- フランス シャンパーニュ
シャンパーニュ・ボーモン・デ・クレイエール
Champagne Beaumont des Crayeres
フィネスの源!最高純度の果汁「クール・ド・キュヴェ」を受け継ぐメゾン
幻のキュヴェ「クール・ド・キュヴェ」を育むメゾン
ボーモン・デ・クレイエールのシャンパーニュを決定的に特徴づけるのは「キュヴェの神髄」と呼ばれる「クール・ド・キュヴェ(ハートのキュヴェ)」の存在です。特別な設備と手間がかかるために、ほとんど誰も使うことがないこの特別なキュヴェは、一般にキュヴェと呼ばれる第一搾汁のわずか半分しか得られません。ボーモン・デ・クレイエールでは驚くべきことに全てのラインナップにこのクール・ド・キュヴェが使われています。
情熱のDNA:そんなメゾンの設立は1955年に遡ります。シャンパーニュ地方の中心地、エペルネの小さな村マルドゥイユの一握りの熱心なブドウ栽培者たちが、「どれだけ情熱を注いでもブドウを売ってしまうだけでは品質が台無しだ。こうなったら自分たちのブドウで最高のシャンパーニュを造ろう!」と設立したのがボーモン・デ・クレイエールです。品質を追求するメゾンの噂は瞬く間に地域に広がり、すぐに村を超えてブドウ栽培者の絶大な信頼を集めることとなりました。ボーモン・デクレイエールの高い品質の源流は、設立の動機となったこうしたブドウ栽培者たちの情熱にあります。メゾンに時代を超えて受け継がれてきた、「畑への誇り/仲間の信頼/品質へのこだわり」という価値観に基づき、偉大なシャンパーニュ造りに向けて、組合員ひとりひとりのスピリットが注がれています。
最初の収穫は1958年。自社畑100%、自社圧搾100%という、シャンパーニュ地方では非常に稀な完全自社生産体制を設立当時から貫くことで、徹底した品質管理が可能となるのです。
ワイナリー正面にて
スパークリングに魅了された泡のプロ
2007年11月より、シャンパーニュ・ボーモン・デ・クレイエールに最高醸造責任者として就任。品質の全てを取り仕切るのがピアッツア氏です。
農業工学を修めたのち、ワイン愛好家でもあったことからブドウ栽培と醸造の専門家としての道に進みました。シャトー・マルゴーでの修行を経て、かのポール・ポンタリエ氏により生まれて初めて「テロワール」の概念に出会います。土壌が持つみごとな表現力に魅せられたピアッツァ氏は、その後キャリアの全てをこのテロワールの解明に捧げることになります。
1989年:シャンパーニュ ランソン社の最高醸造責任アシスタントに就任。複雑性に富むシャンパーニュの土壌を見出す
1992年:シャルル・ド・カザノヴ社の最高醸造責任者に就任
2007年:ボーモン・デ・クレイエール社の経営に参加。最高醸造責任者として、高級感と信頼性を備えたブランドの発展にも貢献中。
「週末は家族のために特別な料理を作る」というほど、大変な料理好きでもあるピアッツァ氏。彼の語るボーモン シャンパーニュと食事のマリアージュの提案は、使われる食材や料理に対する造詣がとても深く聞く人を魅了します。「私はスーパークリングに魅了されています。だから泡のプロフェッショナルであり続けたい」というピアッツァ氏は、人当たりがよく大変な紳士であり、自身の仕事に対しては確信と誇りに満ちた素晴らしい醸造家です。毎朝マルシェで花を買って会社に活けるそうですが、取材で訪問した際は、同社のシンボル、バラを準備して出迎えて頂きました。(写真の花がそれ)
最高醸造責任者オリヴィエ・ピアッツア氏
長期熟成を経てなおフレッシュなシャンパーニュ
ボーモン・デ・クレイエールが目指すのは、「長期熟成を経てなおフレッシュさを湛えたシャンパーニュ」。一見矛盾するこのスタイルを可能にするには、非常に高い品質の果汁が必要になります。
最高純度の果汁、幻の「クール・ド・キュヴェ」
そのために取り出すのが、「クール・ド・キュヴェ」と呼ばれる最高純度の果汁。「品質の追及」を掲げて設立されたボーモン・デ・クレイエールでは、シャンパーニュ造りの命である果汁にも強いこだわりをみせてきました。クール・ド・キュヴェは、キュヴェ(第一搾汁)と規定されるシャンパーニュ最上の果汁をさらに精製することで得られます。手間やコストがかかるうえに得られる果汁の量はごく少ないという理由から、他ではまず使われることがなく、この果汁には名前もありませんでした。メゾンでは愛情を込めて「クール・ド・キュヴェ=キュヴェの神髄」と呼んでいます。
本物のムニエ シャンパーニュを造る!
優秀なブドウ栽培家集団であるボーモン・デ・クレイエール。そんな彼らが思いを寄せる特別なブドウ品種が、ムニエ(旧名ピノ・ムニエ)です。ムニエはシャンパーニュ地方唯一の地ブドウでありながら、常にシャルドネやピノ・ノワールの陰に隠れて補助品種とみなされてきました。ですが、メゾンのあるマルドゥイユ村はムニエ最高のテロワールと言われ、栽培家である彼ら自身がその本来の姿を熟知しています。そこで、「ムニエが最高のシャンパーニュになることを世の中に知らしめたい」との思いから誕生したのがムニエ主体のフラグシップ・シャンパン、グランド・レゼルヴです。また限定生産ながら、2008年が初ヴィンテージとなる珍しいムニエ100%のゼロドザージュ シャンパンも誕生しています。
ムニエ(旧名:ピノ・ムニエ)
白亜土壌の美しい丘
誇り高いブドウ栽培家たちが設立したワイナリーらしく、社名も自分たちのアイデンティティーである畑からつけることにしました。ボーモン・デ・クレイエールという名前は、1955年の設立当時からある最高区画、Beaumont(ボーモン)とCrayeres(クレイエール)の二つの畑に由来します。ワイナリー名を説明することで、テロワールの素晴らしさを説明することができます。
「Beaumont=美しい丘」:フランスのブドウ栽培の北限であるシャンパーニュ地方では、畑が南向きの丘陵地にあることが最高の条件です。南向きの斜面では、ブドウは十分な日光を吸収できることを意味します。また、丘陵地は水はけが良く、雨が降っても畑に水が溜まらずブドウの木は衛生的な環境のもとで育つことができます。
「Crayeres=白亜質土壌」:シャンパーニュ地方で最高と言われる土壌が白亜質土壌です。ですが、100%白亜質土壌でかつブドウ栽培ができる地域は、シャンパーニュでも限られた場所にしかありません。湿度の調整に重要な役割を果たす白亜質土壌は、水はけが良いと同時に水分を地中に蓄える力もあります。降雨の際は畑の水分を直ぐに排水し、夏場の雨不足の際は逆に地中に蓄えた水をブドウの木に戻す作用もある大変すぐれた土壌です。
丘陵地の区画
ロゴにも描かれるバラの花
濃いプラム色とバラの花が印象的なボーモン・デ・クレイエールのロゴマーク。これは、マルドゥイユ村とボーモン・デ・クレイエールの象徴的品種ムニエの色と、畑で栽培されるバラの花を意味しています。
畑を愛するメゾンのブドウ栽培家たちは、畑を自分たちの庭と考え美しく見せることにも情熱を注いでいます。そのため、畑にはバラが栽培されており大変美しい景観を造り出しています。バラを育てるように丹精を込めてブドウを栽培しているという、畑への想いと敬意を込めて、ワイナリーのロゴにはバラを使うことにしました。バラはまた、いち早く病気に感染する植物であるため、畑に見事にバラが咲いていることは「健康な畑」であることも意味します。
バラが咲く畑の様子
畑から醸造まで完全自社生産
シャンパーニュでは非常に稀な、特筆すべきその他のこだわりの一つとして、自社畑と自社設備による完全自社生産があげられます。スティルワイン造りと異なり古くから分業が進んだシャンパーニュ地方では、ブドウを買い付け、圧搾は専門業者で行うといったスタイルが一般的です。ですが、品質や安定供給を追求する上では、他社に任せる部分が増えるほど管理が難しくなります。クオリティを上げるためには、生産のあらゆるプロセスでの「選別」の精度を上げることが重要になりますが、これは完全自社生産をすることでのみ、が可能になります。自社畑86ヘクタールという規模は、大き過ぎず小さ過ぎず、一人の人間の管理が行き届く規模で、メゾンのスタイルを実現するヒューマンサイズと言えるでしょう。
最新の圧搾設備