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- フランス ボルドー
シャトー・キルヴァン
Chateau Kirwan
大きな改革を行い、転換期を迎えるシャトー
英国、アメリカで親しまれてきた
ボルドーのイギリス人ワイン業者、ジョン・コリングウッド(John Collingwood)氏の娘と結婚した、アイルランド出身の実業家マーク・キルヴァン(Mark Kirwin)氏が1760年にシャトーを引き継ぎ、彼の名前『キルヴァン』をシャトーにつけました。また、美しい古典主義様式のシャトーの建物もキルヴァン氏によって18世紀末に建造されました。
その後、キルヴァンのワインは名声を博するようになり、1787年にこの地を旅したトーマス・ジェファーソンは、彼の著書『ジェファーソン、ワインを語る(Thomas Jefferson’s work on Bordeaux wines)』の中で「キルアン(Quirouen)」をセギュールやランシュと並んで第二級に格付けしています。名前のキルヴァンが英語的であった為に、英国、アメリカなどのワイン愛好家にも親しまれやすかったと言われています。
1925年に、シーラー(Schyler)家がこの地を購入。もともとハンザ同盟の商家であり、1739年からネゴシアンとしてボルドーに定住していたこの一族がクリュを取り仕切るようになりました。
1970年代以降には大規模な設備投資を行いました。ソフィーとナタリー、それからヤンに世代交代したシーラー家は、2007年に熟練の醸造家であるフィリップ・デルフォー(Philippe Delfaut)氏を統括マネージャーに迎え、体制を強化させました。
セラー入り口のデザインにはワイン用語が隠されている
“Cabinet Ouest” ”Mois de Juin”"Canon"、三つの畑
シャトー・キルヴァンの畑は、マルゴー、カントナックの村の銘酒街道2号線から200mほど南に入った所にあります。37ヘクタールある畑は、砂礫土壌、粘土層の上に砂質の砂礫土壌の斜面に位置しており、45の小区画に分かれています。ブドウの栽培比率はカベルネ・ソーヴィニヨン47%、メルロー35%、カベルネ・フラン10%、プティ・ヴェルド8%(2017年値)。
の区画は幾重にも層になった粘土質で、穏やかにメルローを成長させる区画です。キルヴァンの中核とも言える、シャトーの建物の横にある”Mois de Juin”の区画は程よく粘土質が入った砂利質の土壌で、水はけも良く日照も理想的です。その為、エレガントで滑らかなタンニンを持つ素晴らしいカベルネ・ソーヴィニヨンを生み出します。そして、キーとなるのが"Canon"の区画から採れるプティ・ヴェルド。カントナックの丘陵地の頂に位置する深い砂利質の土壌で、そこから造られるプティ・ヴェルドは素晴らしいエレガントさでワインにフィネスを与えてくれます。
シャトーの傍の畑
刷新されたセラーでの高い技術
醗酵が行われるタンクは2017年に新しくされたもの。イタリアでカスタムメイドされた、モダンなチューリップ型のコンクリートタンクで、壁は厚めです。全部で37基あり、小区画での醸造を可能にしています。そのままマセラシオンにもスムーズに移行することが出来ます。熟成は18〜22ヶ月熟成、新樽使用比率50%。
イタリア製のチューリップ型コンクリートタンク
【シャトーのラインナップ】
シャトーではファーストのシャトー・キルヴァンに加えて、セカンドワインのシャルム・ド・キルヴァン(Charmes de Kirwan)を造っています。1993年から造り始められたこのセカンドワインは若木から採れたブドウを中心に、ファーストと同じケアの元造られています。砂利質より粘土質から採れたブドウを中心に造られており、セカンドは、よりフレッシュさがあり、丸みがあり角が取れていて、フルーツの香りが主体のスタイルで、若くから楽しむことができます。