シャルドネとは
シャルドネは白ワイン用のブドウ品種です。気温、日照量、土壌などの栽培条件を選ばず、その土地の特徴を映したブドウに育ちやすいことから人気が高く、世界中で栽培されています。
シャルドネの特徴
近年シャルドネの人気が急上昇した理由には、適した気候や土壌が多様で栽培しやすくて土地の味わいに仕上がってくれること、若いワインとしても長い熟成を経て複雑な風味が加わっても楽しめること、料理との相性が良いことなどが挙げられます。
シャルドネは、『モンラッシェ』『ムルソー』『シャブリ』などのブルゴーニュ地方の高級ワインで使われるため、高品質の白ワインを作るために欠かせない品種として知られています。一方でリーズナブルなワインでもフルーティで美味しいワインができます。
香り
気温や日照量の低い土地や年ではリンゴや柑橘類、メロン、ライチなどの繊細な香り。温暖で日照量の豊富な土地ではトロピカルフルーツのような華やかなフルーツの香りがあります。オーク樽で熟成した場合は、バター、バニラ、トーストのような香りが加わります。
味
フルーティで、リンゴやレモンなどの柑橘類の酸味と、バターやバニラなどのオーク樽由来の風味が感じられます。また、マロラクティック醗酵を行った場合は、クリーミーな風味が加わります。
ボディ
シャルドネのワインにはボディがあります。口当たりが柔らかいため、飲みやすい白ワインになります。
酸度
シャルドネは、一般的に中程度の酸度を持ちますが、産地や製造方法によって異なることがあります。
色
黄色味を帯びた色調のワインに仕上がりやすいです。温かい産地や年、樽熟成を行った場合はとくにその特徴が強く、何年が寝かせることで金色を帯びてきます。
熟成能力
シャルドネは、比較的長期間熟成が可能で、オーク樽で熟成した場合は、熟成によって複雑な風味が加わります。
ボトル
シャルドネはブルゴーニュ地方を起源とするため、国際的にブルゴーニュ型の瓶に詰めて販売されることが一般的です。伝統的な『ブルゴーニュ瓶』は丸みを帯びた形(右側)。もう一方の『ボルドー瓶』はスリムな細長い形状で、こちらはカベルネ・ソーヴィニョンなどボルドー所以の品種に使われるのが慣習となっています。
シャルドネの起源と歴史
シャルドネの起源は古くから栽培が盛んであるフランスのブルゴーニュ地方という説が有力です。やがてロワール地方やシャンパーニュ地方でも栽培が行われるようになり、18世紀にはヨーロッパ中に伝わっていきました。
19世紀に入ると、シャルドネは世界各地に広まっていき、特にアメリカ合衆国のカリフォルニア州では、20世紀半ばに栽培が急速に拡大。現在では世界中で栽培されるようになっています。
鑑定の結果、シャルドネはピノ(※)とグエ・ブランの自然交配品種であることがわかりました。「グエ・ブラン」は絶滅危惧品種ですが、それもそのはずで良質のワインを生まないことから栽培されなくなったことが背景にあります。片親であるピノ・ノワールは『ロマネ・コンティ』を筆頭に優れたワインを生み出すことから、シャルドネのDNAが判明した当時「格差婚だ」といわれて話題になりました。因みに現在でも重要な品種である「アリゴテ」「ガメイ」「ミュスカデ」がまったくおなじ交配から生まれています。
※ピノは変異によって、現在のピノ・ノワールなどになった古い品種です。
シャルドネのワインの種類
オーク樽で熟成したシャルドネ
シャルドネのワインは樽熟成との相性がよいのが特徴のひとつです。高級な銘柄では樽による熟成を行ってワインに木の風味をつけながら酸化熟成をうながします。これにより柔らかで複雑な味わいになり、バニラやトーストのような風味をまといます。リーズナブルな銘柄でも樽の風味をつけるためのオークチップやオークスティーブをつかって木の風味をつけることがあります。
マロラクティック醗酵を行ったシャルドネ
シャルドネは酸味が中程度のブドウ品種ですが、世界各国の北から南まで栽培されているため気候条件により表情が様々です。ブドウは一般的に涼しい産地で栽培すると酸味が強くなりますが、マロラクティック醗酵といい、ブドウのリンゴのような強い酸味をヨーグルトのようなマイルドな酸味に変える醗酵を行えば酸味をやわらげることができます。逆に温かい地域で酸味のあるワインを造るためにマロラクティック醗酵を行わない場合もあります。
シャルドネの知名度
ワインと直接関係のない話になりますが、アイスクリームやチョコレートに「シャルドネ味」のようなフレーバーとして身近なところで見られるようになりました。おなじブドウのフレーバーでも「マスカット味」よりも大人な印象を与えるのは、マスカットが食用とされるブドウなのに対してシャルドネはワイン用のブドウで知名度が高まっているからかもしれません。
シャルドネ作付面積上位ランキング(国別)
シャルドネは原産地のブルゴーニュを離れて世界各国で栽培されるようになりましたが、現在ではどの国でどのくらい造られているのでしょうか。
国 | 栽培面積(ha) | 割合 |
---|---|---|
フランス |
47,451 |
23.5% |
アメリカ合衆国 |
41,392 |
20.5% |
オーストラリア |
21,321 |
10.6% |
イタリア |
19,769 |
9.8% |
チリ |
11,435 |
5.7% |
スペイン |
6,866 |
3.4% |
南アフリカ |
6,856 |
3.4% |
アルゼンチン |
6,227 |
3.1% |
中国 |
6,100 |
3.0% |
モルドバ |
4,133 |
2.0% |
合計 |
201,649 |
100.0% |
シャルドネの産地
シャルドネは高級白ワイン用のブドウ品種の中では世界で最も広い栽培面積を誇る人気の品種です。世界中のさまざまな土地で栽培されていますが、とくに有名な産地をピックアップしてみましょう。
フランス
ブルゴーニュ地方
ブルゴーニュ地方の白ワインは、一部の銘柄を除く大半がシャルドネ100%で造られています。シャルドネの栽培には歴史があり、『モンラッシェ』『ムルソー』『シャブリ』など高級白ワインの代名詞ともいえる銘柄を産出しています。そのため比較的値段は高めです。村や畑、生産者ごとに違った味わいを見せますが、緯度の高いブルゴーニュは酸味が豊かでエレガント。世界的に有名であり、高品質な白ワインを求める人々からの人気が高いです。
シャルドネの栽培に適した気候と土壌を持っており、シャルドネが発祥した地としても知られています。世界で最も重要なシャルドネの産地であるブルゴーニュにいつどのようにブドウ栽培が伝わったかは現在でも歴史家や考古学者の間で議論が続いていますが、その歴史には修道院が大きく関わりました。世紀頃に主にシトー派の修道士たちが寄進を受けた土地にブドウを植えて名声を高めていきました。
ブルゴーニュの白ブドウはフィロキセラ渦まで「アリゴテ」も主要品種に数えられていました。しかし栽培のしやすさと質の高さからシャルドネが徐々に栽培されるようになり、高品質な白ワインを生産するための品種として確立されました。
シャンパーニュ地方
最高級のスパークリングワインを生み出すシャンパーニュ(シャンパン)地方では、主要3品種のうちの一つに数えられています(その他は黒ブドウのピノ・ノワール、ムニエ)。シャルドネ100%で造られるシャンパーニュは「ブラン・ド・ブラン」(白の白)と呼ばれ、繊細な味わいで特に人気の高い銘柄となります。
ラングドック・ルーション地方
フランス南部の豊かな土地と日照を活かしてシャルドネが育てられています。トロピカルフルーツを思わせる完熟した雰囲気をもち、比較的リーズナブル。リムー産のシャルドネは高く評価されていて、高品質なワインを生み出します。
イタリア
シャルドネはフランス生まれのブドウ品種ですが、イタリアでも栽培面積が増加しています。比較的涼しい気候の北イタリアで高品質な白ワインが産出される一方、南イタリアのシチーリア州も増加傾向にあります。
地域 | 栽培面積(ha) |
---|---|
シチーリア州 |
4,308 |
トレンティーノ・アルト・アディジェ州 |
2,360 |
ヴェネト州 |
2,338 |
イタリア全体 |
19,769 |
ピエモンテ州
バローロに使われるネッビオーロ種のように伝統的な地品種で知られるピエモンテ州ですが、ランゲ地区で生産されるシャルドネには定評があります。熟した果実の味わいと、バターやクリームのような濃厚なテクスチャーが特徴です。酸味もあるものの、一般的には他のシャルドネよりもフルボディで、力強い印象を与えます。
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- イタリア
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白
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2020
Azienda Agricola Cerutti
アジィエンダ・アグリコーラ・チェルッティ
Riva Granda Piemonte Chardonnay
リーヴァ グランダ ピエモンテ シャルドネ
750ml, 3,800 yen
こちらの商品は現在取り扱いがございません
トレンティーノ・アルト・アディジェ州
グリーンアップルやアップル、柑橘類、ミネラルなど爽やかでフルーティなシャルドネが特徴です。中程度の酸味があり、ボディとバランスのとれたアルコール感があります。
トレントの瓶内二次醗酵で造られるスパークリングワインや、ボルツァーノの山間の斜面で栽培されるシャルドネなどで出会うことができます。標高の高い山岳地帯で栽培されているため、涼しい気候と山々の土壌がフレッシュで明確な味わいを与えています。これらの要因により、トレンティーノ・アルト・アディジェ州のシャルドネは、他の地域のシャルドネと比較して、より鮮やかで繊細な味わいです。
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- イタリア
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白
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2022
Cantina Bolzano
カンティーナ・ボルツァーノ
St. Maddalena Chardonnay
サンタ・マッダレーナ シャルドネ
750ml, 2,400 yen
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州
イタリア随一の高級白ワイン産地として知られます。山と海に挟まれた寒暖差の大きな気候条件を活かして酸とミネラルの高い力強いシャルドネが産出されます。値段は少し高めです。
ロンバルディア州
イタリアの高級スパークリングワイン「フランチャコルタ」で有名な産地。イゼオ湖の周辺にブドウ畑が広がっており、使用される主力の品種がピノ・ノワールとシャルドネであることから、高品質なスパークリングワインとして出会うことが多いです。
シチーリア州
シチーリアの豊かな日照はブドウ栽培に適しています。島の西部に規模の大きなワイナリーが新たに畑を開いてシャルドネを植えていることがあり、近年シャルドネ生産量は上昇傾向です。コストパフォーマンスに優れたシチーリアのシャルドネは、柑橘類や熟した果物、アーモンドなどの香りが特徴的。フルボディよりで強いコクとしっかりとした酸味を持っています。また、ミネラルを感じることができます。
アメリカ合衆国
カリフォルニア州
アメリカ合衆国内の主要産地です。日照時間が長く、気温が高いため、果実の熟度が高く、アルコール度数が高めのシャルドネが多い傾向にあります。典型的な特徴としてはトロピカルフルーツのアロマで、フルボディ。濃厚な味わいです。樽風味とシャルドネの相性のよさが存分に活かされた味わいのワインが見られます。
カリフォルニア広域ではリーズナブルな普段用のシャルドネのワインが造られますが、ナパ・ヴァレーや、ソノマ・ヴァレーで造られる高級な白ワインでもシャルドネが活躍しています。ブルゴーニュのスタイルがベースになり、カリフォルニアらしいダイナミックさの加わったボリューム感のあるワインになります。
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- アメリカ
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白
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2021
Delicato Family Vineyards
デリカート・ファミリー・ヴィンヤーズ
1924 Scotch Barrel Chardonnay
1924 スコッチ・バレル シャルドネ
750ml, 2,500 yen
こちらの商品は現在取り扱いがございません
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- アメリカ
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白
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2019
Dierberg Vineyard
ディアバーグ ヴィンヤード
Chardonnay Santa Maria Valley
シャルドネ サンタ・マリア・ヴァレー
750ml, 5,250 yen
こちらの商品は現在取り扱いがございません
ワシントン州
ワシントン州でもシャルドネはリースリングと並んで主要品種に位置付けられています。涼しい気候の影響を受けて酸味をまとい、ミネラル感が強い傾向があります。このため、比較的軽やかな味わいでありながら、独特の深みがあります。華やかなシャルドネのアロマを放ちながら、よりブルゴーニュに近いスタイルといえます。豊富な日照でブドウは完熟してトロピカルフルーツのようなニュアンスをもちますが、同時に涼しい地域のシャルドネに感じられる、グレープフルーツのようなアロマや風味も感じられます。
オレゴン州
オレゴン州は、南のカリフォルニア、北のワシントン州とも異なる自然条件です。シャルドネにとって一番の特徴はこのエリアではフランスのブルゴーニュよく似た雰囲気のワインができることです。赤ワインはピノ・ノワール、白ワインはシャルドネと主要な栽培品種はブルゴーニュ品種とおなじで、いくつか種類のあるシャルドネの中でも、ディジョンのクローンを用いていることがひとつの要因にあげられます。
オーストラリア
オーストラリアもまた、リーズナブルなシャルドネのワインを生むワイン生産国のひとつです。一般的にオーストラリアのシャルドネは、果実味が豊かで酸味はやや控えめです。一方で1980年代には国内の涼しい産地で生産されたシャルドネが人気をして品質の高いワインを生むようになりました。こういった産地ではエレガントな酸味をともない、フルーティな香り。樽熟成をした場合はバターのような風味があり、一般的にはフルボディでクリーミーな口当たりがあります。
シャルドネの有名産地を一部挙げると
マーガレットリバー(西オーストラリア州):涼しい気候と豊富な日照時間が、シャルドネの完熟に適しています。
アデレードヒルズ(南オーストラリア州):標高が高く涼しい気候。フルーティで軽快。
ヤラ・ヴァレー(ヴィクトリア州):世界的に有名なクラシックなスタイルのシャルドネが生産されます。
ハンターバレー(ニューサウスウェールズ州):比較的温暖な気候が、リッチで濃厚なスタイルのシャルドネを生産するのに適しています。
タスマニア:とても高品質なワイン産地です。タスマニアの土壌はとても多様で、石灰岩、火山岩、粘土などの異なるタイプが混ざり合っており、風味や味わいに深みと複雑さとミネラル感を加えます。南半球の中でも最も涼しい場所の一つであり、日中の気温が低く、夜間の気温が寒いため、シャルドネの成熟は遅くなります。そのため酸味が保たれ、フレッシュでエレガントな風味が出ます。さらに、海洋性気候がもたらす海からの風も、シャルドネの風味や味わいに影響を与えます。
チリ
リーズナブルで美味しいワイン生産国として一躍有名になったチリでもシャルドネは大活躍しているブドウ品種です。1851年から本格的にワイン用ブドウ栽培がはじまったチリでは、当初ボルドーのブドウ品種がメインで、シャルドネやピノ・ノワール(ともにブルゴーニュ品種)は栽培されませんでした。1980~90年代に世界的にシャルドネのワイン需要が急増したため、チリでは他品種の樹を切ってシャルドネを接ぎ木して対応。なんとか需要に間に合わせるようになりました。
その後、チリでは涼しいエリアがシャルドネに適していることがわかったため適所栽培によって品質の高いワインが造られるように進化を遂げています。
品質の高いシャルドネが栽培されているエリアの一例を挙げると
クリコ・ヴァレー(セントラル・ヴァレー)、ロンコミージャ・ヴァレー(マウレ・ヴァレー)、カサブランカ・ヴァレー(アコンカグア)、イタタ・ヴァレー(サウス)、マジェコ・ヴァレー(サウス)など。
エリアによって表情が変わりますが、一般的にチリのシャルドネはフルーティ。リンゴや洋梨、メロンなどの果実味が豊かで、酸味がやや控えめなのが特徴です。オーク樽で熟成したものは、バニラやトーストの香りが感じられます。収穫期に雨がほとんどなく、日照に恵まれるためリーズナブルなワインでも高い品質なのがチリ産シャルドネの強みと言えます。
その他の産地
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- スペイン
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白
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2022
De Muller
デ・ムリェール
De Muller Chardonnay
デ・ムリェール シャルドネ
750ml, 2,150 yen
こちらの商品は現在取り扱いがございません
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- アルゼンチン
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白
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2019
Alpamanta Estate Wines
アルパマンタ エステイト・ワインズ
Alpamanta Natal Chardonnay
アルパマンタ ナタル シャルドネ
750ml, 2,200 yen
こちらの商品は現在取り扱いがございません
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- イスラエル
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白
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2020
Tzora Vineyards
ツォラ・ヴィンヤーズ
Judean Hills Blanc
ジュディアン・ヒルズ ブラン
750ml, 6,400 yen
こちらの商品は現在取り扱いがございません
シャルドネと料理のペアリング
シャルドネのワインは世界各国のさまざまなエリアで造られており、フレッシュ~長い熟成を経たもの、爽やかな果実風味のもの~ふくよかな樽風味のものまで様々です。料理を合わせるのであればタイプに合わせて選ぶようにしましょう。全体的には、バターを使用したクリームソースや鶏肉、魚介類の料理などとの相性が良いとされています。
魚介類とのペアリング
バターやクリーム、チーズのような素材を使う調理法がおすすめです。樽が使用されているシャルドネには皮目を少し焦がして食材とワインが同調するようにすると合いやすくなります。シャルドネは甲殻類や牡蠣との相性も良いのでおすすめです。
鶏肉とのペアリング
シャルドネは白ワインのなかでも果実味のボリュームが出やすいため、軽い肉料理でも合わせることができます。熱を入れて白っぽくなる鶏肉や豚肉は焼いたり茹でたり、揚げた料理法でも美味しくいただけます。ソースや香りづけにハーブやスパイスを加えることで複雑味を持たせるのがおすすめです。
パスタとのペアリング
オイルベースや軽めの味わいのパスタやピザに合わせる場合は軽めのシャルドネを選びます。意外かもしれませんが、醤油味を効かせた和風のパスタにも合わせることができます。逆に乳製品を使って濃厚に仕上げたパスタには重めのシャルドネを。濃厚な肉のソースには赤ワインを選ぶのが無難です。
その他の料理とのペアリング
世界中の料理にシャルドネが合う、合わないということを列挙していくのは難しいことですので違った側面から一つご提案です。海に近い産地のシャルドネは海産物との料理が合いやすく、山や内陸で造られたシャルドネは鶏や豚といった肉料理との相性がよいと考えるが一手です。
例えば白身魚のフリットにレモンを添えて、南アフリカの沿岸地域のシャルドネを合わせる。北イタリアの山岳地帯で造られたシャルドネに豚のローストを合わせる、といった具合です。
シャルドネのワインが合うシチュエーション
急に白ワインが飲みたくなったとき
「今、急に白ワインを飲みたくなった」「身近なスーパーマーケットなどで購入することになった」。そんなとき、シャルドネは選んでおけば間違いない、安心感があります。果実味と酸味、アルコール感のバランスがとれたワインになりやすいので、好みから「はずれにくい」という心強い味方です。
クリーム系の料理を作ったとき
クリーム系の料理が食べたくなったら、シャルドネのワインが出番です。豊かな果実味、ボリューム感、そして樽熟成されることの多いシャルドネはまろやかな酸味が料理のコクとぴったり寄り添ってくれることでしょう。
いろんな料理に1本で合わせたいとき
シャルドネは突出した個性があるというよりは、バランスの取れたワインに仕上がりやすいブドウ品種です。様々な料理を並べて楽しむ場合や、コース料理に一本で無難に合わせるような場合は大活躍のワインです。
フォーマルなプレゼントを用意するとき
プレゼントに白ワインを用意するときは、相手に心が伝わることが大切。白ブドウとして最も知名度の高いシャルドネは、贈る側・送られる側の双方に安心のワードだと思います。また、シャルドネはリーズナブルなものから高級銘柄までたくさんの銘柄がありますので、選べる「幅」があるのもシャルドネの有利な特徴です。
シャルドネの価格帯
~2,000円
デイリーに楽しむ価格帯。樽を使用せず、すっきりとしたワインが多いです。樽熟成したような風味をつけるためにオーク材を使ったものもあります。ラベルに「oak」の表記がされるのが一例ですので探してみましょう。逆に樽を使用していない場合「un wood」のような表記がある場合があります。目安にしてみてください。
~5,000円
週末の楽しみや、3,000円・5,000円くらいのプレゼントに。フランスの有名銘柄『シャブリ』や、樽熟成したシャルドネを選ぶことができる価格帯です。10年ほど熟成させて飲んでもおいしくいただけるようになってきますので、そのような楽しみ方もできます。
~10,000円
ブルゴーニュの有名生産者の造るシャルドネや世界各国にあるワイナリーのフラッグシップ銘柄などが手に入る価格帯です。このクラスのシャルドネは樽熟成を行うものが多く、熟成に向きます。もちろん若くから飲んでも問題ありませんが10年を超える熟成を行っても楽しめるでしょう。ボリューム感、複雑さ、力強い果実感など、生産地やワイナリーによって個性や好みの問題はありますが、飲み手に十分な満足感をもたらしてくれるでしょう。
10,000円~
最も高額な値が付くブルゴーニュのトップ生産者や、ナパ・ヴァレーの有名銘柄など憧れの1本を見つけられる価格帯です。若いうちは味わいに硬さがあり、十分なポテンシャルを楽しむには不向きな場合が多いです。10年以上の熟成をさせて、開栓するまでの時間を含めて楽しむのがおすすめです。長命な銘柄であれば20年を超えて熟成させても若々しさを保っているのがシャルドネのおもしろさ。飲み頃を迎えているかどうかは開栓するまでわからない、そんなワインの楽しさを存分に味わうことができるでしょう。
シャルドネを楽しむためのテクニック
シャルドネの保存・保管方法
リーズナブルなワインは熟成させるよりも、若々しい果実味を楽しむのがおすすめです。温度変化の少ない、涼しい場所で保管して早めに飲むようにしましょう。高級なワインになればなるほど(早く飲んでも問題はありませんが)熟成させて飲むのがおすすめです。保管方法は下記の記事が参考になります。
シャルドネに適したグラス
カジュアルなシャルドネのワインであれば、一般的なワイングラスで気軽に楽しむのが良いと思います。しかし、高級なシャルドネやリーズナブルなシャルドネでもより美味しく飲みたいということであれば、シャルドネに特化したグラス形状のものを選ぶようにします。
シャルドネは香りが豊かで、複雑さがあります。そのポテンシャルを引き出すにはボウル部分のすぼみが小さめに設計されたグラスが向いています。
高級なシャルドネで樽による熟成がされている場合はボウルの横幅が大き目で、すぼみが少ない形状のグラスがおすすめです。華やかな香りと複雑さを楽しむことができます。
また、迷ったときはどんなワインにも対応できる『万能型』のグラスを使うのも一手です。
『すべての”個性”を引出す』 ジャンシス・ロビンソン ワイングラス
シャルドネを美味しく飲む温度
樽熟成していないもの、リーズナブルなシャルドネは飲む際は6~12℃ぐらいを目途に調整するのが理想です。樽熟成したシャルドネの場合は複雑な香りを楽しむために高めの10~14℃くらいがおすすめです。理想的な温度は大切ですが、心地よいと感じるようであれば必ずしも守る必要はありません。たとえば夏場ならキンキンでもおいしく感じられる、といった具合です。
関連コラム
参考文献
シルヴァン・ピティオ&ジャン=シャルル・セルヴァン著/『地図でみるブルゴーニュ・ワイン』/早川書房/2016年
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第7版』/ガイアブックス/2014年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2022』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2002年
『WANDS』/ウォンズパブリシングリミテッド/2019年1月号/特集ブルゴーニュワイン
『Winart』/美術出版社/2021年春 No.103/白ワイン品種の最新ガイド
データ参照
キム・アンダーソン/『Which Winegrape Varieties are Grown Where?』/アデレード大学/2020年/2023年3月22日閲覧
https://www.adelaide.edu.au/press/titles/winegrapes