「ワイン好き」には「料理好き」が多いように思う。そして私もその中の一人である。
私は料理をする時に大抵音楽をかける。その日の気分でJazz、R&B、Hip Hop、Soulから流行りのPopsまでいろいろと聴く。
料理に集中すると選曲することを忘れてしまうが、私の好みを熟知しているiphone君が、自動的にチョイスして再生してくれる。
ふと、耳に止まった曲があった。
軽快なビートから始まる、思わずリズムをとりたくなるようなインストナンバー。
「何このカッコイイ曲？！」
料理の手を止めiphone君を覗き込むと、そこに書かれている曲名は、なんと『Orange Wine』。
「なんということだ！」
私はすぐさまその音楽を奏でる「Okvsho（オクヴショ）」というミュージシャンについて調べた。
「オレンジワイン」は近年世界中で注目され、ここ日本でも赤ワイン・白ワイン・ロゼワインに加わるジャンルとして認知され始めている。簡単に説明すると、白ワインを造る白ブドウを赤ワインの造り方でワインにする。すると果皮や種子に含まれる成分が抽出され、オレンジがかった色合いになる。これが「オレンジワイン」だ。
このオレンジワインには明確な定義がないのだが、ワイン造り発祥の地と言われるコーカサス地方、主にジョージアで約8000年前から続いていて、現代のワインの起源と言われている。
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そんな『Orange Wine』をEPのタイトルとし、その名の曲を制作する「Okvsho」とは一体どんなミュージシャンなのか…。
スイスはチューリッヒ出身の兄弟、ビートメーカーとDJのデュオで構成される「Okvsho」。
Hip Hop 、House、Jazz、Funk、Neo soulなどの影響を受け、制作・配信を続けてきた彼らは、2018年にリリースしたEP 『Traphouse Jazz』、そして2020年のデビューアルバム『Kamala’s Danz』あたりから広く注目を集めている。そして、そこからさらに音楽性を高め、幅を広げて生み出されたEPが『Orange Wine』だ。
この作品で彼らは、彼らの音楽のルーツに立ち戻り、シンプルなビートメイキングと遊び心のあるジャズ即興の面白さを織り交ぜた。そしてその音楽は、人の手をできるだけ介入せず自然に委ね造られる、オレンジワインの持ち合わせるシンプルさや複雑性と同様に、人々の心を魅了するのだ…。
イタリア、フリウリ州の東の産地、コッリオに「プリモシッチ」が在る。ワイン業界が注目するワイナリーだ。
彼らは土着品種であるリボッラ・ジャッラを使用したオレンジワインを造っている。濁りがなく透き通った、クリーンなタイプのオレンジワインであり、イタリアで最も権威のあるワインガイド、「ガンベロロッソ」で最高評価を獲得している。
そんなイタリアを代表する造り手である「プリモシッチ」は、「New Genelation Orange Wine=新時代」を意識しクリーンでエレガントなワイン造りをモットーとしている。そして近年、世界的なパンデミックにより身動きがとれなかった期間を利用し、ラベルやラインナップのリニューアルを行ったのだ。リニューアル後のプリモシッチは彼らの造るワインの高いクオリティに、よりマッチし洗練されたものとなった。
「オレンジワイン」は様々な国で造られ、タイプもいろいろだが、私が「Okvsho」の『Orange Wine』を聴いた時最初に思い浮かべたのはこの「プリモシッチ」のオレンジワインだった。
輝きのあるクリアなオレンジ色にジューシーかつ複雑味のある味わいは、まさにOkvshoが生み出す、流れるようなビートとそこにのせられるフルートのジャズ的メロディーによる洗練された音楽であり、ともに”新時代”を感じるのだ...。
ワインも音楽も、突き詰めていくとアカデミックな一面が見える。しかし、どちらも根本はシンプルに「美味しい」「楽しい」を感じることができるかどうかが大切である。決して難しいものではなく、私たちの日々の暮らしに寄り添い幸せを与えてくれるものなのだ。
プリモシッチのオレンジワインを味わいながらOkvsho の『Orange Wine』を聴いていると、とにかくリラックスでき踊りたくなる。そう、この自然と湧きあがる感情こそが、ハッピーライフの鍵なのではないかと私は思う。
ペアリング推奨EP：「Orange Wine」Okvsho
ペアリング推奨曲：「Orange Wine」Okvsho
ペアリング推奨ワイン：リボッラ・ジャッラ リゼルヴァ/プリモシッチ
参考サイト
