- スペイン ムルシア
バラオンダ
Barahonda
「バラオンダ」のモナストレルが凄い!
4世代に亘り築き上げた“クオリティワイン”への道
■4世代に亘り築き上げたワイナリーの基礎
ワイナリーの歴史は1850年、ペドロ・カンデラ氏が自宅の一部に設けた小さなセラーで造ったワインを少しずつ販売し始めたことに始まります。そして1925年、アントニオ・カンデラ・ガルシア氏は、「ボデガス・アントニオ・カンデラ」の名の下、自社畑でのワイン造りを始めます。次の代、アントニオ・カンデラ・ポベラ氏になると、ワイナリーは醸造面で大きな飛躍を遂げます。
販売が徐々に軌道に乗るようになるにつれ規模は拡大し、今度は最新の醸造設備も設置されるようになるなど、近代化が進みました。
4代目に引継がれた1990年代になると、これまで代々築き上げてきた基盤をもとに、ワイン造りの哲学から見直しをかけた大きなイノベーションが起こります。ワインの魅力を“デザインも含めてアピールする”というものです。
■クオリティワイン「バラオンダ設立」と「モナストレル種」への賭け
こうした流れのなかで、2001年4代目で現在のオーナー、アルフレド・カンデラ氏により新たに「バラオンダ社」が設立されました。
「地ブドウ、モナストレルの魅力を開花させること」、「最高の選果、最高の醸造と設備による“クオリティワイン”」これがバラオンダの使命です。代々受け継がれたワイン造りへの情熱は、「バラオンダ」という形で新たな時代を迎えました。これは一家にとって大きな転換であり、それゆえに多大なリスクを背負うことを意味します。しかし、地ブドウとクオリティワインへの情熱、そして家族に支えられカンデラ家の若い世代の、新たな挑戦が始まりました。
現在のオーナー、カンデラ兄弟と父
地元品種に賭けた情熱家
四代目となるアルフレド・カンデラ氏は、若い頃アメリカへ留学し経営学を修めた後、マドリッドで経営コンサルティングの会社に就職。数々の企業の経営管理に携わるという経歴の持ち主。全ては将来、ワイナリーを継ぐための準備でした。幼い頃から家業のワイナリーは常に近い存在で、遊び場もワイナリー。よく手伝いもしたし、学生時代は学業そっちのけで毎年収穫を手伝っていたことから、常に「いつかは、兄と協力して父の跡を継ぐもの」だと考えていました。そして、兄が醸造学の道に進んだのを見て(現在、バラオンダの醸造長を務める)、自分は営業か経営をやりたいと思いました。アメリカでの経験を経て1994年、父から「そろそろ修行は終わり。戻って来い。」とのお達しがあり、いよいよ実家のワイナリーに戻ります。
しかし、実家に戻ってみると「バルク販売しかしていない」という実情を目の当たりにします。当時、モナストレル種という品種はスペインでは全く知名度がなく、補助品種の一つとして大手生産者のワインに色やボディを足すために使われていたのです。アルフレドはこの状況を嘆き、そして考えます。それから6年後、実家での経験を積んだ彼は、兄に「モナストレル主体で自社元詰めのクオリティワインを造ろう!」と提案しました。これが2004年、兄弟で立ち上げた新しいプロジェクト、品質ワインをポリシーとする「バラオンダ」誕生の動機です。
オーナー、アルフレド・カンデラ氏
凄さの理由はこちら!輝かしい評価の数々!
バラオンダのワインは、そのコストパフォーマンスの凄さが専門誌からも高い評価を集めています。ロバート・パーカー氏「ワイン・アドヴォケイト」では、「価格をはるかに超えた掘り出し物!」と絶賛されています。同じ点数がついた他のワインに比べて大変お買い得であることに驚き、思わず口をついて出たコメントです。
■642849 カロ
2011年 ワイン・アドヴォケイト 89点
2010年 ワイン・アドヴォケイト 88点
■642844 バラオンダ モナストレル
2011年 ワイン・アドヴォケイト 91点
2010年 ワイン・アドヴォケイト 89点
2009年 ワイン・アドヴォケイト 89点
■642845 バラオンダ バリカ
2010年 ワイン・アドヴォケイト 92点
2009年 ワイン・アドヴォケイト 89点+/ムンダス・ヴィニ2011 金賞
2008年 ワイン・アドヴォケイト 90点
2007年 ワイン・アドヴォケイト 90点
■バラオンダ クリアンサ
2002年 “100 best wines from Spain”金賞
(“Radio Turismo 2007” 主催)
■エレダー・カンデラ
2009年 ワイン・アドヴォケイト 90点
2008年 ワイン・アドヴォケイト 90点
2007年 ワイン・アドヴォケイト 90点
2006年 ワイン・アドヴォケイト 90点
2005年 ワイン・アドヴォケイト 90点
栽培の約80%がモナストレル種
自社畑で栽培される品種の約8割が、固有品種“モナストレル”です。
■畑:自社畑と買いブドウ
■栽培品種(自社畑):モナストレル75%、その他25%
赤)モナストレル、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルド、ガルナッチャ・ティントレラ
白)マカベオ
※メルロー、テンプラニーリョ、アイレンは買いブドウのみ
セントロ地方とレバンテ地方のはざまにあるイエクラ
偉大な地域ムルシア州と、小さなD.O.イエクラの宝石「モナストレル」
イエクラは、ムルシア州の北東に位置、スペイン中央部のメセタから地中海側への間にあり、比較的標高の低い山々に囲まれています。D.O.の認定は1975年と、隣接するフミーリャ(1966年認定)よりひと足遅れてはいますが、一部のボデガではフミーリャ同様1980年代後半から「モナストレル」の偉大なポテンシャルに注目し、従来の粗野で田舎臭いスタイルのワインから、よりモダンでなスタイルのワイン造りへと舵を切り替える動きが始まっていました。
イエクラはスペインで唯一、ひとつの町(イエクラ)からなるD.O.で、最も小さなD.O.の一つですが、何よりイエクラの特徴となるのは地ブドウ「モナストレル種」の存在です。ロバート・パーカー氏がこのモナストレルの偉大さに注目し、2006年にムルシア州を「世界の中でも偉大な地域」と表現したことから、かつて無名であったイエクラの名も一般に知られるところとなりました。
<モナストレル種> レバンテ地方が起源の地ブドウ(バレンシア州モルベドレ村付近)
15の原産地で使用が認められているが、モナストレル種を主力とする産地はムルシア州に位置する、フミーリャ、イエクラ、ブリャスの3つ。(アリカンテやバレンシアでも栽培されているが、これらD.O.の主力はボバル)実が小さくて皮が厚いという記録が15世紀の書物に残っているほどムルシアでは古くから栽培されており、フランスに渡りムールヴェードルとなる。なかなか熟しにくく収穫時期が遅い品種としても知られ、適熟には南スペインの強烈な太陽が必要。モナストレルは他の品種とブレンドされて使われることが多く、長く主体的に“凝縮感のある素晴らしいワインができる”と考えるワイナリーはなかった。カベルネやシラーの補助的品種と思われがちであるが、決してそうではないことを、近年、バラオンダを初めとするムルシア州のいくつかの造り手が証明しつつある。
<フランス・オーストラリアへの伝来の経緯>
フィロキセラの被害が拡大した時代、フランスでは60%のブドウが壊滅。フィロキセラに侵されていないブドウを求めてフランス人たちがスペインへやって来ることになり、そこでモナストレルと出会う。→フランスに輸出する際に使われていた箱に、輸出港の名前「ムヴェードレ」と書かれていた。→輸入したフランス人が箱を見てそれがブドウの名前だと勘違い。ムールヴェードルと呼ばれるようになる。
このお話は文書も残っており、オーストラリアでの呼称”マタロ”も同様に、当時バルセロナ近郊のマタロ港から輸出されており、マタロと書かれた箱を見た現地の人がブドウの名前だと勘違いしたことが発端。
<モナストレルとムールヴェードルの違い(アルフレド談)>
元は全く同じブドウ品種ですが、スペイン南部に比べるとフランスは日照量が低く、降雨量も多いため完熟度が下がり、青みが出る。スペインのモナストレルの方がストラクチャーがあり、凝縮度が高い。
スペイン南東部、レバンテ地方のイエクラD.O.
モナストレルへのこだわり
地ブドウ、「モナストレル」はワイナリーが“私たちの女王”と呼ぶほど大切にしている品種です。政府の減反政策や国際品種との競争が激しさを増す流れのなか、バラオンダがモナストレル種にこだわったのは、そのポテンシャルを熟知しているから。そしてワイン愛好家たちがありきたりの国際品種には満足しなくなっていること、常に新しい“何か”を求めていることをアメリカの経験で体得していたからです。
年間300mmという極端に少ない降水量、大陸性気候という条件に加え、他のモナストレルの産地と比べて標高の高いイエクラ、そしてそのイエクラでも更に高地に畑を所有(600~850m)しているという好条件が揃い、数多く残る古木の畑に恵まれていること。受け継がれた財産を振り返ったとき、イエクラの、そしてバラオンダのテロワールに完璧に適応したこの地ブドウの素晴らしさを広めたい、という想いが確かなものとなりました。
イエクラD.O.では、より凝縮感のある質の高いモナストレルを収穫する為、灌漑が禁止されています。乾燥した気候に加えて灌漑が禁止されているため、ブドウの樹が水分の取り合いをしないよう植樹の間隔が非常に広くなっています。(2.5×3m)仕立ては背の低いブッシュヴァインとなり、機械収穫は不可能なため全て手摘みでの収穫となります。
モナストレルのブドウと畑の様子
モナストレル主体でブドウの果実味を感じてもらうこと。樽熟成による複雑味は、決して樽感が支配したものにならないようにすること
「フルーティ、エレガント、複雑味、ストラクチャー”。これら全てが“気楽なワイン”の中にあり、誰もが楽しめるものであること」
私たちのワインはプロのテイスターに向けたものではありません。
それよりも普通の飲み手に向けたものです。それはワインが普段の生活で人々の楽しみになりえる、と考えているからです。
全てのバラオンダワインに共通する点は、タンニンが完熟しているため、ボディがありながらも優しい甘みと丸みを感じる点。透明感のあるクリアな果実味が、ワインを親しみやすくかつエレガントな味わいに仕上げています。樽熟ワインであっても、ブドウ本来の味わいを感じてもらう事を理想としており、樽が支配しないよう細心の注意を払っているため、全体としてワインのバランスが非常に良くなっています。
モナストレルを圧搾中