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ワインのキホン

『有機JAS』(オーガニック)のワインは、どんなワイン?

『有機JAS』(オーガニック)のワインは、どんなワイン?

2022年10月1日からJAS認証を取得した有機酒類に『有機JASマーク』の表示が可能となりました。
これにより、オーガニックのお酒に「有機」や「organic(オーガニック)」の表示ができます。どんなことなのか簡単に解説します。

有機JASって?

「JAS法」(日本農林規格等に関する法律)に基づいて、「有機JAS」に適合した⽣産が行われていることを認証する制度です。
認証された事業者は「有機JASマーク」の使⽤が認められるようになります。認証事業者によって有機JASマークをつけられた製品でなければ「有機」「オーガニック(Organic)」(これと紛らわしい表示も含め)表示することはできません。

有機JASの認証範囲にはワインを含む『有機酒類』が入っていませんでしたが、このほど追加されることが決まり新しい制度で運用されることになりました(※)。

※2025年9月末日までは経過措置期間となり、これまでの有機酒類表示(有機JASマークなし)が可能です。
輸入ワインの場合、2025年10月1日以降に通関(税関から輸入許可を得ること)する製品は新法に則って流通します。

「有機」と「オーガニック」の違いは?

お酒に限っていうとこの2つの言葉はほぼ同じ意味で、日本語と英語の違いだけです。日本と海外で認証規定に細かい違いはあるのですが、大きな枠組みに差はないと考えてよいでしょう。

有機酒類の原材料は「有機農産物」

オーガニックなお酒に使われる原料は、もちろんオーガニックです。
「有機農産物」と呼ばれ、これが主原料になります。有機農産物は以下のような目的で栽培されます。

オーガニックの特徴・目的

「有機農産物」を用いる目的は農業の自然循環機能を維持・増進することです。
具体的には化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けます。
これによって農地にとって大切な「土」が力を発揮し、環境への負荷を少なくできます。
生態系を守ることや、遺伝子組み換えの制限も特徴です。

オーガニック栽培の畑は、厳格に管理されます。
そのため周囲から禁止されている資材が飛来したり、流入したりしないように必要な措置が求められます。ブドウのように多年生の植物で畑が既存である場合、収穫の3年以上前から指定の農産物の生産を行わなければ認証されません。

日本と世界で、有機のお酒がシームレスになるかも!

⽶国・EUなどの海外市場では有機⾷品の⼈気が⾼く、有機製品に付加価値がついています。しかもその市場は拡⼤中。
海外の有機認証機関と、日本の有機JAS認証には両国・地域間で「同等性」を認めているので、どちらか一方で認証を得れば相手先の国・地域の有機認証を別途取得せずとも「有機」「オーガニック」として輸出入が可能です。

しかし、有機酒類はJAS法の対象から除かれていたため有機同等性の対象外になっていました。日本産の有機酒類の輸出を拡大するためJAS法が改正されて、規格の対象に「有機酒類」が追加されました。海外の主要市場と「同等性」を新たに締結することが目指されています。これが進むことは日本と世界のオーガニックなお酒の間に垣根がなくなるということです。

日本のお酒が世界に広まり、世界のオーガニックなお酒が日本でも気軽に選べるようになるといいですね!




※EUと日本の間で有機同等性対象を拡大することについてEU側と合意に至りました(同等性の発行日は未定)。
・国内で製造した有機JAS格付した酒類をEUに有機酒類として輸出することが可能になります。
・有機JAS認証を受けた輸入業者は、EU内で製造されたEU有機認証酒類に有機JASマークを貼付し有機酒類として国内で流通することが可能になります。

関連コラム

参考
JAS制度について(令和6年7⽉)/農林水産省 新事業・⾷品産業部⾷品製造課 基準認証室/2025年2月4日閲覧
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_system/attach/pdf/index-100.pdf

JAS1605日本農林規格 有機農産物 2024年7月1日 改正/農林水産省/2025年2月4日閲覧
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/yuuki-437.pdf

「酒類における有機の表示基準」の概要/国税庁/2025年2月4日閲覧
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/yuki/gaiyo/04.htm

酒類における有機の表示基準を定める件 改正 令和元年6月 国税庁告示第7号/国税庁/2025年2月4日閲覧
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/yuki/kokuji001226/03.htm

有機酒類に有機JASマークの表示ができるようになります!/農林水産省/2025年3月25日閲覧
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/ninsyo/220930.html

2022年10月1日から有機酒類に有機JASマークの表示ができるようになりました!/農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品製造課基準認証室/2025年3月25日閲覧
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/ninsyo/attach/pdf/220930-3.pdf

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