ワインの産地といえば、皆さんはどんな国を思い浮かべますか?フランスやイタリアなど、まずはヨーロッパの国々を思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。ドイツやスペインなども、古くからのワイン産地として有名ですよね。
ところで、皆さんは「ニューワールド」ってご存じでしょうか。
チリやオーストラリア、南アフリカなど、これらの国々は「ニューワールド」や「新世界」と呼ばれ、新しいワイン産地として注目を集めています。今回は、「ニューワールド」についてご説明いたします!
そもそも「ニューワールド」とは?
ニューワールドは、言葉の通り、「新しい世界」を意味します。ヨーロッパなどの古くからのワイン産地に対して、新しくワイン産業を始めた生産国のことをそう呼ぶのです。 ニューワールドの代表的な国々には、チリ、アルゼンチン、アメリカ、南アフリカ共和国、オーストラリア、ニュージーランドなどがあり、今日、素晴らしいワインを生み出しています。
ただ、“新しい”とはいっても、産地によっては、その歴史の始まりは400年以上も前に遡ります。
そもそも、ワインの歴史は、紀元前5,000年ごろ、西アジア(中東)で始まったとされています。やがてワインは、メソポタミア(現在のイラクやシリアの周辺)、エジプト、ギリシャに広がり、ローマ帝国の時代には、その支配下にあるヨーロッパ各地で根づいていきました。
その後、ヨーロッパでは、「キリストの血」としてミサに使用されるワインの造り方が、長きにわたり修道院で発展していきます。そして15世紀、ヨーロッパが大航海時代を迎え、世界中に進出し始めると、彼らは各地に修道院を作り、そこでワイン造りを始めました。これが、多くのニューワールドワインが生まれるきっかけとなったのです。
~ちょっと歴史解説~
*大航海時代
15~17世紀にかけて、ヨーロッパの国々は、アフリカ大陸南部や、南北アメリカ大陸、アジア、そしてオセアニアへと乗り出しました。
*初めてのニューワールドワイン
16世紀半ば、南米ペルーにやってきたスペイン人がブドウを植え、初めてニューワールドでワインが造られました。
さて、航海によって、いくら新しい土地が見つかったからといって、どこででも良いブドウを育てられるわけではありません。その位置や地形、天候によって、
ブドウを育てるのに適した場所は限られてきます。では、どのような環境が、ブドウ栽培に向いているのでしょう。
ワインが生産される主な地域
地球上には、北半球と南半球それぞれに、「ワインベルト」と呼ばれる範囲があります。ワインベルトは、年間平均気温をもとに形成される帯で、ブドウ栽培に適した場所は、この中に分布しています。
北半球:北緯 約30°~50°
南半球:南緯 約20°~40°
ワインの銘醸地や、ニューワールドと呼ばれる産地が、このワインベルトの中にあるのが見てとれますね。
ブドウ栽培に適した環境
こういったブドウ栽培に適した土地や気候は、中東やヨーロッパ以外にも世界中に存在していました。ただ、その場所がワイン造りに活かされるようになったのは、ワインの長い歴史からすると、“新しい”ことなのですね。
いかがでしたでしょうか。お手頃価格で気軽に手にすることができ、1種類のブドウ品種から造られるワインが多いことから、味わいもストレートで分かりやすいニューワールド。ワイン初心者にとって、魅力たっぷりの産地ですよね。ぜひこれからもご注目ください。