ドメーヌ(Domaine)とは
『ドメーヌ』は自家栽培醸造家を意味し、ブドウ栽培から醸造・熟成・瓶詰めまでを自分で行う生産者を指します。
畑と醸造所をもち、一貫したワイン造りを行うスタイルで、フランスのブルゴーニュ地方を中心に使用されています。
もともとは「所有地」「区画」「領域」といった意味を持つ言葉で、現在ではブルゴーニュに限らず、フランス全土で広く使われています。
ブルゴーニュ地方の生産者は比較的小規模で敷地が小さく家族経営でワイン造りを行っているところが多くみられます。
『農家の職人』といったイメージに近く、ドメーヌ・~と聞くと当主の顔が思い浮かんでくるようです。
下のワインは、どちらも
『ジュヴレ・シャンベルタン(=村名)』の畑で収穫されたワインです。
同じ村産でも
ドメーヌ・アンリ・ルブルソー(Domaine Henri Rebourseau)さん
が造ったものと
ドメーヌ・マルシャン・グリヨ(Domaine Marchand-Grillot)さん
が造ったもの
というように、生産者が違います。
※赤がワイン名、青が生産者名
ブルゴーニュ産のワインは、村名、畑名、区画名などがワインの名前になっているものが多く、同じ名前のワインを複数の生産者が造っています。
生産者が違うとワインの個性も違ってきますので、ブルゴーニュワインを選ぶ時には生産者にもぜひご注目ください。
シャトー(Chateau)とは
『シャトー』は、ブドウ栽培から醸造・熟成・瓶詰めまでを自分たちで行う生産者を指す言葉で、主にフランスのボルドー地方で使われています。
ブルゴーニュ地方の『ドメーヌ』と同様に、一貫したワイン造りを行うスタイルです。
もともとは『城』を意味する言葉で、現在ではワインの生産者名として広く定着しています。
ボルドー地方の有名シャトーは広大な畑をひとつの生産者が所有しているところが多く、生産量も設備も規模は大きめです。
ボルドー地方以外でも南フランスなどで使われている場合があります。
シャトーの歴史・現在
ボルドー地方でワイン造りを行う『シャトー』は16~17世紀頃から建てられるようになった醸造所が原型です。
18世紀に貴族が所有するようになり、19世紀目前にはフランス革命によって富豪の手に渡りました。
どの時代でも豊富な資金が投資されたことでワイナリーは栄華を極め、やがて畑・醸造施設、ワインの銘柄名は「シャトー」と呼ばれるようになりました。
現代では特定の所有者が畑とその近くに醸造所をもち、栽培・醸造・瓶詰する場合に「シャトー」を名乗ることができます。
ですから城があっても、なくても「シャトー・〇〇〇」ということになっています。
ネゴシアン(Negociant)とは
『ドメーヌ』や『シャトー』のようにワインラベルに登場することがあるのが『ネゴシアン』です 。
「ネゴシアン」はフランス語で直訳すると「卸売商人」「仲買人」という意味です。
フランスワインでの「ネゴシアン」がもつ意味はブルゴーニュ地方とボルドー地方で大きく違ってきます。
ブルゴーニュ地方のネゴシアンは、栽培農家やドメーヌが収穫したブドウ、ブドウ果汁、ワインのいずれかを買い付けます。
そのうえで最終段階の醸造、熟成、瓶詰めを行って自分の名前のついたラベルを貼って販売します。
優秀な栽培農家とコネクションがあって自身は醸造と販売に専念する場合や、生産者の売れ残ったワインをうまく買い付ける才覚をもっている場合など、形態はさまざま。
ブルゴーニュ地方のブドウやワインの流通に重要な役割を果たしています。
ボルドー地方のネゴシアンは、ブルゴーニュ地方よりシンプルです。
生産者であるシャトーから瓶詰め、ラベリングされたワインを買い付けて各国の流通業者などに販売する純粋な仲買人として機能しています。
シャトーから直接ワインを購入する権利を持っており、膨大なボルドーワインの流通や、その年の価格決定に重要な役割を果たしています。
毎年4月に開かれるプロ向けの一大試飲会「プリムール」では有名シャトーの新しいヴィンテージが瓶詰め前の状態でお披露目され、ネゴシアンを介して世界中から予約注文を集めます。
ネゴシアンを介した取引はボルドー全体の約7割に及びます。
メゾン(Maison)とは
『メゾン(Maison)』は、主にシャンパーニュ地方の生産者を指します。
フランス語で「家」という意味の言葉です。
シャンパーニュ地方では自社畑で収穫したブドウのみを用いて醸造を自ら行う生産者をレコルタン・マニピュラン(Recoltant Manipulant 略:RM)」といい、原料のブドウを他社から買い取り、シャンパーニュを醸造する生産者をネゴシアン・マニュピュラン(Negociant Manipulant 略:NM)といいます。
生産地によって生産者の表現が異なるフランスワイン。
ワインを選ぶ際に、ぜひ生産者の呼び方に注目してみてくださいね。