おすすめの『ブラン・ド・ノワール』
ピノ・ノワール100%で造られたシャンパン。ブドウの一番搾汁(キュヴェ)の中でも特別な『クール・ド・キュヴェ』を使用した贅沢仕様。
シャンパーニュ地方のブドウ『ムニエ』100%で造られたブラン・ド・ノワール。
ブルゴーニュ地方のピノ・ノワール100%。瓶内二次醗酵で細かな泡が特徴。
ブルガリア産のピノ・ノワール100%で造られた限定スティルワイン。
山形県のタケダワイナリーが造る。マスカット・ベーリーA 100%のブラン・ド・ノワールを樽熟成させたもの。
長野県の信州安曇野ワイナリーが造ったカベルネ・フラン100%のブラン・ド・ノワール。
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参考
ジャンシス・ロビンソン、ジュリア・ハーディング、ホセ・ヴィアモーズ/『ワイン用葡萄品種大辞典』/共立出版株式会社/2019年