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ワイン生産に適した4つの気候とは?

ワイン生産に適した4つの気候とは?

世界的に有名なワイン産地は、多くの場合ブドウの栽培に適した気候条件に恵まれています。地理的にブドウ産地が位置する『緯度』や気候タイプの組み合わせにより、産地ごとに無数の個性がうみだされます。これらはブドウの生育に必要な温度や寒暖差、日照時間や降水量などを決める要因となります。

今回は多くのワイン産地に見られる代表的な気候を4つご紹介します。

大陸性気候(Climat continental)

主にヨーロッパの内陸部に見られる気候です。
夏は暑く、冬は厳しい寒さに見舞われます。空気は乾燥している特徴があります。秋はブドウが充分に成熟する前に寒くなる年があるため収穫を余儀なくされる場合があり、一般的にワインのヴィンテージ差ができやすくなります。葉や果実が付いていない冬の気候は一見ブドウの育成には無関係のように思われるかもしれませんが、樹の休眠や病害虫の死滅などに関係しており後者は有機栽培の容難に大きく影響します。
大陸性気候は昼と夜の温度差も大きくなります。光合成を行わない夜間はブドウの呼吸によって酸味が失われ、その度合いは気温が高いほうが大きくなりますのでワインの味わいに直結します。

主な大陸性気候の産地
フランスのブルゴーニュ地方、ドイツ、中央・東ヨーロッパ、アルゼンチンのメンドーサ、カナダのオンタリオ州など

海洋性気候(Climat maritime)

海に近い地域で見られる気候で、海と陸のあいだを吹く風の影響を受けます。降水量が多く湿度が高めです。一日の寒暖差は小さめ。夏と冬の気温差も大陸性の気候に比べるとかなり縮まり穏やかになります。秋が長く続く場合があり、冬に向けた気温の低下が穏やかなためブドウに成熟に充分な時間がもたらされ、熟したブドウを収穫するのに好都合です。カベルネ・ソーヴィニヨンに代表される晩熟型のブドウ品種に向きます。冬は温暖なため、樹が休眠をとるために充分な寒さを満たさないことがあり、その場合は病害虫の死滅につながらず有機栽培が困難になります。

主な海洋性気候の産地
海洋性気候のなかでも冷涼なフランスのボルドー地方を筆頭に、南オーストラリアのクナワラ、ニュージーランドなどが挙げられます。

地中海性気候(Climat mediterraneen)

その名の通りヨーロッパの地中海沿岸に代表される気候帯ですが、それに似た気候が世界中に点在しています。温暖で乾燥した特徴。ブドウ育成期間の春から秋にかけて雨量が少ないため病害を受けにくく、夏は日照に恵まれます。一方で穏やかな冬に雨量が増えるなど、ブドウ栽培に有利な条件が整っています。

主な地中海性気候の産地
南フランス、スペイン、イタリアなどの地中海沿岸エリア、オーストラリア、アメリカのカリフォルニア州、チリなど。

 

山地気候(Climat montagnard)

標高の高いブドウ栽培地域です。標高500~1,000mくらいに位置する場所は平地に比べ気温が低いため、温暖化の進んでいる現代では注目を浴びる産地が数多くあります。一般的に「山の天気」と表現されるように天候の変化が大きく、風が強い傾向があります。また、畑の位置や傾斜の違いによって気温、日照、降水量に違いがでます。広い平地部分が確保できない場合は畑当たりの面積が小さくなり、同じ産地内でもバラエティに富んだワインが造られます。一方栽培には手間がかかるという面もあります。

主な山地気候の産地
フランスのジュラ地方、サヴォワ地方、イタリアのヴァッレ・ダオスタ州、山梨県、長野県など。

参考文献
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第8版』/ガイアブックス/2021年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2018』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2018年
大越基裕/『ロジカル ペアリング』/柴田書店/2023年

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