ワインのヴィンテージとは
ワインの『ヴィンテージ』は、そのワインの原料となったブドウが「収穫された年」のことをいいます。
ラベルに「2000」、「2015」のような数字が書かれていれば、それはそのワインのブドウが、西暦何年に収穫されたものかを表します。
プレゼントを選ぶとき、生まれ年のワインを贈る...という話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
なぜヴィンテージを表記するのか?
それは、ブドウが採れた年の個性がワインに表れるから。
ブドウは農産物なので、どうしても採れた年の天候や収穫時期など、生育状態によって品質や個性に違いが出てきます。「今年のリンゴは出来が良い!」というのと同じです。
ワインは果物から造られるお酒ですので、毎年違って当たり前ですよね。
全く同じ銘柄のワインであっても、ヴィンテージによるブドウの出来の違いがワインの品質に影響を与え、価格に大きな開きが生じてしまいます。
しかし、必ずしも『ヴィンテージの良し悪し=ワインの良し悪し』ではありません。
ブドウの出来が悪い年でも造り手の技により、美味しいワイン出来上がります。
生産者たちは、ブドウの出来が良い年も悪い年もベストなワインを造ることを目指し、さまざまな努力を重ねているのです。
国による呼び方の違い
ワインはその生産国や地方の規格を満たしていれば、ヴィンテージを表記することができます。
ヴィンテージ(Vintage)は英語。
フランス語では、ミレジム(Millesime)
イタリア語では、ヴェンデミーア(Vendemmia) と表記されます。
ヴィンテージ表記の規定
ヴィンテージの表示規定は国によって異なります。
例えばEU加盟国の場合は85%以上をその収穫年のブドウと定めています。
ただし、フランスのシャンパーニュ地方のように単一収穫年を条件している他に、最低36カ月間の熟成を行わないとヴィンテージ表記ができないという場合もあります。
日本ワインの場合も、国内収穫のブドウを国内で醸造して同一収穫年のブドウ85%以上を使用する必要があります。
ヨーロッパ以外の新興国では同一収穫年の比率が低い場合も見られます。例えばチリの場合は75%以上と定められています。
収穫年の違うブドウをどうやってブレンドするのか?
ブドウ果実を冷凍などで保存して、次の年に収穫するブドウとブレンド...というのは現実的ではありません。実務的には昨年収穫したブドウからできたタンクのワインを、今年仕込んだタンクのものとブレンドするというのが一般的です。
ヴィンテージ表記がないワイン?
規定を越えて収穫年の違うワインをブレンドした場合は特定の年号を決めることができなくなります。その場合はヴィンテージを表記することができません。
また、特定の年に収穫されたブドウのみを使って造られた場合でも、地域のワイン規定を満たしていない場合は、ヴィンテージの表記ができず、「ノン・ヴィンテージ=年号がない」ワインとなります(先ほど述べたシャンパーニュがこの例です)。
目的によってはノン・ヴィンテージワインを狙って造ることもあります。例えば毎年安定した品質のワインをつくるために、複数年のブドウを使用する場合や、ワインをブレンドしてあえてヴィンテージの違いを平均化する目的などがあります。
収穫する年によって、生産量や品質の違うブドウを使って一定の品質を保つなんて...まさに職人技!生産者の腕の見せ所です。
古いヴィンテージはどう違う?
では新しいヴィンテージのワインと古いヴィンテージにはどんな差があるでしょうか?
それは熟成による違いです。
新しいヴィンテージの魅力はなんといってもフレッシュさ。果実味を感じるワインが多く、いきいきとした味わいがお好みなら新しいヴィンテージのワインがおすすめです。
それに比べ、古いヴィンテージのワインは熟成が進んでいます。時が進むほどに変化し、味がまろやかになる、複雑さを増すなどの特徴が出てきます。
若い時はワインが硬く感じていたものが、熟成されて飲み頃を迎える、ワインはそんな時間の経過を楽しめるお酒です。
しかしワインには飲み頃のピークが存在するため、そこを過ぎてしまうと味が劣化してしてしまいます。古いヴィンテージだから美味しい、とは一概には言えない理由です。
新しくとも古くとも、両方楽しめるのがワインの懐の深さなのかもしれません。
古いヴィンテージのワインが高級な理由
ヴィンテージが新しいものに比べ、古いヴィンテージのワインは比較的高価なことが多いです。
理由は3つあります。
一つ目は、もともと長期熟成に向いているのは高級なワインが多いこと。
二つ目は、熟成することでの保管コストがかかること。
三つ目は、古いヴィンテージのワインは消費されて、希少性が高くなること。
高級なワイン+保管コスト+希少性の3つが揃うので、古いヴィンテージワインの価格が高い理由も納得です。
最後に
「何年に採れたブドウかなんて、考えたこともなかったわ」と思った方。
ふと思い出したら、ワインのラベルを見てみてくださいね!