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ワインのキホン

ソムリエが教える!ワインテイスティングのコツ

ソムリエが教える!ワインテイスティングのコツ

ワインテイスティングは、ワインの個性や背景を知るだけでなく、五感を使ってワインの魅力を深く味わえる特別な体験です。

しかし、初めて挑戦する方にとっては、プロのソムリエのように正確に評価するのは難しいと感じるかもしれません。

そこで、今回は、初心者でも自信を持ってワインを味わい、テイスティングをより楽しくするための実践的なアドバイスをご紹介します。

ワインのテイスティングとは

ワインのテイスティングとは、ワインの色や香り、味わいなどを観察してその特徴や品質を評価することです。ワインのテイスティングは、主に以下3つの手順で行います。

 1.ワインの外観を見る
 2.ワインの香りを嗅ぐ
 3.ワインの味わいを確認する

ワインのテイスティングを身につければ、自分の好みだけでなく、ワインの個性や背景を知ることができるようになります。

ホストテイスティングとは

ワインのテイスティングにはもう一種類、『ホストテイスティング』と呼ばれるものもあります。

ホストテイスティングはワインの味わいを評価するテイスティングとは違い、ワインの品質が正常かどうかを確かめる目的で、食事の主催者が行うテイスティングです。

レストランでワインと頼んだ際に試飲するのはこちらにあたります。

ホストテイスティングの手順は以下の通りです。

①ワインのラベルを確認する


注文したワインと運ばれてきたワインが同じかどうか確認するためです。

②色合いを確認する


ワインの品質に問題がないかどうか確認するためです。若いワインなのにレンガ色をしているような異常を察知したり、ブドウ品種の個性が色に表れているかを確認したりします。

③香りを確認する


コルク臭や異臭がないかどうか確認するためです。

④口に含んで回して味を確認する


味に異常がないかどうか確認してください。好き嫌いの確認ではありません。

ホストテイスティングでは、ワインの味わいを評価することはあまり重要ではありません。
ワインの品質に問題があれば、ワインを交換してもらうことも可能です。

ワインのテイスティングに必要な道具、正しいグラスの選び方

ワインのテイスティングをするにあたり、以下の道具を用意しておきましょう。

 1.ワイングラス
 2.ナプキン
 3.テイスティングシート
 4.水
 5.吐器(とき)
 6.クラッカーやバゲット

1.ワイングラス


ワインの種類や特徴に合わせて選びましょう。ワイングラスの形状は、ワインが空気と触れ合う面積や香りを集める能力に大きく影響を与えます。

一般的には、以下のような基準で選んでください。

ワインの種類 適したワイングラス
白ワイン 白ワインには小さく細いグラスが最適です。これは、冷たく飲む白ワインの温度を保ちやすく、その繊細な香りと味をより引き立てるためです。
赤ワイン 赤ワイン向けは大きくて丸いグラスが理想です。これは、赤ワインを適温で楽しみ、その豊かな香りと味を充分に引き出すためです。
スパークリングワイン スパークリングワインには長く細いグラスが最適です。これにより、泡の質と持続を保ちつつ、その爽やかで華やかな香りと味わいをより感じやすくします。

2.ナプキン


ワインを注ぐ際にこぼれたり、グラスを拭いたりするために用意します。白いものが望ましいです。

3.テイスティングシート


ワインの外観・香り・味わい・印象などを記録するために用意します。自分で作ることもできますが、市販のものもあります。

4.水


口をすすいだり、喉を潤したりするために用意します。ワインの風味を邪魔する水道水は避け、無味無臭のミネラルウォーターを用意しましょう。

おすすめのお水はこちら:正規輸入品『サンペレグリノ』『アクアパンナ』(ガラス瓶入り)のご紹介

5.吐器(とき)


ワインを飲み込まずに吐き出すために使用します。多くのワインを一度に試飲する際、アルコールによる影響を最小限に抑えるために役立ちます。

色や形が目立たないコップやマグカップでも適しています。

6.クラッカーやバゲット


口中の味を中和するために用意します。塩気や香りのないものが望ましいです。

次に、実際のテイスティング方法についてご説明します。

ワインのテイスティングの三要素

ワインのテイスティングには色、香り、味の三つを評価することが基本です。それぞれについて、一般的な例や表現方法を紹介します。

ワインの外観を見る

ワインの見た目は産地や品種、熟成度などを示す重要な情報になります。

チェック方法


ワインの色を見るときは
①グラスを斜めに倒して液面(ディスク)とその縁(エッジ)を確認します。

②色の深さ、明るさ、濃度、そして粘度を確認します。

わかること


●赤ワインの色
赤みが強いほど若く、オレンジや褐色がかるほど熟成している

●白ワインの色
黄色がかるほど熟成しており、オレンジや琥珀色になるとかなり古いワイン

●ワインの濃淡
・ 赤ワインでは薄いほど、白ワインでは濃いほど熟成が進んでいる
・ 温暖で日差しの強い地方で造られたワインほど濃くなる

●ワインが澄み具合
「清澄度」と呼ばれ、ワインのスタイルと直結する

●ワインが曇ったり濁って見える場合
ノンフィルター(濾過を行っていないワイン)か、ワインの欠陥かもしれない

●ワインの粘性
・ グラスを傾けた後にグラスの内側に残る液体の流れ方で判断できる
・ アルコール度数や残糖度と関係しており、高ければ高いほど粘性が強くなる

表現方法


ワインの色を表現するときは、色調と色の濃さを伝えることが大切です。

色調は、白ワインではレモンや若草など、赤ワインではルビーやガーネットなどの宝石や果物の名前を使うことが多いです。
色の濃さは、淡い、明るい、濃い、暗いなどの形容詞を使います。

例えば、
「この白ワインはレモンイエローで淡い色合いです。若いワインでしょう」とか、
「この赤ワインはガーネットレッドで濃い色合いです。熟成したワインでしょう」
というように表現できます。

ワインの香りを嗅ぐ

チェック方法


香りを確認するときは、
①グラスに鼻を近づけて一度香りをとります。

②グラスを軽く回して空気に触れさせた後にもう一度香りをとります。

香りからは、ワインの花や果実、ハーブやスパイスなどのアロマ(ブドウ本来の香りや醗酵の過程で生まれる香り)やブーケ(熟成によって生まれる香り)が分かります。

わかること


●若いほど強く、熟成することでおだやかになるのが一般的

●新鮮な果実や花の香りが多いほど若く、ドライフルーツやナッツ、ハチミツなどの香りが多いほど熟成している

●バニラやナッツ、スモーキーな香りがあると、オーク樽で熟成された可能性がある

●バターやクリーム、チーズなどの香りがあると、マロラクティック醗酵という醸造法が行われた可能性がある

ワインの香りは、ブドウ由来の香り(第一アロマ)、醸造過程で発生する香り(第二アロマ)、熟成過程で発生する香り(第三アロマ/ブーケ)の三つに分類されます。

表現方法


ワインの香りを表現するときは、香りの種類と強さを伝えることが大切です。

香りの種類は、果物や花、スパイスなどの具体的な名前を使うことが多いです。

香りの強さは、弱い、控えめ、中程度、強いなどの形容詞を使います。

例えば、
「この白ワインはグレープフルーツやレモングラスなどの柑橘系の香りが強く感じられます。第一アロマが豊かなワインでしょう」とか、
「この赤ワインはバニラやカラメルなどの甘い香りが控えめに感じられます。第二アロマがある程度出てきたワインでしょう」
というように表現できます。

ワインの味わいを確認する

チェック方法


①少量のワインを口に含みます。

②やや下を向いてストローを吸うように口をすぼめて空気を吸い込みます。

③口の中では、舌の中央から両サイド、前歯の部分まで液体をまんべんなく転がし、口全体を使ってワインの味を確認します。

④液体を飲み込んだら鼻から抜けてくる香りの余韻も確認します。

わかること


味わいからは、ワインの甘みや酸味や苦味やタンニンなどが分かります。

●ワインの甘み
・ 舌の先端で感じられる
・ 残糖度と関係しており、高ければ高いほど甘く感じられる

●ワインの酸味
・ 舌の両サイドで感じられる
・ ブドウの成熟度と関係しており、低ければ低いほど酸っぱく感じられる

● ワインの苦味
・ 舌の奥で感じられる
・ アルコール度数と関係しており、高ければ高いほど苦く感じられる

● ワインのタンニン
・ 前歯付近に張り付く粒子で感じられる
・ ブドウ品種や樽熟成と関係しており、強ければ強いほど渋く感じられます。

ワインの味は、甘味、酸味、苦味、旨味、塩味の味覚要素と渋味やアフターフレーバー、余韻などの感覚要素に分けられます。

表現方法


ワインの味を表現するときは、味覚要素と感覚要素のバランスと特徴を伝えることが大切です。

味覚要素は、甘さや酸っぱさなどの程度を表す形容詞を使います。感覚要素も同じく口の中での感じや余韻の長さを表す形容詞を使います。

例えば、
「この白ワインは甘さが弱く、酸味が強いです。さっぱりとした口当たりで、アフターフレーバーは短いです。辛口のワインでしょう」とか、
「この赤ワインは甘さが中程度で、酸味と渋味がバランスよく感じられます。まろやかでコクのある口当たりで、アフターフレーバーは長いです。フルボディのワインでしょう」
というように表現できます。

以上がワインのテイスティングの例や表現方法です。もちろん、これらは一般的なものであり、ワインによってはもっと多様な色や香りや味があるかもしれません。

ワインのテイスティングは自分の感覚を言葉にすることなので、正解や不正解はありません。自分の感じたことを正直に伝えることが大切です。

ワインの余韻とフィニッシュ

ワインの余韻とは、ワインを飲み込んだ後に口中に残る味わいや、鼻に残る香りをいいます。

フィニッシュとは、ワインを飲み込んだ後に感じる印象や感覚のことです。

余韻とフィニッシュは、ワインの品質や特徴を判断する重要な要素です。それぞれについて、重要性と評価方法を紹介します。

余韻


ワインの味わいを語る上で欠かせないのが「余韻」です。飲み込んだ後も口の中に残る香りや味わいは、ワインの質や個性を大きく左右する重要な要素です。

1. 長い余韻が示すもの
しっかりと感じられる余韻は、ワインの印象をより深く、印象的なものにします。余韻が長く続くワインは、エキス分が豊富で、熟成や樽香がしっかりと表現されていることが特徴です。

2. 短い余韻の意味
逆に、余韻が短く消えてしまうワインは、味や香りが弱く、軽いワインである可能性があります。

3. 多様な香りや味わい
余韻に残る香りと味わいは、テイスティングで確認した外観・香り・味わいと一致することが多いですが、中には飲み込んだ後に初めて現れる香りや味わいもあります。

これらの複雑な香りと味わいは、ワインの奥深さやニュアンスを表現するものであり、高品質なワインに多く見られる特徴です。

4. 余韻の評価方法
余韻を評価する際には、以下の2つのポイントをチェックします。
・残る香りや味わいの種類
・香りや味わいの強さ

5. 香りや味わいの表現
香りや味わいの種類は、果物や花、スパイスなどの具体的な名前を使って表現します。強さは、「弱い」、「控えめ」、「中程度」、「強い」などの形容詞を使って表現します。


白ワインの場合:「レモンやパイナップルなどの柑橘系の香りと味わいが強く残ります。フレッシュでフルーティな余韻です。」
赤ワインの場合:「カシスやチョコレートなどの甘い香りと味わいが控えめに残ります。熟成感のある落ち着いた余韻です。」

フィニッシュ


フィニッシュは、ワインを飲み込んだ後に感じる印象や感覚を指します。ワイン全体のバランスや質を判断する上で、重要な要素です。

1. 良いフィニッシュの特徴
良いフィニッシュは、すべての要素が調和し、突出しているものがない点が特徴です。甘味、酸味、苦味、渋味、アルコールなどの要素が適度に感じられ、心地よい余韻を残します。

2. 悪いフィニッシュの特徴
一方、悪いフィニッシュは、バランスが崩れており、どこか過剰または不足している要素がある点が特徴です。例えば、酸味が強すぎたり、タンニンが過剰だったりすると、後味が悪くなり、不快な印象を与えてしまいます。

3. フィニッシュに影響する要素
フィニッシュに影響を与える主な要素は以下の通りです。

甘味
酸味
苦味
渋味
アルコール度数
酸度
タンニン
ミネラル
ボディ感

これらの要素が複雑に絡み合い、ワインの個性や品質を表現します。

4. 若いワインとフィニッシュ
若いワインは、まだ熟成が進んでいないため、フィニッシュが多少崩れていることがあります。しかし、熟成によって要素が調和し、フィニッシュが改善される場合もあります。

5. フィニッシュの評価方法
フィニッシュを評価するには、以下の2つのポイントをチェックします。
・バランス
・特徴

●バランス
甘味、酸味、苦味、渋味、アルコールなどの要素が適度に感じられるかどうかを判断します。

●特徴
口当たりや余韻の長さなどを表現します。


白ワインの場合:「甘味と酸味がバランスよく感じられます。さっぱりとした口当たりで、フィニッシュは短いです。」
赤ワインの場合:「甘味と渋味がバランスよく感じられます。まろやかでコクのある口当たりで、フィニッシュは長いです。」

ワインのテイスティングで使われる専門用語について

ワインテイスティングでは、ワインの特性や品質を客観的に評価するために特有の専門用語が用いられます。

以下に、テイスティングで頻繁に使用される用語を紹介します。

視覚的評価


色調: ワインの全体的な色合いや透明度。
・ディスク: グラス中心部の色。ワインの年齢や熟成度を示す。
・エッジ: グラスの縁の色。年齢や熟成度合いの指標。

・ワインレッグ: ワインをグラスに回した時にできる涙のような筋。アルコール度数や糖度を示す。「ワインの涙」と呼ばれる。

味覚的評価


・アタック: 最初の口当たりの印象。ワインの強さや質感を表す。
・ボディ: ワインの重さや濃さ。ライトボディ、ミディアムボディ、フルボディに分類。
・バランス: 甘味、酸味、苦味、渋味、アルコールの調和度。

香りの評価


・アロマ: ブドウ由来、醗酵由来、熟成由来の香りを含むワインの香り全般。
  第一アロマ: ブドウ由来の香り
  第二アロマ: 醗酵由来の香り
  第三アロマ: 熟成由来の香り
・ブーケ: 熟成による複雑で繊細な香り。第三アロマと同義。
・樽香: オーク樽熟成によるバニラ、ナッツ、スパイス、燻製などの香り。

終わりの印象


・フィニッシュ: 飲み込んだ後の最終的な印象。バランスの良さが重要。
・余韻: 飲み込んだ後に口中や鼻に残る香りや味わい。長い余韻は品質の高さを示す。

その他の専門的なテイスティング

垂直試飲と水平試飲


垂直試飲は、同じ銘柄のワインを異なる年代で飲み比べるテイスティングです。例えば、シャトー・ラトゥールの2000年、2005年、2010年のワインを垂直にテイスティングすることで、ワインの熟成やヴィンテージ差による変化を楽しむことができます。

水平試飲は、同じヴィンテージの異なる銘柄を飲み比べるテイスティングです。例えば、2000年ボルドー・メドック地区の様々なシャトーのワインを水平にテイスティングすることで、銘柄ごとの個性や特徴を比較することができます。

ブラインド・テイスティング


ブラインド・テイスティングは、ワインの銘柄や産地など、一切情報を知らない状態でワインを飲むテイスティングです。

ワインのラベルを隠したり、目隠しをしたりしてテイスティングすることで、ワインの味や香りを先入観なく評価することができます。

ブラインド・テイスティングは、ワインの銘柄やブドウ品種、産地、ヴィンテージを当てることで、味覚の正確さや経験を競うコンテストにも利用されます。

最後に:テイスティングを楽しむコツ

・実際に試してみる: 同じ種類や産地のワインでも、異なる特徴や表現があります。これらの用語を理解するコツは、実際に自分で試してみることです。
他の人のコメントを読む: 他の人のテイスティングコメントを読んだり、聞いたりすることも参考になります。
自分の言葉で表現する: ワインのテイスティングは、自分の感覚や言葉で表現することが大切です。

ぜひ楽しみながらワインの世界を探検してください。

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