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わかりやすく徹底解説『シャブリ』の特徴 & おすすめ銘柄

わかりやすく徹底解説『シャブリ』の特徴 & おすすめ銘柄

フランスの辛口白ワインの代名詞に例えられるシャブリの解説です。

シャブリとは

フランスのブルゴーニュ地方、シャブリ地区で造られる白ワインの銘柄です。世界的に人気が高いことから産出されるエリアは広いですが、造られるのは白ワインのみ!そのすべてが辛口です。

シャブリの味

世界のワイン産地のなかでもブルゴーニュ地方は冷涼なエリアです。シャブリ地区はその中でもとくに冷涼な北部の飛び地にあり、酸味が豊かでキリリとした白ワインになります。ミネラル感もシャブリの大きな味の特徴で、火打石のような鉱物的なニュアンスを感じることができます。醸造・熟成工程で樽を使用した高級な銘柄ではナッツやバター、熟成したシャブリではナッツのような複雑さが加わります。

シャブリの人気

年間のシャブリ生産量は3,810万本(!)もあります。そのうち67%以上が国外輸出され、日本は5.5%ほどの211万本を輸入しています。日本の成人が1億人だとすると、全員で毎年15mlのシャブリを飲んでいる計算になります。一日あたりの消費量にして5,786本。たった一産地の高級ワインでこの量、かなりの人気ではないでしょうか?!
※数値は2017年から2021年の5年間における平均値

シャブリのブドウ品種

シャブリは世界的な人気銘柄ですから、広い生産面積を誇ります。しかし栽培されているブドウ品種は白ブドウの『シャルドネ』だけです。現地ではボーノワ(Beaunois)と呼ばれるシャルドネ以外はシャブリとして販売することができません。これはフランスの原産地呼称によってしっかりと守られています。

キンメリジャン土壌

シャブリはシャルドネの特徴をはっきりと映す「鏡」のようなワイン産地です。その特徴はなんといっても冷涼な気候と粘土質の石灰石土壌『キンメリジャン』。キンメリジャンとシャルドネは非常に相性がよく、長熟で最高のワインになります。引き締まった酸味、ミネラルをもち厳格な印象のワインになります。

シャブリに牡蠣が合うとされる理由

シャブリは良い畑ほどキンメリジャンがみられます。先史時代の牡蠣殻でできた地層でイギリス海峡のかなた、英国南部ドーセット州のキンメリッジにまで達していることからその名がつきました。このように牡蠣とシャブリは生まれた時から固い絆で結ばれていることから相性がよいと言われてきました。実際、樽熟成や、シュー・ル・リー製法といった工程を経たシャブリにレモン果汁をかけた生牡蠣は素晴らしい相性です。

シャブリに合う料理

すっきりタイプのシャブリ


若々しいシャブリの新鮮味にフレッシュさのある食材を合わせることを考えましょう。シンプルにグリルしたアスパラや、レモンの酸味をきかせた白身魚や鶏肉のソテー、天ぷら、フリットといった食材と調理法がおすすめです。

コクのあるシャブリ


樽熟成した上級のシャブリにはコクがあります。食材や調理法もそれに同調させると合わせやすいです。グラタンのようにチーズやクリームを使ったコクのある料理、ホタテのように甘味のある食材バターでソテーして焦げ目入れるといった具合です。

シャブリの格付け

地図のようにシャブリ村を中心にブドウ畑が広がります。冷涼な地域ですので、日光を正面から受けることができる斜面の畑がブドウの生育に有利です。なかでも南向きの斜面はブドウが豊かに成熟します。そのため、シャブリは畑ごとに4ランクの格付けがあります。

プティ・シャブリ


シャブリを生み出す畑の周辺にあるクラス。最も味わいが軽く、リーズナブルです。畑がキンメリジャンではなく1世代新しい地質のチトニアンであるためその区別は明確です。スタンダードのシャブリよりも畑の面積が少ない分、生産量も少量です。

シャブリ


キンメリジャンの最も多くの畑がスタンダードクラスのシャブリになります。樽を使わないか、使用割合が少な目であるため、すっきりとしたスタイルが主流

シャブリ プルミエ・クリュ(一級畑)


日当たりや水はけのよい斜面にある畑が一級シャブリになります。全体の15%ほどで、その数は40です。スタンダードよりも凝縮感があり、樽熟成を行うコクのあるスタイルが主流。シャブリらしい硬質なミネラルがより強くなります。

シャブリ グラン・クリュ(特級畑)


最も優れたシャブリを産む7つのグラン・クリュがあり、村と川を見下ろす南と西向き斜面の一部分に集まっています。面積は全体のわずか2%にすぎません。この7つの畑はそれぞれ独自のスタイルをもっており、非常に充実した風味をもちながら、活力があり鋼鉄のような鋭さを備え、それらが年月と共に高貢な複雑さへと変化します。必ず熟成させるべきで、理想を言えば10年くらいはおきたいもの。20~40年を経ても堂々としたボトルだって少なくありません。

シャブリの値段

格付けの高いシャブリほど値段も高くなります。生産者や畑ごとの評価によって変わりますのであくまで目安ですが、下図のような相場になっています。

格付け値段の目安栽培面積(%)
プティ・シャブリ
3,000~4,000円
17%
シャブリ
3,500~6,000円
66%
プルミェ・クリュ
5,000円~9,000円
15%
グラン・クリュ
8,000円~30,000円
2%

おすすめの生産者・銘柄

シャブリには364 軒の生産農家と、1軒の大きな協同組合があります。この協同組合はシャブリ生産の1/4を占めており、質・量ともに最高クラスを保ちます。モトックスが輸入している生産者の銘柄をご紹介します。

ラ・シャブリジェンヌ

「1軒の協同組合」は、この生産者にあたります。設立は1923年でおよそ300名が収穫されたブドウを組合に収めています。通常、組合は「果実」を買い取るのふつうですが、品質向上のために搾汁した状態で購入して畑ごとの個性を表現しました。この手法は今日のシャブリジェンヌの特徴を決定づけており、彼らのシャブリが名声を集める基盤になりました。広域なブドウを一手に手掛けることから「シャブリを知り尽くした」生産者と評されることもあります。

【スタンダード】

【オーガニック】

【昔のスタイルを復刻】

【プルミエ・クリュ】

【グラン・クリュ】

ドゥフェ・フレール

小規模な家族経営で、手間を惜まず丁寧なワイン造りをする生産者。2012年から有機栽培認証を取得しています。

【スタンダード】

【プルミエ・クリュ】

ドメーヌ・アラン・ジョフロワ

1850年創業で代々続く生産者。シャブリらしいフレッシュさとキンメリジャンの特有の果実味を出すことを重視したワイン造りを行っています。

【スタンダードでオーク樽を使用】

【プルミエ・クリュ】

ドメーヌ・ヴォコレ・エ・フィス

世界から高評価を得る名門。4世代にわたる歴史あるドメーヌで、クリーンで引き締まった風味やミネラル香といったシャブリの特徴とフルボディで芳醇な味わいを併せ持つスタイル。

【スタンダード】

【高樹齢のブドウを使用(ヴィエイユ・ヴィーニュ)】

【プルミエ・クリュ】

【グラン・クリュ】

シャブリで観られる特別な光景

春の遅霜に度々見舞われるシャブリの畑ではその寒い中で畑に水を散布します。一見すると相反するようですが、水が凍ってできる氷の層で若芽を霜から守ります。

関連コンテンツ

参考
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第8版』/ガイアブックス/2021年
ジャンシス・ロビンソン、ジュリア・ハーディング、ホセ・ヴィアモーズ/『ワイン用葡萄品種大辞典』/共立出版株式会社/2019年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2023』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2023年

シャブリワイン委員会/2024.9.19閲覧
https://www.chablis.jp/

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