Craft Sake
株式会社若竹屋酒造場
福岡県
伝統と革新、田主丸の自然の中で醸す酒
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- 福岡県久留米市田主丸田主丸706
「若竹屋は先祖より受継ぎし商いにあらず、子孫より預かりしものなり」の精神
「若竹屋は先祖より受継ぎし商いにあらず、子孫より預かりしものなり」
こちらは、若竹屋蔵元の林田家家訓であり、320年の歴史を誇る若竹屋の揺るぎない精神が詰まっています。
この家訓の背景には、日本酒の醸造に使用する蔵の井戸水が関係します。
この井戸の地層は阿蘇の噴火の影響を受けた特殊な地層で、地下水となるのに1年に1mという非常にゆっくりとした時間を経て地下まで磨き上げられながら浸透していきます。
そんな悠久の時を経た素晴らしい水を現在の我々が使用出来ることは、先祖が私たちに与えてくれたという考えのもと、この水を子孫に還さなければならない。という意味が詰まっています。
この家訓を、代々にわたる当主達は「今の酒造りは長い年月の中で造られてきたものであるからこそ、今の我々の行動が子孫たちの酒造りに関わる事となる。」とも理解し、現代的な酒造りを確立しながらも、過去の技法への探求心を絶やさず常により良い文化の還元に努めてきました。
その先に、日本酒から派生する食文化の技術的側面と文化的側面を伝統や習慣から正しく学び、不易流行を経ることで酒造りを通じてより良い日本文化を継承・創造していく事を目指しています。
「Michikake」に込めた想い
「Michikake」は月の「満ち欠け」から命名しました。
太古の昔から30日弱で日々その見える姿を変えつつ、何か人間の精神や肉体にも影響力があると言われる神秘的な月の変わりゆく姿をイメージしたお酒です。
先入観なくこのお酒を飲んでいただくと「何?このお酒?ワイン?焼酎?シェリー?」などとその正体が謎に包まれてしまうところがあります。
しかしながら、なんだか美味しい、懐かしい。ずっとゆっくり飲んでいたくなるような魅力的な味わいが広がります。
また飲むほどに奥行きが広がり飲むほどに新たなイメージを楽しむこともできます。
そんな神秘的な味わいを日々変わりゆくとりとめのない月の満ち欠けに例えてお届けします。
豊かなる地「田主丸」にて酒を醸す蔵、若竹屋
福岡県久留米市の西側に位置する田主丸町。
九州一の大河である筑後川中流域にあたり、南から東の方角には耳納連山が囲むように聳え立ち、西には広大な筑後平野と、東から広がる「扇」の要にあたる場所に位置しています。
この、扇状地の上に扇状地が折り重なり合った「複合扇状地」という特殊な地形は、河の土と山の砂が交わり合い、肥沃でありつつ水はけも良いという恵まれた土壌で、古くより植木・苗木の生産が盛んでした。
また、日本名水百選にも選ばれた耳納連山由来の豊富できれいな地下水が土地を潤し、寒暖差や湿度の高低差が大きい事からも、果樹や稲作にも非常に適した土地と言われているようです。
その昔、栽培が困難といわれた「巨峰」の育成に成功したのもこの「田主丸」が最初だったとのこと。
近年では標高のやや高い山の麓では良質な山田錦も栽培されています。
そんな豊かな田主丸の地とかかわりつつ、若竹屋は300年以上酒を醸し続けています。
日本初の清酒酵母「Saccharomyces Sake Yabe(サッカロマイセス サケ ヤベ)」物語
2007年ころ、蔵元の林田氏と杜氏の横尾氏は、過去の技法への探求心から日本初の清酒酵母である「Saccharomyces Sake Yabe」での醸造を試みました。
今ではこの酵母を使用している蔵は全国で10程度はあるものの、当時は先駆け的な存在であり、また資料や情報も非常に少なかった為どのような酒が出来るかはまさに「未知なる挑戦」。
試験醸造が終わり、杜氏の横尾氏はこの酵母について「酒が暴れた。非常に苦労がかかるものだった。」と語ったといいます。
泡の立ち方が現在の酵母とは大きく違い、発酵力が非常に強く、濛々と泡が立ったものだったそうです。
味わいは独特の酸・旨みが前に出ており、当時の酒の評価からすると一般的に「良質な酒」とカテゴライズされているものとは全く別物でありました。
しかしながら、林田氏や横尾氏はその特徴ある味わいこそ、「培養されたものでない天然に産まれたもののもつ生命力がみなぎっていて、素直に美味しい」と思えたのでした。
兄弟会社にワイナリーも持っている林田家は、典型から減点方式である日本酒の評価目線だけでなく、個を生かした加点式のワイン目線から評価をすることが出来た為、個を生かしたこのお酒も今後評価されると感じ、そこから醸造を続けることにしたのでした。
市場や食文化の変化により、現在ではこの酵母を使ったお酒こそが若竹屋の看板商品の一つにもなっています。
若竹屋酒造場 商品受賞歴
若竹屋NUDY 特別純米 香港和酒大賞 2020年 受賞