- ニュージーランド サウス・アイランド
グリーンホフ・ヴィンヤード
Greenhough Vineyard
忘れられないネルソン産オーガニックワイン。緻密で複雑なソーヴィニヨンに圧倒される!
-
- 411 Paton Road, RD1, Hope, Nelson 7081, New Zealand
一度飲んだら忘れられないネルソンの至宝
グリーンホフの単一畑シリーズ「ホープ・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン」を口にすると、その精密さと複雑さに圧倒されます。低収量で栽培され、天然酵母を用い樽醗酵・樽熟成を行う、現地では「ワイルド・パンチ」と呼ばれる新たなスタイル。ニュージーランドもワインの多様化が進み、清々しい若草やハーブを想わせるニュージーランド産ソーヴィニヨン・ブランの代名詞ともいえるスタイルとは異なる、この複雑味極まりない「ワイルド・パンチ」なワインからも目が離せません。
ワイナリーの設立は1990年。
ワイン造りに強いパッションを抱いていたアンドリュー・グリーンホフ氏とパートーナーであるジェニファー・ウィーラー氏がニュージーランド南島の北部、ネルソンのサブリージョン「ワイメア・プレインズ」で、1970年代から栽培されていた小さな区画を購入したことに始まります。当時ニュージーランドはまだワイン産業の黎明期で、ネルソンで先駆者的なワイナリーが登場し始めた時期でもあります。
現在ベテラン醸造家となったグリーンホフ氏ですが、設立当初はブドウ栽培はもとより、ワイン造りは全くの素人でした。この為、地域の栽培農家や醸造家から学び、何度も失敗を重ね試行錯誤しながらブドウを育て、独自のスタイルを確立していきました。
ワイナリーでは設立当初から「自然栽培」をコンセプトに畑を進化させ、1993年から2000年までの7年間は、ブドウ畑に最適なクローンや品種の植え替えを行いました。この際、ミュラー・トゥルガウとカベルネ・ソーヴィニヨンは産地に適さないとして取り除かれ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、そして複数のピノ・ノワールのクローンが新たに植樹されました。
その後、2008年には完全にオーガニックへの転換を行い、ニュージーランドのオーガニック認定機関であるBio-Gro(ビオ・グロ)の認可を受けました。少しずつ購入してきたブドウ畑は現在11haまで広がり、契約畑4haと合わせた15haの畑全てを管理し、オーガニック農法にてブドウ栽培を行っています。
ワイナリーの使命、それは健康なブドウを育てて質の高い「クラフトワイン」を生み出すことです。この為、醸造面でもできる限り「ハンズ・オフ・アプローチ=人的介入を抑えた醸造」を行うことで、テロワールを最大限に引き出しています。
こうして生み出されるグリーンホフのワインは、ワイン愛好家はもとより、ワイン専門家からも高い注目を集めています。
畑での作業
シンプルにそして革新的に
ワイナリーは常に一つのシンプルな哲学を守ってきました。それは、可能な限り品質の高い果実を育てるということです。最上級のブドウから偉大なワインは生まれるのです。グリーンホフでは除草剤、殺虫剤、殺菌剤、可溶性肥料などは一切使用せず、オーガニック農法でブドウを育てます。この栽培方法は全ての畑に対して、剪定からキャノピー・マネージメント、手摘みまで非常に細かいケアが必要とされるアプローチです。
高品質なブドウを前提として、テロワールが反映されたその特徴を可能な限りワインに残すように、畑での低収量と現場主義を徹底し、醸造面では個々の小さなロットごとに緻密なワイン造りを行います。そうすることで畑の個性とブドウ品種、ヴィンテージの特徴を表現します。そして畑とワイナリーでの作業は相互に関係し、共に革新的でありながら直観を大切にしたアプローチを重要視しています。
こうして、可能な限り手を加えない造りでありながら、醸造家の創造力と直感、クラフトマンシップを最大限に発揮したワイン造りが行われています。これは醸造における永遠の挑戦であり、テーマでもありますが、グリーンホフのワインは毎ヴィンテージ、造り手の影響がどこかしらワインに現れ、ワインはそれぞれの表情を持ち、偶然や必然による影響を受け、複雑な環境のみならず人間の関わりも映し出しています。
主要品種はソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、リースリング、ピノ・ノワールです。それぞれの品種は、クローン選別、区画、仕立て、そして醸造面での意図を映し出します。
オーナー醸造家 アンドリュー・グリーンホフ氏
産地の特徴
ワイン産地「ネルソン」は、ニュージーランド南島の最北端に位置するニュージーランド屈指の銘醸地です。ワイン産地は3つの山々に囲まれ、タスマン湾からの海風の影響を受け、独自のミクロクリマを有します。気候は冷涼で、恵まれた日照量、山々がうむ影響、更には水はけが良く比較的栄養の少ない土壌を有します。シャルドネ、ピノ・ノワールを中心に、ソーヴィニヨン・ブランやリースリングなどのアロマティックなワインに大変定評があります。
産地は大きく分けて二つのサブリージョンからなり、タスマン湾に近いマウテレ・ヒルズ(標高の高い段丘地区)と少し内陸の平野部にあるワイメア・プレインズがあります。
マウテレ・ヒルズは細やかなタンニンと骨格の整ったピノ・ノワールや、複雑でふくよかなシャルドネを生みます。一方でワイメア・プレインズは海に近いマウテレ・ヒルズよりやや冷涼で乾燥している点から、ワインは軽やか且つフレッシュで、華やかなアロマを持ちます。ピノ・ノワールは香り高く、シャルドネは濃厚で特徴的な強いアロマを有し、火打石のようなミネラルも特徴です。
グリーンホフは内陸部の台地、標高35-40m地点のワイメア・プレインズでブドウ畑を展開し、量より質にこだわりワイン造りを行います。この為、単一畑シリーズ(ホープ・ヴィンヤード)の年間生産量は僅か3500-4500本と大変少なく、希少性が高いワインとなっています。
産地マップ(https://www.nzwine.com より引用)
グリーホフの畑が広がる内陸部
ワイメア・プレインズは、南からの涼しい海風と北からの暖かい海風が両方吹き込むエリアで、2万年前に凄まじい寒波が東側の土地を削り取って形成された土地です。山脈から流れ出た砂利がワイロア川からの度重なる鉄砲水により堆積して土壌が形成されました。
「ワイメア」とは原住民マオリ族の言葉で「川の庭」を意味する点も納得です。
グリーンホフの畑は、周辺地区の石の多い土壌構成とは大きく異なり、大変特徴的な地質です。上層部は密度の高い粘土ローム質で水分を蓄えやすく、一方で下層部の砂利質は水はけが良く、ブドウの根が地下深く伸びることを可能にします。灌漑は時と場合によって必要で、新しく植樹を行った際や、干ばつが続く乾燥した夏に必要最低限行います。
単一畑「ホープ・ヴィンヤード」