Craft Sake
熊屋酒造有限会社
岡山県
地元産の酒米「雄町米」を使った酒造り
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- 岡山県倉敷市林705
江戸中期から250年以上地元の人々や旅人たちに親しまれてきた味わい
熊屋酒造の歴史は江戸中期にまで遡ることができます。
蔵元を営む庵谷(いほりや)家はもともと紀州熊野の出身で、紀州熊野大社の分社の神殿を建設する際の人足として現在の岡山県倉敷市に移住しました。
移住先、つまり現在蔵元が所在する場所は、蔵裏手の熊野神社詣でへの街道、また香川の金毘羅へ続く金毘羅街道として非常に栄えていました。
この地で、1716年、三代目当主の庵谷伊七(いしち)が、すぐそばにある熊野神社から「熊」の一文字をもらい、「熊屋本家酒造」として酒造業を創業。
ここから、酒造りの歴史は始まります。
「飲み手にずっと飲みたいと言って頂けるお酒」「最初に口の中で広がるお米の旨みと潮が引くようなキレの良さをもったお酒」を造ることを目指しています。
雄町に選ばれたテロワール
4大酒米といわれる「山田錦」「雄町」「五百万石」「美山錦」の中でも、「雄町」は晩稲(おくて)で田植えは6月中旬、収穫は11月上旬と遅く、また背丈が高いため、稲が倒れやすく、病害虫にも弱いため、栽培が困難といわれています。
しかし、岡山県は「晴れの国 岡山」と言われるほど日照時間が年間二千時間と長く、降水量は年間千百ミリ程度でその少なさは日本有数のテロワール。
だからこそそのような雄町の栽培にも適した気候風土が整っていると言えます。
お酒の世界で「山田錦」を“優等生”と例えるならば、「雄町」は“野生児、おてんば”と例えられます。
栽培と醸造での困難を超えた先にできあがるのは、個性ある複雑な味わいの酒。
雄町の酒を偏愛する「オマチスト」と呼ばれるファンも増えてきており、ますます注目度が高まる品種です。
旧赤磐地区に隣接する契約農家
雄町は、大粒で心白が大きい事から大正時代に全国で生産量の多かった時期がありましたが、その反面草丈が高く栽培しにくいこともあり、減少していきました。
現在では全国生産量の90%以上を占める岡山県がその名声を今に伝えています。
「熟成によりその良さを見せる」雄町の酒。
「庵」純米大吟醸及び、純米吟醸は旧赤磐地区に隣接した土地に圃場を構える契約農家の優良米を使用しています。
雄町米の良さを最大限に引き出す
熊屋酒造の創業は1716年。300年間もの長い歴史が地元での信頼につながっており、貴重な備前雄町を契約農家から安定的に確保できる数少ない酒蔵です。
現在の年間生産量は420石。主に純米酒に力を入れています。
「庵」はその熊屋酒造とモトックスが岡山のテロワールの素晴らしさを表現するため共同開発した特別純米酒です。
使用する雄町米の良さを引き出すため、瓶火入れした後は出荷まで5℃以下で冷蔵瓶貯蔵しています。
二つの異なる井戸の水を使って
北に熊野神社、南に五流尊瀧院、と長い歴史を持つ神聖な場所に見守られるように蔵は建っています。
熊屋酒造では熊野神社の裏山から湧き出る霊水を使用しています。
二つの大きな井戸があり、地下50~60メートルから湧き出る伏流水で、水脈の違いから一方は軟水、もう一方はやや硬水と水質が異なっており、やや硬水のほう(硬度4.5)を酛仕込みに使うことで発酵力を高め、また軟水のほう(硬度2.6)は醪造りに使用しています。