ヴィエイユ・ヴィーニュとは
Vieilles Vignes
フランスでは一般的な樹齢より古い樹から造られたワインにヴィエイユ・ヴィーニュ(V.V.)と表記をすることがあります。イタリア語ではヴィーテ・ヴェッキオ(vite vecchio)、英語ではオールド・ワイン(old wine)になります。
ヴィエイユ・ヴィーニュを名乗るために必要な樹の年齢(=樹齢)は決まっておらず、樹齢が高いから必ず書かなければならないというわけでもありません。
ヴィエイユ・ヴィーニュの特徴
高樹齢の樹は幹が太く、畑の中で存在感を放ちます。収穫されるブドウからは凝縮度が高く、品質の高いワインができるというメリットがあります。風味が増す一方で古木は収量が少なくなるため希少になります。
ヴィエイユ・ヴィーニュの樹齢
VVの表記はワイン生産者が自分の畑に古い樹が残されていて、その樹のワインを他の銘柄と区別して販売したいときなどに用いられています。正式な規定があるわけではないので生産者が自由に決めるのですが、フランスでは一応の目安が40年くらい以上といわれています。
ヴィエイユ・ヴィーニュに規定がない理由
ブドウの「一般的な樹齢」というのは品種や産地などの条件によってかなり差があります。「40年くらい以上」というのはあくまで目安です。
例えばフランスではローヌ地方のグルナッシュやカリニャン種に樹齢100年クラスの古木が見られますが、ブルゴーニュ地方では樹齢30年以上くらいのピノ・ノワールやシャルドネでVVの表記がある銘柄が見られます。このように品種や土地柄によって大きな違いがあることが一因として考えられます。
ブドウの一生
ブドウの樹は成長とともに、根が水分と栄養分を求めて地中深く入り込んでいきます。
最初の1~2年でもおいしい実はなりますが、収量が少なく、一般的に若い樹からできるワインは軽くフラットな味わいです。
3~6年するとようやく樹が安定し、植えられた場所を占有して育成していきます。できるワインは風味を増して味わいに凝縮感が出てきます。これは発達した根の組織が水と養分の供給をうまく制御できるようになるからであると考えられています。
品種ごとに樹の性格があり、病気などの影響によっても変わりますが25~30年でブドウの収穫は減少しはじめます。現実的な話、経済性の観点から引き抜くということが選択肢に入るようになります。
ヴィエイユ・ヴィーニュの代表例
グルナッシュやカリニャン、ムールヴェードルなどの南フランスの品種は高い樹齢でもワイン造りが行われている代表的な品種です。スペインは古木の多く残る国で、ムールヴェードルの故郷(モナストレルと呼ばれます)も見られます。
【1930~50年に植樹された古木】
【樹齢55年のカリニャンを主体】
【樹齢45年以上のシャブリ】
【樹齢100年を越すボージョレ】
【樹齢100年のモナストレル(ムール・ヴェードル)】
【貴重な古木のガルナッチャ(グルナッシュ)・ブラン】
【古木のカリニェナ(カリニャン)種】
イタリアではシチーリア島のエトナ山にある畑のネレッロ・マスカレーゼや、プーリア州のプリミティーヴォが知られます。
【樹齢100年以上のネレッロ・マスカレーゼ】
【60年のプリミティーヴォ】
チリのパイスやマルベック、南アフリカの古い時代に植えられた樹やアメリカのカリフォルニア州なども古木の残されるエリアです。オーストラリアの古木のグルナッシュも外すことのできないものです。
【樹齢120年を超えるパイス】
【樹齢100年を超えるマルベック】
関連コラム
参考
ヒュー・ジョンソン、ジャンシス・ロビンソン/『世界のワイン図鑑 第7版』/ガイアブックス/2014年
三谷 太/『4カ国ワイン用語集』/飛鳥出版)/平成19年