Craft Sake
富士高砂酒造株式会社
静岡県
富士山に見守られつつ、富士の超軟水から生まれる酒
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- 静岡県富士宮市宝町9-25
はじまりは、富士山本宮浅間大社の門前町の酒屋から
近江商人であった初代当主山中正吉翁が富士宮市にある富士山本宮浅間大社のご近所に1830年(天保年間)創業、当時の屋号「中屋」の大きな刻書看板は今も店内に飾られています。当時からこの地は浅間大社の門前町として、また物資の行き交う要衝の町としても栄えていました。富士高砂酒造の広い蔵屋敷の中、手入れの行き届いた幾棟もの蔵が立ち並ぶ様子からは、そのころの繁栄した往来が伺えます。蔵が最も大切にしている井戸には、霊峰富士の伏流水が湧き出し、これが蔵の仕込み水として最大の特徴でもあります。
かつての富士山頂にあった仏様が見守る蔵で
蔵敷地内にはいくつもの蔵があり、その中で「薬師蔵」には出来上がった酒の貯蔵タンクが保管されています。この蔵が「薬師蔵」と名乗るにはわけがあります。二代目当主正吉の折、時代はちょうど神仏分離による廃仏毀釈の嵐が起こり、富士山頂にある浅間大社奥宮に納められていた仏像様も同様に行き先がなくなってしまいます。当主はその話を聞いて同志とともに仏様を蔵にお連れし、屋根裏にかくまうことにしたとのこと。その折の仏像は現在も富士高砂酒造の薬師蔵の屋根裏に祀られています。蔵での朝一番の仕事はまずはこの仏様に手を合わせることだそうです。仏様に見守られつつ、蔵の酒はより一層優しい柔らかさを醸成されているのかもしれません。
「高砂流」山廃仕込み
富士高砂酒造に自生する微生物たち、そして富士山の恵み(超軟水の伏流水)とのコラボレーションによって生まれたのが「高砂山廃仕込み」です。
蔵に生息する乳酸菌を利用して仕込む酒造技術で、長めに時間をかけ酒母を育てます。この酒母で醸した酒は蔵独特の風味が形成され、また原料米の旨味が活かされます。
富士高砂酒造では、江戸時代からこの味と技術を伝承してきました。現在も能登杜氏により山廃仕込みで蔵の特徴を活かしており、通常なら酸の強い濃醇なタイプといわれる「山廃酒」を蔵独特の仕込み水の作用もあり、生き生きしたふわっと優しい口あたりとほのかな甘さを伴う酒を醸しています。この味わい故に近年多くの品評会でも認められ、多数の賞も受けています。
「雲ノ上」という名前
「雲ノ上」という名前は、蔵の所在地富士宮市のどこからでも、もちろん蔵の屋上からでも真正面に望むことのできる大きな存在「富士山」から取りました。毎日雄大な富士を眺めていることで、そこに住む人の心の中では清冽雄大な富士のようでありたいと思わせるものがあるかもしれません。「富士山」に抱かれたこの酒はそこに住む人と同様、この酒の中にも清冽雄大な穏やかな優しさを感じられる酒になりました。富士から頂いた水一滴から、その地に根差した米で、そこに住む人が醸した「雲ノ上」を感じる酒です。
富士山伏流水
富士高砂酒造では富士山伏流水を仕込み水として使用しています。100年の歳月をかけ、自然濾過された霊峰富士の伏流水は、発酵力の弱い「超軟水」。この天然の良水を使用することで、高砂の特徴である口あたりの優しい、ほのかに甘さを感じる酒が醸されるのです。この水は蔵と200mと離れていない所に位置する、富士山本宮浅間大社境内にある国指定特別天然記念物の湧玉池に注がれる約21万t/日の超軟水と同様で、創業以来一度も枯れることなく蔵の繁栄を支えています。
静岡産にこだわった酒
「雲ノ上」は、とにかく「静岡産」にこだわったお酒になっています。米は「静岡のオリジナル酒米:誉富士」と「静岡産コシヒカリ」を使用。水はもちろん「富士の伏流水」、そして酵母も静岡が全国に誇り、数々の品評会で多くの入賞酒を生んだ「静岡酵母」です。
誉富士は酒米の王様と言われる山田錦系の流れを持ち、静岡県で研究開発されたもの。現在静岡県内酒蔵のみで使用されている希少品種。これと静岡産コシヒカリを使っています。
また静岡酵母は、白桃やバナナのような穏やかな優しい香りを特徴とした典型的な食中酒に向く酒を醸すのに使用されます。「静岡」がぎゅっと詰まった自慢の酒です。
富士高砂酒造の受賞歴
・IWC(インターナショナルワインチャレンジ)
2019年:金賞・リージョナルトロフィー(山廃純米辛口)
2020年:金賞(山廃純米吟醸)
2022年:金賞・リージョナルトロフィー(山廃純米辛口)
・ワイングラスでおいしい日本酒アワード
2022年:金賞(純米大吟醸雄町)
・Kura Master
2020年:金賞(純米超旨辛)
・燗酒アワード
2019年:金賞(辛口純米・大吟醸ソレイユ)
・ISC(インターナショナルサケチャレンジ)
2019年:金賞(山廃純米吟醸)
・名古屋国税局酒類鑑評会
2020年:優等賞(純米旨口)