「キアンティ」とは
「キアンティ」とは、イタリア トスカーナ州にある、キアンティというエリアのブドウで造られた赤ワイン、またそのワイン産地のことです。
キアンティはトスカーナ州に点在する広大なエリアで、条件を満たせば、この地域で収穫されたブドウが「キアンティ」というワインになります。
ちなみに、トスカーナ州はブーツの形をしたイタリアのひざ下あたりに位置しています。フィレンツェやピサ、シエナといった有名な都市があり、丘陵地と糸杉の美しい景色で有名なトスカーナ州では、ワインの他にも、サラミやチーズ、オリーブオイル、野菜などが豊富に生産されています。
↑トスカーナのなだらかな丘陵地にあるブドウ畑。太陽と風を受けてブドウは育ちます。
「キアンティ」ワインを造る条件
「キアンティ」を名乗るためには、以下のように様々な条件をクリアしなければなりません。
●「キアンティ Chianti」の生産条件:【赤ワインであること】、【黒ブドウ品種"サンジョヴェーゼ"を70%以上使うこと】、【アルコール度数が11.5%以上であること】など。
また、「スペリオーレ」や「リゼルヴァ」と名乗るためには、以下の条件をクリアする必要があります。
●「キアンティ スペリオーレ Chianti Superiore」の生産条件:【上の条件に加えて、アルコール度数12%以上であること】など。
●「キアンティ リゼルヴァ Chianti Riserva」の生産条件:【上の条件に加えて、アルコール度数12.5%以上であること】、【2年以上熟成してから出荷すること】など。
▼黒ブドウ サンジョヴェーゼ
「キアンティ」の歴史
トスカーナ州のキアンティは、紀元前から現代に至るまでブドウ栽培とワイン醸造が続く、伝統的なワイン産地です。
紀元前9世紀ごろ、エトルリア人がトスカーナにワイン文化をもたらしました。その後トスカーナは、ローマをはじめ様々な勢力の支配下にありましたが、11~12世紀ごろ、ピサやシエナなどのいくつかの都市が勢力を伸ばします。特にフィレンツェは、銀行業で豊かになったメディチ家をリーダーに14~15世紀にはルネサンスの中心地になりました。
1716年には、トスカーナ大公コジモ3世が、4つのワイン産地のエリアを定めます。そのうちのひとつが「キアンティ」。特定のエリアで造られたワインだけが、産地名「キアンティ」を名乗れるようにしたわけです。これを「原産地保護」といいますが、コジモ3世のこの原産地保護は、世界最初であると言われています。
「キアンティ クラッシコ」との違い
「キアンティ クラッシコ Chianti Classico」というワインも見かけることがありますよね。
「キアンティ」と「キアンティ クラッシコ」は、よく似た名前ですが別のワインです。このふたつは、ワイン生産のための条件がいくつか異なっているのです。
●「キアンティ クラッシコ Chianti Classico」の生産の条件:【黒ブドウ品種"サンジョヴェーゼ"を80%以上使うこと】、【アルコール度数が12%以上であること】、【白ブドウはブレンド不可】など
「キアンティ クラッシコ」のワインは、「キアンティ」と重なるエリア、フィレンツェとシエナの間に広がる「キアンティ地区」で造られます。
本来は、この地区で造られたワインが「キアンティ」だったのですが、あまりに人気が高いため、生産エリアが地区の外にもどんどん拡大して、それらのワインもキアンティと呼ぶようになりました。そこで、本来の産地であるキアンティ地区は独立し、1996年から「キアンティ クラッシコ」と名乗るようになりました。
「キアンティ」はどんなワイン?(香り、味わい、合わせるお料理)
黒ブドウ品種"サンジョヴェーゼ"を多く使って醸造されるキアンティは、チェリーやスミレの香りを持ち、豊かな酸味とタンニン(渋み)があります。
お肉やトマトの煮込み料理とキアンティなら、最高のペアリングになるでしょう♪生ハムなどの前菜、野菜スープ、トマトソースのパスタや、軽めのお肉料理、様々なチーズにもぴったりです。
また、「キアンティ クラッシコ」は「キアンティ」よりもやや重厚感のあるワインなので、ぜひメインのお肉料理や、ボロネーゼパスタなどと合わせてみてください。
いかがでしたでしょうか。生産エリアが広いキアンティでは、場所や生産者によって様々なスタイルのワインが造られています。サンジョヴェーゼ主体で造られたキアンティは親しみやすい味わいで、とってもフードフレンドリーな赤ワイン。ぜひいろいろなキアンティを味わってみてくださいね♪