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- フランス ボルドー
シャトー・ランゴア・バルトン
Chateau Langoa Barton
ランゴア一族が代々守ってきた小さなサン・ジュリアンのシャトー
バルトン家による300年にわたる歴史
トマ・バルトン(Thomas Barton)氏が生まれ育った故郷、アイルランドを離れ、ボルドーに来てワインビジネスを始めたのは1725年。彼が27歳の時でした。強い存在感、正直な性格等を持ち合わせていた彼は、1737年頃には事業を成功させボルドーでも一目置かれる存在となっていました。1780年に彼が85才で亡くなった後、その息子のウィリアム・バルトン(William Barton)氏が全てを引き継ぎましたが、とげのある言動等により何かと問題を起こし、ビジネスは上手くいきませんでした。
その後ウィリアムの四男、ヒュー・バルトン(Hugh Barton)氏がワインビジネスを引き継ぎましたが、商才のあった彼はビジネスを成功させます。しかし、そこにフランス革命が起り、彼は妻と共に逮捕されてしまいます。釈放された後はイギリスに身をひそめることになりますが、ボルドーと繋がりは上手く維持し、1921年にシャトー・ランゴアを、1826年にレオヴィルの区画を購入。後にこのランゴアの区画がシャトー・ランゴア・バルトンと名づけられました。
続く三代はイギリスに住んだままでしたが、その後のロナルド・バルトン(Ronald Barton)氏はボルドーに戻ってシャトーを相続しました。1940年から1945年に彼が兵役の為フランスを離れてイギリスにいた間に畑は荒廃してしまいましたが、再びフランスに戻った彼は立て直していきます。
シャトーはサン・ジュリアンの南に位置する
受け継がれるシャトー
ロナルド・バルトン氏は、1983年に甥のアントニー・バルトン(Anthony Barton)氏に事業を引き継ぎ、1986年に息をひきとりました。アントニー・バルトン氏は叔父のロナルドに記しています。『感謝は私でなく、ヒュー・バルトン氏に。私は監視者の如く彼の畑を最善の状態で次に引き継げるよう責務を果たしたまでだ』。
そのアントニー・バルトン氏の娘である、リリアン・バルトン・サートリアス(Lilian Barton Sartorius)氏は銀行などの会社で働いていましたが、22歳の時にボルドー第二大学醸造学部のワインディプロマ(DUAD)を取得し、夫のサートリアス氏と結婚した頃より父アントニーからシャトーとネゴシアンの仕事を引き継ぎました。そして、子供のメラニー(Melanie)とダミアン(Damien)も少しずつ家業に加わってきています。
伝統的手法を基本とする
畑はシャトー・レオヴィル・バルトンの隣の恵まれた区画にあり、平均樹齢37年で、一番古い区画は1953年に植えられています。剪定は冬の間忍耐強く丁寧に行われます。栽培密度はヘクタール当たり9100本。2012年より12%の区画がオーガニックにて栽培されており、年々その比率は高くなっています。サステーナブル農法を取り入れており、殺虫剤や除草剤は使わず、有機肥料を使っています。収穫時には120人ほどが集まって手摘みにて丁寧に行われます。
収穫されたブドウは温度管理された木製の発酵槽にて7~10日間発酵が行われます。発酵中は1日に2回ポンピングオーバー。マセラシオンは3週間。新樽60%のオーク樽にて16~18ヵ月、15度に管理されたセラーにて熟成され、滓引き、清澄の後瓶詰されます。清澄は1樽辺り3~6個の卵白が使われています。45日程の後、滓と卵白は取り除かれます。ブレンドは1月の末に行われ、醸造長がコンサルタントのエリック・ボワスノ氏と試飲チェックをしながら決めていきます。そして、6月に瓶詰されます。
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン57%、メルロー34%、カベルネ・フラン9%
新樽の使用比率は60%
【シャトーのラインナップ】
ファーストラベルに加え、かつてセカンドラベル、レディ・ランゴアを造っていた、もしくは、時々造っている模様です。