ピノタージュとは
(Pinotage)
赤ワイン用ブドウ品種のひとつです。南アフリカ独自の品種になっており、1925年にステレンボッシュ大学のアブラハム・ぺロード教授が交配によって得たものが国内に広がりました。
ピノタージュの特徴
ピノタージュはピノ・ノワールとサンソーの交配でつくられた品種です。
耐寒性があり、中程度の樹勢。春の芽吹き、収穫期とも早~中期。病気に「やや」かかりやすく、様々な気候に適応するというメリットがあります。豊産で高い糖度の小さな厚い果皮の実をつけます。
もともとピノ・ノワールのもつ軽い赤果実のようなフィネスと、サンソーのもつ汎用性の高さを目的に交配が行われて両方の特徴を兼ね備えました。交配したのは1925年ステレンボッシュ大学のアブラハム・ぺロード教授。ワインになって販売されるまでには長い年月がかかり、世に出たのは1961年のことでした。
ピノタージュの味
「ボジョレー」を思わせるような軽くて新鮮な赤い果実の特徴をもつワインから、肉づきと風味の豊かさを保ちながらオーク樽で本格的に熟成させたスタイルのものまであります。後者は高い樹齢のブドウのものに多く、リッチで濃厚、スパイシーさをもちます。
名前の由来
アブラハム・ペイロード教授は大学の試験農場にある宿舎の庭でピノタージュを得ましたが、1927年に大学を離れてワイナリーで働くことになった際、ピノタージュの種を同じ庭に4つ植えたことを忘れてしまいました。後任のチャーリー・ニーハウスがこの4本を育て、後になって苗木を再びペイロード氏に見せると彼はこの樹を広めるように二ーハウスに強く促しました。
このとき彼らが付けた名前が『ピノタージュ』です。「ピノ・ノワール」に、南アフリカでの当時サンソーの呼び名だった「エルミタージュ」をくっつけたのが由来です。4本の苗のうち最もよいものが選ばれ、現在のピノタージュの母樹になりました。
栽培面積
南アフリカ国内の全ブドウ中6位、黒ブドウでは3位の栽培面積を占めます。1990年代半ばから輸出が増え、シンプルで特徴のない凡庸なワインが多く出回ったため評価を受けることはありませんでしたが、たゆまない研究の成果によって品種の特徴が映るワインが造られるようになりました。
やがてプレミアムワインを造る地域での栽培面積が増えるようになり、現在では有名な国際品種に混じって上位に入る人気品種です。
品種 | 面積(ha) |
---|---|
シュナンブラン |
16,827 |
コロンバール |
9,997 |
ソーヴィニヨン・ブラン |
9,878 |
カベルネ・ソーヴィニヨン |
9,811 |
シラー |
9,011 |
ピノタージュ |
6,570 |
シャルドネ |
6,549 |
メルロー |
5,338 |
データ:2021年
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参考
ジャンシス・ロビンソン、ジュリア・ハーディング、ホセ・ヴィアモーズ/『ワイン用葡萄品種大辞典』/共立出版株式会社/2019年
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第8版』/ガイアブックス/2021年
田辺 由美/『南アフリカワインのすべて』/株式会社ワイン王国/2013年
一般社団法人日本ソムリエ協会/『日本ソムリエ協会 教本2023』/一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)/2024年