- フランス サヴォワ
ドメーヌ・リュパン
Domaine Lupin
幻のワイン!アルテス種に“賭けた”、サヴォワの紳士
ルーセット(アルテス種)のスペシャリスト
ブリュノ・リュパンはルーセット・ド・サヴォワのクリュ、フランジー所在の4世代に渡る家族経営のドメーヌです。以前は農業も営んでいましたが、現在の当主ブリュノ・リュパン氏により1992年に専業のワイナリーとして新たなスタートを切りました。
当初わずか1ヘクタールだった畑を1994年から徐々に増やし、現在は5ヘクタールになりました。栽培品種はルーセット主体。サヴォワでは23品種のブドウの植樹が認められていますが、リュパン氏は白のルーセット(4.7ha)と赤はモンドゥーズ(0.4ha)の2品種しか栽培していません。こうしたことから、ブリュノ氏は地元品種ルーセット(アルテス)のスペシャリストとして知られますが、生産規模が小さく、また生産のほとんどは両親が地元で営むレストランに来る熱心なファンが購入するため、輸出にまわることは稀な幻のワインです。
8月上旬の畑
全てを捨てて自分に賭けたサヴォワの紳士
ブリュノ・リュパン氏は1980年にボーヌの醸造学校にてワイン醸造学を取得。その後はスイスのジュネーヴにある協同組合のワイナリーに15年間勤め、そこで後に醸造責任者になりました。
しかし、彼には実家のワイナリーを継ぐという固い決意があったため、1994年から少しずつ畑を買い足していきます。その当時の父親から受け継いだ畑は、たったの1ヘクタール強。それだけではあまりにも少な過ぎてこれでは生活していけないと判断。最終的には5ヘクタールになるまでに15年以上かかり、1998年にようやく念願の自社ワイナリーに専念することとなりました。
2005年、レヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス誌が大きく取り上げたインタヴュー記事に、「なぜ、家から近いジュネーヴでの醸造をやめたのか?フロンタリエ(国境に住む人)としての生活は快適だったはず。決まった労働時間、高額な給料(スイスの所得水準は、大卒平均55万円以上)、なのにどうして?」という質問がありました。
これに対してブリュノ氏は、「やっぱり最初から最後まで自分でやりたかったし、自分は職人タイプだから。それにジュネーヴで資金はしっかり貯めたから、自分の力で行けるところまで行こうと思った。」と答えています。
やり始めてみると収入はスイスで働いていた頃の半分、畑やカーヴでの仕事が終わって、帰宅したら書類の山、販売先の予想不可等・・・不安は常に付きまとう、とブリュノ氏は言いますが、できたワインのほとんどが両親の経営するオーベルジュとそのレストランで完売してしまうというほどの人気ぶりで、フランス国内にもほとんど出回らないという幻のワインとなっています。
オーナー兼醸造家ブリュノ・リュパン氏
すぐ楽しめるタイプのワイン
ブリュノ・リュパン氏は、サヴォワ地区では長熟タイプのワインより、楽しめるワイン、つまりフレッシュで、すぐ楽しめるタイプのワインに適しているといいます。
●日本向けは特別にアッサンブラージュ
サヴォワ地区のルーセット(アルテス)は、残糖度とガスが多いためともすると厚みのないワインになります。ブリュノ氏は個人的に残糖度の高いワインは好まないことから、日本向けにリリースするものは、残糖度の少ないアサンブラージュを特別に行っています。
テイスティングの様子
実家のオーベルジュの裏にひっそりとたたずむワイナリー
所有畑が5ヘクタールと、本当に小さな規模のワイナリー。
ワイナリーの入り口は、実家が営むオーベルジュの裏にある小さな看板が目印です。
小さな看板
サヴォワの郷土料理
ジュラやサヴォワという地区は山脈に囲まれているため、テリーヌやソーセージといった保存のきく肉加工品を食べることが多く、もちろんフロマージュも不可欠です。そんな彼のファミリーが経営するオーベルジュでは、ほぼ郷土料理のみの提供となっています。日本ではあまり馴染みのない料理ばかりかもしれませんが、肉加工品を除けば家庭でも実現が可能です。
代表的な郷土料理は、
「タルティフレット(ルブロションを丸ごと使うグラタンのようなもの)」や「ディオ(豚肉のソーセージを白ワインと玉ねぎで煮込んだもの」です。
ディオ
忘れてはいけないチーズフォンデュ
サヴォワで代表とされるチーズは、やはりルブロション、トム・ド・サヴォワ、ボーフォールなど。日本では少し高額なチーズとなりますが、一度はトライしてみたい地元の名産です。
チーズ・フォンデュは日本でも有名な料理ですが、地域によって入れるチーズは異なります。サヴォワではコンテ、ボーフォール、エメンタールが一般的で、一人あたりの目安は、女性で200グラム、男性で250グラムあたり、といわれています。フォンデュを食べる際、必ず白ワインを飲み、赤ワイン、ビール、水などは避けること!(胃の中でチーズが固まるため、といわれています)
サヴォワ風チーズフォンデュ
アルテス種に“賭けた”サヴォワの紳士
■La Revue du Vin de France (2005年3月号)で特集!
フランスのワイン専門誌「ラ・レヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス」では、毎号1人の生産者にスポットを当てての記事が組み込まれます。この特集でサヴォワが登場したのはおそらくこの10年でブリュノ・リュパン氏のみ、と言えるほど、本国フランスでも市場で見ることの少ないのがサヴォワ地区のワインです。
記事では、「アルテス(ルーセット)のスペシャリストであるサヴォワの紳士」、というタイトルで大きく特集が組まれました。
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