- フランス ボルドー
シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン
Chateau Pichon Longueville Baron
近年、大手保険会社が大掛かりな投資・改革を行い品質上昇中のシャトー
1850年にピション・ラランドと分割
ポイヤック地区の中でもサン・ジュリアン寄りの南の端に位置するシャトーで、ボルドー市から北に向かった際に、ポイヤックに入って一番最初に左手に見えてきます。ここのシャトーの外観はとても印象的で、建物は絵に描いたお城の様な『シャトーらしいシャトー』。加えて庭園に浅い池が造られており、美しい建物が水鏡に浮かび上がる設計になっています。
ピション・バロンの歴史は、1689年に、当時有名なワイン業者だった、ピエール・ドムジュール・ド・ローザン(Pierre Desmezures de Rauzan)氏がラトゥール近くの区画を購入した事に始まります。そして、その娘テレーズが1694年にバロン・ジャック・ピション・ド・ロングヴィルと結婚際する際に持参金としてその畑を持参し、そこにピション・バロンのシャトーが造られました。その後、同じ一族がシャトーを運営していきます。
1850年にシャトーは二つに分割され、ラウル男爵の区画が現在のピション・バロンに、3姉妹が所有していたもう一つの区画が、現在のピション・コンテス(ド・ラランド)となりました。似た名前のシャトーだな、と思っていたら、元は同じシャトーだったわけです。そして、バロン男爵によって、翌年1851年に現存する美しいシャトーが建設されました。
1855年に格付けの際には、2級に選出されます。その後長く一族がシャトーを運営してきましたが、1933年にブティエ(Bouteiller)家に売却し、ブティエ家はその後50年間シャトーを所有する事になります。そして、1987年フランスの大手保険会社アクサ・ミレジムが購入。1988年より、その資本力を生かし、シャトー、畑、セラーに至る大掛かりな改築を行いました。
両端の塔が印象的な美しいシャトー
テロワールを生かしたワイン造り
シャトーの畑は上質な砂利質で、適度に栄養分が少ない土地です。これまでそのテロワールを生かしたワイン造りを行ってきました。1694年に初めてワインが作られた当時に既に使われていた区画、"Butte de Pichon Baron"が最も優れた区画であり、ファースト・ラベルに使われます。
栽培比率はカベルネ・ソーヴィニョン65%、メルロー30%、カベルネ・フラン3%、プティ・ヴェルド2%。
区画によりますが、基本栽培密度はヘクタール辺り9000本。熟練された職人が厳しく収穫したブドウを厳選します。主醗酵、マロラクティック醗酵後、3~4ヵ月ごとに伝統的な方法で澱引きを行いながら、18~20か月フレンチオークで熟成させます。
シャトーが美しく浮き上がる設計の池
2001年よりさらに厳しい品質基準に
セカンドラベルはレ・トゥレル・ド・ロングヴィル(Les Tourelles de Longueville)、レ・グリフォン・ド・ピション・バロン(Les Griffons de Pichon Baron)の二つを造っています。
トゥレル・ド・ロングヴィルが"Sainte Anne"の区画のメルローが中心なのに対して、グリフォン・ド・ピション・バロンはジロンド川寄りの砂利質の区画で収穫したカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に造られています。
2001年から品質基準を厳しくし、歴史的に栽培してきたエリアのブドウを中心にファーストラベルが造られるようになりました。栽培面積は73haですが、ファーストラベルに使われるのは40haのみです。
シャトーの内装も上品な造り