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ブドウ品種『プティ・シラー』とは?ジンファンデルとの違い

ブドウ品種『プティ・シラー』とは?ジンファンデルとの違い

カリフォルニアの赤ワインに使われてるブドウ品種『プティ・シラー』の解説です。本家「シラー」との違いや、ブレンドに使われることがある「ジンファンデル」との違いや特徴も見ていきましょう。

プティ・シラーとは

(Petite Sirah)

アメリカや南米で栽培されているブドウ品種の名前です。色が濃くタンニンの強いワインになります。カリフォルニアでは昔からポートタイプの酒精強化ワインに使われてきましたが、近年はジンファンデルのワインにブレンドされることが多くなっています。

プティ・シラーの味わい

色合いの深いフルボディのワインができ、多くは暖かい(暑い)地域で育てられているためボリューム感飲みごたえがあります。熟成にも適しています。

ジンファンデルとの違いは?

プティ・シラーと、ジンファンデルは全く違うブドウ品種です。ともに成功を収めているカリフォルニア州で栽培されていますが、プティ・シラーがフランスで交配した品種であるのに対して、ジンファンデルはクロアチアに由来する品種。南イタリアのプーリアに伝わり、何らかの方法でアメリカに渡りました。ジンファンデルは果実味が強くて舌触りがよく、アルコール度数の高いワインになります。プティ・シラーがそのブレンドに使われることが多いです。

プティ・シラーの起源

カリフォルニアで『プティ・シラー』と呼ばれている品種は南フランス原産の『デュリフ(DURIF)』のことです。デュリフはシラーの子品種とされています。研究が進んだ現在、プルサン(PELOURSIN)とシラーの自然交配によって生まれたというのが有力です。1890年代にフランス東部イゼール県のチュランにある試験畑で発見されたのが最初で、畑を所有していた植物学者のフランシス・デュリフ氏が名前の由来。この頃フランスのブドウ畑で問題になっていたべと病に耐性があることから評判を呼んだとされています。アメリカに渡ったときに「プティ・シラー」と呼ばれるようになりました。

「プティ・シラー」と呼ばれるようになった理由

「プティ・シラー」という言葉は、フランスのイゼール県などで本物のシラーの別名として用いられていました。そのシラーは、1876年に「シラー」として正しくカリフォルニアに持ち込まれましたが、8年後にデュリフが誤って「プティ・シラー」としてカリフォルニアに持ち込まれました。原因は人為的なミスだったようですが、カリフォルニアではそのまま「プティ・シラー」の名称が広まりました。

そのような背景で、アメリカではデュリフが『プティ・シラー』と呼ばれています。

カリフォルニアでは、4つの品種が混在した

余談ですが、カリフォルニアにあるプティ・シラー(デュリフ)の古い畑で鑑定が行われた際、デュリフのほかシラープルサンプルサンとデュリフの交配品種の4つが混在していることが分かりました。デュリフはシラーやプルサンとは親子関係ですので、見た目や性質の類似から混同が発生したものと考えられます。

実際にはこの畑の大部分がデュリフであったことから、「カリフォルニアにおける『プティ・シラー』は『デュリフ』である」と結論づけられています。

プティ・シラーのまとめ

フランスからカリフォルニアに持ち込まれて成功を収めたデュリフはワシントンや他の州にも広がり、メキシコ、ブラジルなどでも栽培されています。しかし本国フランスでは事実上消滅してしまいました。ですからデュリフのワインを飲んでみたい場合はカリフォルニアの『プティ・シラー』を是非楽しんでみてください。

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参考
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2018』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2018年
ジャンシス・ロビンソン、ジュリア・ハーディング、ホセ・ヴィアモーズ/『ワイン用葡萄品種大辞典』/共立出版株式会社/2019年

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