『メドックのベルサイユ』と称された美しいシャトー

1565年、フランソワ・ド・フォワ・カンダル(Francois de Foix-Candale)司教によってシャトーが建造されたのが始まりです。そして、エペルノン公爵であり、国王アンリ3世の寵臣であったジャン・ルイ・ノガレ・ド・ラ・ヴァレット(Jean-Louis Nogaret de La Valette)氏と結婚した、彼の姪がシャトーを引き継ぎました。

 

伝説によると、ヴァレット公爵の権力は絶対で、彼の城の前を通過する船は忠誠の印として帆を下げねばなりませんでした。この｢ベッゼ・ヴォワール（帆を下げよ）"Baisse- Voile"｣が転訛して、"Beychevelle"(ベイシュヴェル)という名前が付いたのです。

 

その後、1661 年から1701年までは、ランダン公のアンリ・ドゥ・フォワ・ケンダル氏が所有。そして、ボルドー市議会議長であり、のラマルクおよびベイシュヴェルの男爵、ジャン=バティスト・ダバディー(Jean-Baptiste d'Abadie)氏の手に渡りました。彼は1709 年のひどい霜害の後、大きく樹々を植え替えました。その後も一族は、フランス革命の動乱の中も、シャトーを無傷で守り抜きましたが、1801年、ついにはシャトーを売却します。

 

次に購入したジャック・コント氏は航海を愛し、シャトー経営にはあまり力が入らず、1825 年、彼の甥で、貴族院議員やサン・ジュリアン村長も務めたボルドーのワイン商、ピエール・フランソワ・ギュスティエ(Pierre-Francois Guestier)氏に売却しました。ギュスティエ氏は、シャトーのワインを以前のレベルに戻すことに力を注ぎました。

 

1875 年、シャトーはパリの裕福な銀行家で、ドイツの詩人、ハインリヒ・ハイネの従兄弟、アルマン・アイン(Armand Heine)氏に売却されました。彼は品質の追求を続け、フィロキセラによって壊滅的な被害を受けた畑の樹を大掛かりに植え替えました。

 

1883年に彼が亡くなると、妻でルイジアナ出身のマリー=アメリー・コーンがシャトーの経営を引き継ぎました。素晴らしい経営者であった彼女は、シャトーを元の状態に戻しました。彼女の娘マリー=ルイーズと1890 年に結婚した代議士のシャルル・アシール=フール(Charles Achille-Fould)はシャトーの評判を更に高め、息子のアルマン(Armand)が世界恐慌に上手く対処しました。

 

1970年より後を継いだ、アルマンの息子のアイマール(Aymar)は、エミール・ペイノー教授のアドバイスを受け、1974年よりセカンドワイン、アミラル・ドゥ・ベイシュヴェルを造りだしました。

 

その後、フランスの保険会GMFグループの所有を経て、1988年、カステル社と、サントリーが設立した、合弁会社、グラン・ミレジム・ドゥ・フランス社の所有となりました。

2016年に建て直された建築物はひときわ目を引く

所有面積

90ha(敷地面積は250ha）（2019年時点）

年間平均生産量

240,000～260,000本（2018年時点）

平均樹齢

30年（2019年時点）

環境への配慮を行いながらワイン造りを行う

シャトー・ベイシュヴェルは、銘酒街道2号線を北上して、サン・ジュリアンに入ってすぐ、道の東側に位置しています。シャトーでは近年、｢Terra  Vitis（テラ・ヴィティス） ｣に従ったアプローチで栽培を行っており、2005 年ヴィンテージより、テラ・ヴィティスの適合証明書および減農薬農法の資格を取得しています。

 

250haある敷地のうち、92.5ha（2019年時点）でブドウを栽培しており、砂質土壌の畑に、52%  カベルネ・ソーヴィニョン、40%  メルロ、5%  カベルネ・フラン、3%  プティ・ヴェルドが栽培されています。ブドウの平均樹齢は30年。

 

1haあたり、8,300から10,000本の高い植栽密度を保つことで、葡萄は栄養素を得るためより深く根をはり、夏季の日照り続きの厳しい気候にも立ち向かうことが出来ます。

大小合わせると70基近くあるタンク

【シャトーのラインナップ】

ファーストラベルのシャトー・ベイシュヴェルに加えて、主にシャトーの若木から採れたブドウを使って造られるセカンドのアミラル・ド・ベイシュヴェル、一部の独占販売で、オー・メドックのブリュリエール・ド・ベイシュヴェルが造られています。このブリュリエール・ド・ベイシュヴェルの畑は12haあります。シャトーの北にある、オー・メドックの区画から造られており、2008年から有機農法を採用しています。ブリュリエールのブレンドは、カベルネ・ソーヴィニョンとメルロの２品種のみです。

タンク上部からの作業もスムーズ