ミュズレとは
ミュズレ(仏:muselet)は、シャンパンやスパークリングワインの瓶の上部にある金属製のワイヤーキャップのことです。イタリア語ではガッビエッタ(gabbietta)といいます。
「ミュズレ」という言葉はフランス語の「museler」から来ており、これには「口を封じる」という意味があります。
細い金属線で作られており、瓶の首部分をぐるりと囲むように巻かれています。このワイヤーキャップがあるおかげで、シャンパンやスパークリングワインのコルクがガスの圧力で飛び出してしまうことを防いでいます。
コルク栓を押さえる針金止めを作ったのは、シャンパン・ハウス『ジャクソン』の2代目アドフル・ジャクソンです。才能豊かなアドルフは会社を継ぐと数多くの新技術を開発し、19世紀のシャンパン造りを大きく変容させました。その発明のひとつミュズレは1844年に登場し、いまでも世界中のすべてのスパークリングワインに用いられています。
シャンパン栓の歴史
ミュズレの歴史はシャンパーニュの『栓』の発展と密接に関わっています。
シャンパンやスパークリングワインは発泡性のため瓶内に高い圧力がかかります。そのため瓶の口をしっかりと封じる技術が必要でした。
当初スパークリングワインの栓には、油に浸した麻の繊維が使われていました。陶器製の瓶にコルクで栓しているスペインの巡礼者を見た有名なドン・ペリニョン(1639-1715)が、シャンパンの栓に初めてコルクを使用しました。1735年にはルイ15世が「コルクは飛ばないように麻紐で固定すること」(フィスラージュという技法)を布告。19世紀初頭までこの流れが続き、4本の紐で固定されたコルクに保護用のワックスで封印が施されました。
やがてコルクの保護にはワックスよりも薄い鉛板のほうが良いことが分かりました。まもなく金色や銀色の錫のフォイルに変わり、コルク部分だけではなく今日のようなボトルネックを全部くるむスタイルに変化していきました。
ミュズレの役割
ミュズレの最も重要な役割は、シャンパンやスパークリングワインのコルクをしっかりと固定することです。
コルクを瓶口にしっかりと固定するためのワイヤーで作られており、このワイヤーがコルクの上部を覆い、瓶の首部分に巻きつけられています。これにより、内圧が高くてもコルクが飛び出すことなく、ワインが安全に保存されます。
開栓するときは、ミュズレを外してからコルクを引き抜きます。詳しい開け方はこちらをご覧ください。
ミュズレがおしゃれなワイン達
ミュズレはコレクターの間で非常に人気があります。特にフランスでは、切手や硬貨のようにミュズレを収集する趣味が広く親しまれています。
また、希少なデザインや限定版のミュズレは高値で取引されることもあり、コレクションの中でも特に価値の高いものとされています。
ということで、ここでいくつかカワイイデザインのミュズレをご紹介します。
ラベルとおそろいのミュズレ
ラベルの色とミュズレの色が揃っていると見てて気持ちがいいですよね。ワントーンコーデのようです(笑)
こちらはスペインのバルドリーナのカヴァ。マカロンぽいピンクの色味とポワンとした丸みのあるロゴがとってもかわいいです。
ラベルとコルクとおそろいのミュズレ
先ほどのワントーンコーデにさらにコルクも合わせてます。ファッションなら上級者ですね。
ハッティングレイの蝶々ロゴがミュズレとコルクの裏側にプリントされていました。
いかがでしたか。シャンパンやスパークリングワインを開ける際はちょっとミュズレを手に取ってみるのも楽しいかもしれませんよ。
関連コラム
参考
マイケル・エドワーズ/『FINE WINEシリーズ シャンパン』/ガイアブックス/2010年
アンドレ・シモン/『シャンパン栄光史』/東京書房社/1978年
wikipedia/『ミュズレ』/2024.9.3閲覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/ミュズレ