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ワインのキホン

スイスの伝統品種『シャスラ(Chasselas)』の解説

スイスの伝統品種『シャスラ(Chasselas)』の解説

スイスで最も栽培さている「スイス白ワインのシンボル」と呼ばれるブドウ品種です。スイス以外ではおもに食用に使われているため、国をあげてシャスラのワインを生産しているのはスイスの大きな特徴といえます。最も栽培に適しているのは西部にあるフランス語圏のエリアです。

シャスラの特徴・味

早熟な品種で、実の色が薄く、ワインにしたときにこれといった特徴がないのが特徴です。固有のアロマやフレーバーが少ないため結果的にミネラルや酸味を感じさせるシャープな味わいになりますが、よい銘柄では洋ナシのような熟れたフルーツのニュアンスが感じられ、現地のチーズを使った料理などとよいペアリングが成り立ちます。

起源・歴史

シャスラの記録は1539年までさかのぼることができ、数あるブドウのなかでも歴史の古い品種です。起源はスイスのレマン湖周辺というのが現在最も有力な説です。18世紀から現在に至るまでレマン湖畔の栽培エリア「ヴォー」では別名のファンダン(Fendant)と呼ばれています。「裂ける」という意味で、果粒を指でつぶした時に裂けるようになる様が由来です。
ファンダンはフランスに伝わったとき、ブルゴーニュ地方のマコン近くにある「シャスラ村」から広がっていきました。そのため20世紀のはじめに生産者たちは「シャスラ」の名前を使うようになり、やがて定着していきました。

シャスラの別名

歴史が古く、広く栽培されている品種のためその他の別名はたくさんあります。よく知られているのはスイスのヴォー州でファンダン(Fendant)、ドイツで「優れていて、高貴」という意味のグート・エーデル(Gutedel)です。

シャスラの栽培地

スイスでは全体的に栽培されていますが、西部フランス語圏にあるヴォー州で半分以上が生産されています。ヴォーの栽培地域は6つに分かれていてそれぞれが独自のテロワールを持っています。

シャスラの新酒

シャスラが登場する1654年の古い書物では、この品種が「甘いワインや樽から直接出す醗酵途中の濁りワインによい」と紹介されています。それに近いシャスラを使った新酒が、ブドウの収穫から数か月後の1月第三水曜日に販売されています。伝統的な無濾過のシャスラで、ボトル詰めしたものです。

シャスラに合う料理

最も多くのシャスラを産出するスイス西部のフランス語圏の名物料理をご紹介します。

ヴァリサー・トロッケンフライッシュ(Walliser Trockenfleisch)

牛の赤身肉を塩で乾燥・熟成させたハム。生で食される。ヴァレー州の名物です。

ラクレット

牛乳のチーズ。火やストーブであぶってトロけた部分をジャガイモなどですくいます。『アルプスの少女ハイジ』の暖炉にかざして食べるシーンは印象的でした。

湖で獲れた魚

淡水魚をムニエル、フライ、燻製で料理したものが地元の名物料理になっています。

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参考
ジャンシス・ロビンソン、ジュリア・ハーディング、ホセ・ヴィアモーズ/『ワイン用葡萄品種大辞典』/共立出版株式会社/2019年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2024』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2024年
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第8版』/ガイアブックス/2021年
大塚謙一、山本博、戸塚昭、東條一元、福西英三/『新版 ワインの辞典』/柴田書店/2010年

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