- ギリシャ ペロポネソス半島
サントール・ワイナリー
Sant'Or Winery
ギリシャ固有品種を自然農法で育て、クリーン系ナチュラルなワインを生む造り手
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- Santomeri Achaia Peloponnese Greece,25200
ギリシャ、ペロポネソス半島アハイアのナチュラル派
ギリシャ、ペロポネソス半島北部のアハイア県サンタメリ村はパトラから30キロほど、標高400m~600mの地点に位置しています。
サントール・ワイナリーはこの村で3世代に亘りブドウ栽培・自家用ワイン造りを行ってきた家族経営のワイナリーです。2007年、3代目にあたる現オーナー兼醸造家、パナヨティス・ディミトロポウロス氏がワイナリーを興し、有機栽培でブドウを育て、2018年にはビオディナミ認定を取得し体系的なブドウ栽培を行います。現在4.3ヘクタールの自社畑と契約畑から、この地の特性を生かした伝統的なブドウ品種、ロディティス、アギオルギティコ、マヴロダフニや絶滅の危機に瀕した地元特有のアロマティック品種、サンタメリアナを復活させワイン造りを行っています。
オーナー兼醸造家、パナヨティス・ディミトロポウロス氏
S02の添加は極少量、破砕時とボトリング前のみ
ワインは天然酵母による自然醗酵を促し、現代的な醸造設備だけでなく、アンフォラやセメントエッグタンクも使用し、土地と品種の特性を最大限に引き出したナチュラルであってクリーンな自然派ワインを生み出しています。(無清澄・無濾過)
恵まれた自然環境と丁寧な農作業により、サントールのブドウは健全に育ちます。この結果、健全で上質なワインを、可能な限りナチュラルな手法で造り出すことを可能にしてくれると言います。
醗酵・熟成に使うアンフォラとエッグタンク
ビオディナミ農法
3世代にわたるブドウ栽培 / 自然に寄り添うワイン造り
祖父の時代から、農園では有機栽培が行われ、全て手作業により家族総出で大切にブドウを育ててきました。ディミトロポウロス氏も幼少期から農業・自然は常に身近な存在で、これらは大切な日常と生活の一部となっていきます。
ブドウ栽培への思いは愛情から、パッションへ、そしてこの地を受け継いだ者への使命へと進化し、機が熟した2007年に待望のワイナリーを設立。時を同じくして有機認証を取得します。栽培面ではルドルフ・シュタイナー氏、福岡正信氏の哲学に強い感銘を受けたことでビオディナミへの農法転換を行い、2018年デメテール認定を受けました。
サントール・ワイナリーの名前の由来
サントール・ワイナリーの名前は、この地に1273年に建てられたサントール城に由来します。城はフランコ・フラマン人によってスコリス山(サンタメリアニコ山)の麓に立てられ、村の名前もサンタメリと名付けられています。一説ではこのサンタメリ村で東ローマ帝国(ビサンティン帝国)最後の皇帝コンスタンディノス11世ドラガシス・パレオロゴスの妻が永眠したと言い伝えられています。現在は、城壁、塔、教会などの遺跡が残るのみで、その中には「ラコタの聖母」と名付けられたビサンティン帝国時代の教会も含まれています。
村を取り巻く環境 ブドウ栽培
第二次世界大戦後、ブドウ栽培は村の主要な産業で、ブドウ畑は「ドラガティ」と呼ばれる見張り役が見張り台から昼夜を問わず見守り、この地域全体を監督していました。この当時、香り高い白ワインを生む土着品種「サンタメリアナ」が積極的に栽培されていましたが、過酷な長時間にわたるブドウ栽培は割が悪く、農民たちは次第に他の作物を栽培。生計を立てる事を余儀なくされました。更に60年代に入ると多くの若者が、より良い生活・労働環境を求めて村を離れ、農業の担い手が減少していきます。こうしてブドウ栽培、特に「サンタメリアナ」の栽培者はその数を落としていき、村にはほんの一握りの「サンタメリアナ」のブドウ樹が残るだけになってしまいました。
斜度の強い畑
希少品種の復活「サンタメリアナ」
サンタメリアナの復活
ディミトロポウロス氏が幼少の頃、彼の父は「サンタメリアナは素晴らしいワインになるんだよ」と息子に優しく語り、4ヘクタール程の畑の脇に残った10本のサンタメリアナの木を見せてくれました。
時を経る事15年後、ディミトロポウロス氏はサンタメリアナの保全に向けてスローフード協会の後押しも得、強い意志を持ってブドウ樹の再生に取り掛かりました。そして今日、この僅かに残った10本のブドウ木は、4000本の根を張り見事に復活を遂げました。
(現在、サンタメリアナを栽培、醸造する蔵はこのサントールのみ)
急斜面での収穫風景
ブドウ品種:サンタメリアナ
・色:薄い
・酸味:高い
・香り:レモンやレモンの皮等軽やか
・スタイル:軽やかで酸が際立つスタイル
サントールでは、アハイアの標高の高い斜面で栽培。
ステンレス仕立ての白ワインとアンフォラでスキンコンタクトを施したオレンジワインを醸造しています。
ブドウ品種:ロディティス
ギリシャで最も古く最も人気の地ブドウ。栽培面積2位。(ピンク色の果皮持つ)。成長力が強く、ニュートラルな味わいのデイリーワインから、標高の高い地区で栽培し、収量を抑えて造るシリアスなワインまで造られる。後者は洗練されたアロマ高い果実風味と高いアルコール、中程度の酸味を持つ。単体、或いはアシルティコやサヴァティアーノとのブレンドに用いられる。(レッチーナにも使用される)
・色:淡い濃さ
・酸味:中程度~高い
・香り:柑橘類の花、リンゴ、熟したメロン、柑橘
・スタイル:ミディアムボディとアルコール
-オレンジにすると骨格、タンニンが豊か
PDO: パトラ、プラギエス・メリトン、アンヒアロス
※100%はPDOパロスのみ
サントールでは、アハイアの標高の高い斜面で栽培。
ステンレス仕立ての白ワインとアンフォラでスキンコンタクトを施したオレンジワインを醸造しています。
ブドウ品種:アギオルギティコ
PDOネメアが有名。収量が多い事から廉価ワインも多くあるが、良質なワインはバランス感に優れ、鮮やかな色合いと鮮度の高い甘い赤果実、黒果実、甘いスパイス、程よいタンニン、アルコールを有し、オーク樽との相性もよい品種。カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーとブレンドされることも多い。
・色:濃い
・酸味:中程度~高い
・香り:赤果実、ラズベリー、チェリー、甘いスパイス、コーヒー、チョコ
・スタイル:ミディアムソフト(タンニン)、フルーティで濃厚
PDO:ネメア (100%)
サントールではネメアの契約畑(有機栽培)からブドウを収穫。ステンレスタンク醗酵させオーク樽熟成を施します。
ブドウ品種:マヴロダフニ
サントーロではレッチーナやサモス島の甘口と並び重要な甘口ワインの原料ブドウで強いタンニンを持つが、長期熟成により口当たりは穏やかに進化し、驚くほど複雑なハーブやスパイスを彷彿させる世界的な甘口を生み出す。ポートタイプの現代スタイルの甘口も人気で、近年辛口ワインの生産も行われ、ポルトガルのドウロ地方の赤ワインを想い起させる。
・色:濃い
・酸味:中程度
・香り:チェリー、乾燥プラム、スパイス、ベイリーフ
・スタイル:甘口、辛口、フルボディ
PDO:パトラ、ケファロニア
アハイアの標高の高い斜面で育つ50年を超える古木から、旧樽醗酵、熟成させた辛口赤ワインを生み出しています。
古木で造るフラグシップ「クラシス」
古木マヴロダフニが生み出す辛口赤
50年以上前、家庭用ワインの原料ブドウとして一家によって黒ブドウ「マヴロダフニ」が植えられ、この小さな農園で大切に守り育てられてきました。
この樹も今では樹齢50年を超える立派な古木にまで成長し、これらの古木からマヴロダフニとしては新しい、辛口スタイルの赤ワイン、蔵のフラグシップとなる「クラシス」がごく少量造られます(クラシスとはギリシャ語の素焼きの甕で、古代ギリシャ時代にワインに水を混ぜて希釈し保管したアンフォラを意味します)。
フラグシップ、クラシス
サントールの魅力溢れる味わいをお楽しみください
今日、ブドウ樹が栽培されているこの地域を見て、ディミトロポウロス氏は先祖の土地に戻り、その創造の一端を担ったのだと強く感じていると言います。
このワインを飲んでいただく事で、この地域の自然と歴史が持つ無限の知恵やエネルギーを少しでも感じ取っていただければと願っています。